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 粋な脇役 下川辰平 
  この人が江戸時代の女性ならば、きっとこう呼ばれたに違いない。”小股のキレ上った”とはこの人の男性としての不思議な色気を表現するのにピッタリだと思う。四十代以下の人には、この人の代表作は「太陽にほえろ」の刑事役を思い浮かべるだろう。確かに渋い役回りであのドラマを締めていた。
 だが私は「長七郎江戸日記」での、宅兵衛役が一番だと思う。立ち回り、飄々とした様はこの人の俳優としての資質が充分に生かされている。幸い現在(平成十七年五月)テレビ東京で再放送されているから機会があれば見て欲しいものだ。主演の里見浩太郎もこの頃が、一番油の乗った時期であった。水も滴るいい男とは、この頃の里美を指しているといって過言ではない。
 父の生前二人で、浅草の映画館で松方弘樹主演の仁侠映画を見たことがある。脇役で出演していたのが下川辰平だ。敵のヤクザに中盤で殺される役回りであった。父はテレビや映画で下川が出て来ると、必ず「ワシュウちゃんが出て来た」といって喜んでいた。当時関脇だった出羽ノ海部屋の鷲羽山に少し似ていたのだ。角張った顔、不敵なツラ魂は確かに下川の容貌に似ていなくもない。小柄なところ(角界では小柄でも一般人よりは鷲羽山は大きいが)がピッタリでもあったろうか。
 
  それからの私は、大相撲中継で鷲羽山が登場すると、下川辰平を思い出すことが多くなった。脇役列伝に書いた人や、怪獣の多くはもう現在では得がたい人ばかりだ。時代が変わったと、割り切れば良いのだがそう思えないタチの私だから始末が悪い。「水戸黄門」の登場人物のフィギュアが話題を集めたことがあった。どこのメーカーが製作したかは知らない。「長七郎江戸日記」の宅平衛のフィギュアも早く作ってもらいたい。きっと完売になると思っているのは私だけか。
 そんなことを考えながらビデオに録った「長七郎江戸日記」を休日に見るのが楽しみになっている。
 
 
                 
                  | 俳優(出) S5年12月11日
 (出) 福岡県
 (学) 武蔵野美術大学中退
 <本名>下川辰典
 S29年RKB毎日の専属劇団に加入し、ラジオ、テレビで活躍。映画出演も多く「黒部の太陽」「戦争と人間」など
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 2007年9月 日更新
 
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