池袋サンシャインシティにあるナムコ・ナンジャタウン。1996年7月に開園したこのテーマパークはビル入居型のものとしては先駆的存在で、年間入場者数は開園以来毎年120万人前後と安定している。ここには6つの街が作られているが、そのうち昭和30年代の雰囲気が楽しめるのが「福袋餃子自慢商店街」である。そもそもは「福袋七丁目商店街」と呼ばれていたが、今年7月19日に全国の餃子店の味が楽しめる「池袋餃子スタジアム」を新たに街の中に配してリニューアルオープンした。
「餃子」と「昭和30年代の街並み」一見理解に苦しむ組み合わせだが、きちんとした理由がある。全国餃子消費量第1位の栃木県宇都宮市の餃子は、戦時中駐屯していた「陸軍第14師団」が中国東北部に進駐した際覚えた味を復員後広めたのがきっかけという。
宇都宮に次ぐ全国消費量第2位の静岡も、戦後引揚者が浜松駅周辺で始めた屋台餃子が地域に根付いていったという歴史を持つ。東京にも戦後間もなく開業した老舗が多い。大阪の小振りな「一口餃子」は昭和30年代初頭に花街向けとして誕生したし、「九州一口餃子」は昭和20年代初めに中国からの引揚者がモンゴル風の一口餃子を紹介したことが始まりとされている。昭和30年代はこれら新興の餃子店にとってまさに「青春期」、元気一杯、伸び盛りの時代であった。
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