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第3回「スパイカメラ」の巻


新聞アイデア商品

 昭和四十年代は『スパイの時代』だった。テレビでは、「このテープは自動的に消滅する」というナレーションでおなじみのスパイ大作戦が放映されていたし、文具メーカーのサンスターでは『スパイメモ』シリーズを発売し、子どもたちを熱狂させていた。そんな流れの中にあったのが『スパイカメラ』。まんが雑誌の裏表紙にはお菓子の広告の他、細かな活字が並んだ通信販売の広告がよくのっていた。「歯が白くなるスマイロン」「雄と牝を判別するミステリーファインダー「ガイコツがお金をつかむ貯金箱」など……。それらのアイデアグッズたちのなかでもっともボクの関心を集めたのが『スパイカメラ』だった。新聞かくしカメラ広告
 ボクがとてもこれを欲しがるものだから、ある日、父がこれを買ってきた。通信販売でなくてだ。いったいどこから買ってきたのかは謎だが、ともかく欲しかったものだったので喜んだ。ファイルムはホントに小さかった。パチパチと身の回りのあらゆるものを写した。ミニのカメラで写すのも楽しいが、そのフィルムを附属の『白昼現像機』で現像できるのがもっと楽しい。なにしろ『白昼』に現像ができてしまうのである。写真の現像といえば『暗室』が必要だというくらいは知っていたから、これは驚きだった。真っ昼間から現像できるなんて……。ともかくやってみようと思って、説明書をよく読みながら、黒くて細いビニールの中に現像液を入れた。フィルムを巻き戻して入れ、ローラーのはさみのようなものでフィルムが良く液にひたるようにゴロゴロと転がした。まるで小豆を洗うように右に左に揺すっていた。
 さて、できたかなと、いさんでビニールを開けてみたが……何にも写っていない。ボワーっとした心霊写真すら写っていなかった。
 定着液があったかどうかは忘れてしまったが、とにかく理解できる範囲で説明書通りにやったのだが、うまくいかなかった。その後何度も試してみたがやはりボクの腕では写真にはならなかった。
 どうして失敗したのかは謎である。街のカメラ屋さんで現像して貰えれば写っていたのだろうか。

●「小説宝石」号数不明を改稿


2002年8月19日更新


第2回「コンプレックス科 体重・体格類」の巻
第1回「コンプレックス類 身長科」の巻


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