月の始めに書店へ行くと、パステルカラーを基調としたかわいらしいイラストが表紙を飾る少女漫画誌が紐がけされて、山積みになっているのを見かけることがあるでしょう。その雑誌の間には紙製の文房具を中心とした少女のためのグッズ、すなわちふろくが毎月10点近く挟み込まれています。たくさんの種類があり、カラフルで様々な形を見せるそのふろくたちが集まった様子は、まるでお花畑を見ているよう。
ふろく【付録・附録】
書籍・新聞・雑誌に添えてある紙面または冊子その他のもの。おまけ。
(広辞苑第五版)
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現在、ふろくという言葉を辞書で調べるとこのような説明がされているのですが、日本で雑誌が発行されはじめた当初には一般的に本誌内の特別記事のことをさしていたそうです。しかし明治時代の半ばごろから少年雑誌に登場した双六が以後雑誌界において正月号の恒例となり、「ふろく」と呼ばれたことで、上記のような「雑誌に添えてあるもの」という概念が次第に形成されていきました。
女子小学生をメインターゲットとする各誌においてふろくの役割とは本来、漫画がまだよくわからない年少読者にも雑誌を手に取ってもらうための手段であり、言葉通りの「オマケ」に変わりはありません。しかし移り気な少女の目にとまるふろくを作るために、開発担当者は常に流行を敏感につかむよう心がけており、少女のニーズに応えられるよう日々涙ぐましい努力を続けているとか。その結晶として生みだされるふろくには少女の欲しいものが揃っており、デザインにおいてはお店で売られているものにも負けないくらい。また季節ごとの行事や学校生活、趣味や遊びなど生活シーンも折り込まれているこれらのふろくには、少女たちへの「少しでも長く身近において使ってほしい」という思いも込められているのです。
少女雑誌のふろくは戦前の昔から21世紀の現在まで、その流れを途切れさせることなく存在し続けています。常に流行と少女のニーズを反映してきたため、ふろくを見ればその時代の少女の姿を垣間見ることができるのではないでしょうか。
さらに、そのようなふろくは雑誌を買うだけで手に入れることができます。数百円で雑誌と流行のかわいいグッズ何点かが一度に自分のものになるのですから、お小遣いが少ない少女たちにとって、このお得感はたまりません。そして逆にいえば、ふろくそのものは通常お店では売ってなく、雑誌が発売されているわずかな間しか手に入れることができません。漫画に興味を持つようになった年代の少女には、大好きな漫画のイラストが入ったお店で買えないグッズは、この上ない宝物ともいえるでしょう。
自分たちに身近なグッズで、そしてある意味限定品。ふろくはそれゆえに少女の心をつかみ、時には本誌以上に待ち遠しいものになり得るのです。
「女性はオマケが好き」こう言われているのをよく耳にしますが、このような素地は、ふろくと接していた少女時代にすでに培われていたのかもしれませんね。
それでは、時代をうつし様々な彩りをみせる「ふろくの花園」へ、これからみなさまをご案内いたします。
2003年6月16日放送開始
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