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「蕩尽日録」タイトル

南陀楼綾繁パソコン

4月某日 電脳機械ヲ購入スルモ気分高揚セザル事


 数日後のソウル行きを控え、新しいパソコンを買うコトを決意。二年ほどまえに買ったノートパソコンは弁当箱みたいに大きくて、しかも4kgぐらいある。コレを持って何回か海外に行ったが、そのたびに地獄の苦しみを味わった。ほかに荷物が少ないのならイイのだが、どこに行っても抱えきれないほど本を買うから、重さはさらに増えていく。不思議なもので、パソコンやカメラなどを持つとひたすら重さを嫌悪するのだが、古本やCDを買ったときには、その重みがナンとなく心地よいのだ。主観というのはオモシロイ。

 さて、数日前にも新宿西口の〈ヨドバシカメラ〉などを偵察に行ったのだが、欲しいと思った機種は、品切れで入荷未定か生産中止とのこと。ナンで生産中止のマシンを陳列しておくのかフシギである。メーカーごとに並んでいるから、こちらが求める条件に合うマシンを探して、何度も行ったり来たりするコトになる。客が一杯で、店員も応対に追われているし、なんだか落ち着かないなぁ。しばらく居たが、とても買うところまで行きそうにないので退散したのである。

 今日はナニも考えず、その場で持って帰れるマシンを買うコトにして、有楽町に数カ月前にできた〈ビックカメラ〉に向かう。すでに時刻は7時。あと一時間で買って帰りたい。ココでもマシンはメーカー別に並んでいる。ぼくが求める条件は、(1)1kg前後ぐらいに軽くて、(2)バッテリーが長持ちして、(3)メールとインターネットができる、というシンプルなもの。あとのスペックはどうせ見ても判らないんだし。店員を捕まえて、三つの条件に合って今日持って帰れるモノを見せろ、と云う。コレで解決かと思いきや、この単純な条件に合うモノが意外とない。いちばん軽くて長持ちするのがパナソニックから出ていたが、ナゼか生産中止。人気機種が生産中止ってのはどういうコト? シャープので気に入ったのがあるが、それは入荷に時間が掛かる。結局、その日たまたま入荷があったというソニーのVAIOに決める。クレジットカードの上限が厳しいので、いったん外に出て銀行を探して金を下ろし、半分は現金・半分はカードで払う。箱を受け取ると、たしかにコレまでのマシンとは段違いに軽い(ウチに帰って、本体を取り出すともっと軽かった)。

 店を出たのが7時半。わずか30分で即決だ。高い買い物なのに、八百屋で大根を買うみたいな手に入れ方だった。コンピュータ好きの人ならば、いろんなマシンを見比べて、買ったものをワクワクしながら持って買えるのだろうが、そういうカンジはまるでない。これからウチでいろいろセッティングしなきゃならないと考えただけでもウンザリする。つくづくコンピュータというモノにおもしろさを見出せない体質なのだ。

 ウチに帰ったら、今日はほうぼうから古本目録が届いていた。マシンのセッティングは案の定めんどくさく、途中でヤメにして、目録を読む。神戸の間島一雄書店の目録は、1ページめくるごとに欲しい本が見つかる。長年探していた喜多清三『燐寸商標史』(大正3年)と、宮武外骨の幻の雑誌(コピーでしか見たことがない)『活殺』創刊号が、同じ目録に載っているとは。どうか手に入りますように、と祈りながらファクスを送る。当たったら当たったで、支払いを捻出するのがツライのだけど。20万のパソコンを買うより、そのぶん古本を買うほうがヨカッタかな。やっぱりパソコンよりも古本の方がワクワクするね。


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