鴻池綱孝
〈第一夜〉増田屋「ウルトラQ手踊り」『ペギラ』『ゴメス』登場
昭和41年、1月2日 7時。ポジティブなタケダ製薬のコーラスファンファーレのあと、「ドン!ぎゃん! ギィ〜・・・」60年代前衛サウンドのオープニングが、おとそ気分最高潮の日本の正月に響き渡った。ウルトラQの初放映であります。それまで銀幕の中でしか、お目にかかれなかった怪獣達が毎日曜日、お茶の間に登場する事となった。以降、ウルトラマン、セブン等に続く数年間、空前絶後の怪獣ブームに日本列島は蹂躙され続ける事となる。
ブームはまだ暗中模索だったキャラクターマーチャンダイジングに火をつけた。ありとあらゆる物が怪獣化され、商品となり、世に送り出された。なかでも、大ヒットとなりブームの牽引役となったのが、マルサン商店のソフトビニール製の怪獣人形だった。
本番組では筆者の当時の実体験と、今に続くソフビ怪獣コレクションの写真を軸にして、「怪獣だったあの頃」を想い返す、「昭和40年代怪獣ブーマー」の為の番組です。では、押入れの中に眠ってる旧友を引っ張り出し、御一緒にお楽しみください!
では、記念すべき第一夜はマイ・ファースト怪獣玩具である『ペギラ』と『ゴメス』の登場です。この商品、大手メーカーが製造した史上初の怪獣玩具で、増田屋から発売された「ウルトラQ手踊り」(全5種)といいます。この時はまだ、先にふれたマルサンの怪獣は発売されていません。最初に買ってもらったのは『ペギラ』。ゴムフィールのかなり柔らかい塩ビ製で、底に手を入れる為の穴ががっぽり開いています。それまで駄菓子屋で買っていた、薄造りのポリエチレン製の怪獣にくらべ、リアリティー、量感ともにすごく満足した事を記憶しています。
子供のご満悦に気をよくしたのか、続けざまに買ってくれたのが「ゴメス」で成型色はグリーン。購入の決め手は、ペギラ同様の頭頂部一本角つながり。愛くるしい上目遣いの大きな瞳はゴッコ遊び上、ペギラの弟としてのキャスティングを与えられた。怪獣玩具は初の男の子のお人形遊びとしても、記念碑的だったのだ。
さて、TVの「Q」に話を戻そう。こちらも日本発の本格SF作品を目指していただけあって、対象年齢層は広かった。なので、幼稚園児の僕には怪獣が地味な回、例えば、相手がただの大蜘蛛や、大エイ、大タコの時はガッカリしたものだった。それはまだしも、25話「悪魔っ子」にいたっては、えらく怖い話だったりして、トラウマとなっている人も多かろう。そんな不安材料を抱えつつも「Q」は僕達を同年7月3日まで白黒テレビの前に釘づけにした。
この頃の僕らはまだ、これから襲来する怒涛の怪獣軍団や、銀色に輝く、正義の宇宙人のことを知らない。
つづく・・・
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