イラスト・もりたあゆむ
レ ト ロ ス ポ ッ ト ガ イ ド 「 ま ぼ ろ し 酒 場 」
ガード下で酔いどれる浜松・酒蔵
今朝の読売新聞の最終頁に、読者の意見が載っていた。NHKの「素敵にショータイム」で、司会の玉置宏の名調子を称えたものであった。確かにイントロにナレーションが入ると情景が浮かび、曲の長所を引き出せるようだ。かつては弁士から漫談家を経て、歌謡ショーの司会者になった、西村小楽天のような人が多勢いたのだが。
<岡の小鳩か 小鳩の岡か 岡靖夫さんの登場です。「啼くな小鳩よ」どうぞ>
あの名調子が懐かしい。
これほど大層なものじゃないが、この酒場には元気なおばちゃんがいた。馴染み客相手に、鉄砲玉のように毒舌を浴びせていたものだ。俺も本業が客商売なので、色々な人種を見てきたが、こんなに威勢がいい女は少ない。この店は新幹線の浜松駅より15秒、ガード下にある。初めて入る客は、新幹線の疾駆する轟音に度肝を抜かれる。俺もそうだった。だが辛口の酒を二、三杯口に入れる内に、それが苦にならなくなるから不思議だ。浜松は天竜川と浜名湖に挟まれた、商工業都市である。古代より宿場町として栄え、徳川家康が築いた浜松城は、江戸幕府の老中を輩出したので出世城としても名高い。
京・大坂と、関東の間にあるので訪れる営業マンも多いようだ。静岡市はどちらかというと、東京圏に入るようだが浜松市は名古屋や大阪の影響を受けているようだ。
ここは地酒も旨いし、肴も豊富に揃えている。刺身はどれもいけるし、気の利いた一品料理もある。俺の好きなのは油揚げだ。まあ全国どこでもある品だが、浜松の居酒屋の油揚げは本当に旨い。食べすぎてキツネにならないようにしたい。現在は経営者が替わったが、店の雰囲気があまり変わらなかったのが嬉しい。電車の発車時刻寸前まで飲んでいても、駅に隣接しているので助かる。勘定を済ませて(済ませなきゃ飲み逃げだ)、構内に消えるサラリーマンも多い。欲を言えばもう少し広ければ!と思うがこの狭さが心を和ませるのかも。
■04年5月現在「酒蔵」は休業中
文:坂口団吾
2004年10月7日更新
ご意見・ご感想は webmaster@maboroshi-ch.com
まで
未知との遭遇、静岡・梅乃家
早くて安い三富
いたまえ料理いなとり
第2回「北千住 大はし」
赤羽 まるます家
→ |