『純喫茶・白鳥』のメニュー

※この原稿は1995年ころ、なんとなく書いたものです

 1995年ころ有楽町駅前に「白鳥」という喫茶店がありました。純喫茶です。特別室もあるところでした。ここのメニューが1990年代にしてはレトロだったので記録したものがあります。これがその文章であります。

 東京・有楽町駅前にある「純喫茶・白鳥」で、頼んだものは、ビール(キリンラガービール)500円と、なぜか純喫茶なのに、おつまみがありまして、「ウインナー野菜添え」500円と「ポテトチップ塩豆ピーナツ」200円であります(全てメニューの記載通りの表記)。
 赤ウインナーはメニュー写真では、3本しか写っていませんでしたが、出て来たものは6本あり、ケチャップが沢山かかっております。野菜添えの「野菜」は生のレタスとトマトとキュウリとパセリが付いております。食塩の瓶もウエイターさんが都度持って来ましたが、乾燥を防ぐ炒ったお米は入っておりませんでした。あれがないと締まりません。
 ウインナーはあんまり好きではないので、同行者に食べてくれろと勧めまして、僕はトマトを食っても良いかと伺うと、「どうぞ私トマトはキライである」と申すため、1皿をうまく分かち合うことができました。

 「ポテトチップ塩豆ピーナツ」200円の方は看板に偽り。ポテトチップスは湿気っているのが10枚。これは成型ポテトチップスでありましたので、おそらくはナビスコの「チップスター」かと推測されます。ピーナツは確かに入っている。しかし、「塩豆」がない。塩豆はどうした。塩豆は。これは代わりに「柿の種」が入っていたのでした。これがなぜ柿の種というのかは、果物の柿の「種」に似ているからでありますが、どの柿でしょうか。富有柿でしょうか次郎柿でしょうか。そんなことは植物オンチの私には皆目見当がつかないのでした。柿の種とピーナツは、成人男子のにぎり拳、およそ1掴み分くらいありました。竹の皿に紙ナプキンを折り敷きまして盛り付けられています。
 ビールとおつまみの探検が終わったので、やれうれしや、続いては 甘いもの関係に挑戦するぞと「ピーチメルバ」500円と「ブルーハワイ」330円を注文しました。ヘンなものばかり頼んでいる気がしますが、気のせいではありません。確信犯です。 
 この喫茶店は結構レトロです。刈り上げ頭のウエイターさんとシャンデリア。BGMは若大将、加山雄三です。うーん昭和30年代。なぜだか「電話室」もあるでよ。
 「ピーチメルバ」は白い陶器の皿に紙ナプキンを折り敷き、銀の高杯に盛られています。中心にアイス。はさむように黄桃4分の1が2つ。ホイップクリームが5点掛け。味は……うまいそうです。
 ブルーハワイは青いソーダー水です。これは祭りの露天の氷屋さんのメニューくらいでしか知らなかったけど、結構甘さがキツイのね。ベタベタのシュワシュワであります。このお店、メニューの表記は、あくまでも音引きであります。いわくストロベリーパフェー、いわコカ・コーラー、ソーダー。オレンジジュースはオレンヂだし。なかなかやりますねえ。
 ブルーハワイにはコースターが付いてきたんだけど、ここに印刷されたコピーが奮っています。ネッシーの様な白鳥のイラストが書いてあって、下には「DELUXE TEA ROOM」上には、「エスカレーターのある喫茶店」だって。
 ああ「デラックス」の時代は去りにけり。銀座にしては安くて、しかも空いています。オススメです。

(注・もうお店ありません。ていうか二人で喫茶店で2000円も食うなよ)。