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「70メートルの塔をつくるから、大屋根の真ん中に穴をあけてくれ」
大阪万博。EXPO70。
岡本太郎は、すでにできていた丹下健三の作品に穴をあけさせた。
そして聳えた太陽の塔。
人々はリニアモーターカーに興奮し、月の石に目を輝かせた。
「戦後」から解き放たれた気になって、宇宙を夢見たりしていた。
時は経ち、21世紀。
世界はいまだに平和にあらず、ますます混迷を極め、しかし科学や文明ばかりが進み過ぎている。
「人類の進歩と調和」という言葉と万博の熱気が日本中に踊っていたとき、あのフォークシンガーたちは何を思っていたのだろうか。
岡本太郎は塔の内部に、無名の人たちの写真をたくさん展示した。
歴史をつくってきたのは、名もなき人々。60年代後半に現れたフォークシンガーたちもまた、「無名の人」である。
ぐるぐると時代をうねる、混沌と狂乱の島国。
BGMは、フォークもロックも歌謡曲もごちゃ混ぜに。
太陽の塔は、3つの顔でその様子を見据えていた。
世紀を超えたいまも、大阪吹田にそれはある。
三波春夫の歌う万博テーマソング、「世界の国からこんにちは」が日本中に響いていた。
ここで陽気に歌われる「世界」とは、あのURCのシンガーたちが歌う「世界」とほんとうに同じだろうか。
塔の内部には、人類誕生までの歴史の模型に、世界のお面や像。フォーク。
そして塔そのものは、万博自体を含む現代へのアンチテーゼ。ロック。
太陽の塔は、フォークでロックだ。


 こんにちは こんにちは 西の国から
 こんにちは こんにちは 東の国から
 こんにちは こんにちは 世界の人が
 こんにちは こんにちは 桜の国で
 1970年の こんにちは
 こんにちは こんにちは 握手をしよう

 こんにちは こんにちは 月の宇宙へ
 こんにちは こんにちは 地球を飛び出す
 こんにちは こんにちは 世界の夢が
 こんにちは こんにちは 緑の丘で
 1970年の こんにちは
 こんにちは こんにちは 握手をしよう

 こんにちは こんにちは 笑顔溢れる
 こんにちは こんにちは 心の底から
 こんにちは こんにちは 世界を結ぶ
 こんにちは こんにちは 日本の国で
 1970年の こんにちは
 こんにちは こんにちは 握手をしよう

 こんにちは こんにちは 握手をしよう


 「世界の国からこんにちは」詞:島田陽子 曲:中村八大


Author


    藍見澪 -Rei Aimi + Folksong Institute-
    「フォークソング」という言葉の意味を再定義し、日本のフォークやロックの歴史を研究、ひいてはすべての歌に繋げる実験・・・のつもり!

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