園長 ペリプラ葉古
その2−イボカエル
次のケージが見えてきました。
なにやらゲコゲコ、グェーグェーと賑やかです。
どうやらカエル舎のようですね。
最近めっきりカエルを見なくなったという人、
久しぶりにゆっくりカエルを眺めてみませんか?
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【ツチガエル】
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イボガエルから話を始めよう。
田んぼの周りにはどこにだってイボガエルがいた。
体長3センチから5センチくらいのねずみ色の冴えないカエル。
背中にぶつぶつがあるからイボガエルと呼ばれた。
小さいしたくさんいるから簡単につかまえることができた。
つかまえられたイボガエルは男の子にとって格好の遊び道具だった。
口に爆竹をくわえさせて破裂させたり、
空高く放り投げてコンクリートの地面に衝突させたり、
皮をむいてザリガニ釣りの餌にしたり。
ちょうど爆竹をくわえさせるのに手頃な口の大きさだったし、
内臓破裂を起こして舌を口からだらんと伸ばした死様が変だったし、
皮が破れずにピリピリむけるというのが面白かった。
たわいのない理由でイボガエルを殺しまくった。
なにより醜いのがまずかった。
男の子たるもの、イボガエルを殺すことに何のためらいもなかった。
【ニホンアマガエル】
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アマガエルはどうだろう。
雨の降る前に鳴きだす、葉っぱの上でよく見たカエル。
体が小さくて緑色がきれいなので、イボガエルよりは人気があった。
男の子ばかりでなく、女の子にさえも。
つかまえて掌にのせるとお腹の皮膚がひんやりして気持ちよかった。
机の上に置いておくと体の色が茶色に変わって不思議だった。
餌の与え方もわからず飼育してそのうち逃げ出すか全滅するかした。
イボガエルに比べたら扱いはましだったけれど、
結局アマガエルも子どもたちのわがままにいじめられていた。
【トノサマガエル】
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トノサマガエルともなると輝いて見えた。
やつらがすんでいるのは池とか沼とかそんなところが多く、
そもそもつかまえるのがイボやアマよりはるかに難しかった。
運良くつかまえられたときは胴体をぎゅっと握って眺めた。
大きな目、長い手足、緑色や茶色の体に黒い斑点。
殿様にふさわしく、風格を感じるカエルだった。
さすが子どもがもてあそぶには大きすぎた。
せいぜい池に浮かぶトノサマガエルに石を投げつけるのが関の山。
「ど根性ガエル」のひろしだって本当は踏み潰したくなかったはず。
最近カエルを見なくなったと大人は言う。
田んぼや小川が減ったのは事実だし、
確かにカエルの数は減っているのだけれど、
見なくなった理由はもっと別なところにある。
大人になってカエルと遊ぶのに飽きてしまったこと。
これが最大の原因なのだ。
見えないのではなく見ようとしないのだ。
郊外に行って、田んぼや池をのぞけばまだまだたくさんいる。
カエルと遊ぶことで、
今の大人も子どもの頃にいろんなことを学んだはずだ。
生命のはかなさとか不可思議さとか、そんなことを。
たまには子どもを連れて、カエルと戯れてみるとよい。
誤解を恐れずに言おう。
イボガエルの一匹くらい殺したってよいのだ。
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【イボガエル】
正式には北海道の東部と南西諸島を除く日本全土に広く分布するツチガエルのこと。背面にいぼがたくさんあるので、イボガエルと呼ばれることが多い。ツチガエルによく似たヌマガエルやガマの油で有名なヒキガエルをイボガエルと呼ぶ場合もある。
*ど根性ガエル
「少年ジャンプ」に連載されたギャグ漫画で、原作者は吉沢やすみ。TV版は1972年(昭和47年)の秋にスタート。平面ガエルのピョン吉のモデルは諸説あるが、形態的にはトノサマガエルが近いと思われる。しかし、関東地方にはトノサマガエルはいないことを考えると、トウキョウダルマガエル説が有力。
※ もっとカエルについて知りたい方は…
画像元 タガメビオトープ http://www.geocities.jp/tagameha/
2002年8月28日更新
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