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松戸の真の一級河川(^_^;)坂川とその川端の民家
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ドンビシャか、それとも散ってしまったか・・・幸いこの時期に連載を開始させていただく幸運に恵まれたので、花見でラーメンなんていいじゃないッスか!?
各地に花見の名所は数多あり、またその近隣に名物ラーメン店があるなんてロケーションはあるにはあるものの、花見宴会を打ち上げるわけもなし、人々の記憶から消し去られたような風景に桜舞い散る中を散策したいとなると結構骨である。連載1回目だし、インパクトのある物件も紹介したいし・・・というわけで、閃きたるは千葉県松戸駅界隈!
ってこりゃ地元民もびっくりなセレクションだな。千葉県とは東京都に隣接する県の一つで、隣県特有の「東京になりたい病」に侵されている。千葉県にあるのに東京●ィズニーピーーッが象徴的だろう。国道沿いにファミレスやラブホテルが連なる郊外的風景が広がり、なまじアクセスの良い常磐線や東西線など首都直結の鉄道で県民は東京へと足を向ける。
とりわけすぐ隣駅が東京都となる松戸は駅周辺は再開発され、どこにでもある地方都市の乗換駅の様相を呈しているが、日本橋を基点とする5街道の1つ水戸街道の宿場町として栄えた歴史があり、その見た目の印象とは違った一面を隠し持っている。
さらにそんなフランチャイズばかりの駅周辺に紛れるかのように、デキるラーメン店が形を潜めている。都内繁華街の地価高騰により飲食店、とりわけ個人店はそこに開業の余地はなく、ラーメン店が郊外でオープンするケースはこの10年で当たり前のこととなった中、千葉にも当然その波は押し寄せ、松戸はこじんまりとした実力店がひしめき合う激戦区となっているのだ。
そんな松戸の西口を降りてみる。駅デッキから見渡すは商業ビルばかりだが、暫く西へ歩を進めると、坂川という小川にぶつかる。この水戸街道の旧道の周辺には宿場町として栄えた時代に平潟遊廓という色町があったのだが、現在では娼館の類は全て取り壊されてしまったという。しかし煉瓦造りの松戸公産(今では装飾が剥ぎ取られ外壁もペイントされているが)の他、立派な蔵づくりの米屋や薬局が再開発で四方を高層ビルに囲まれながらも僅かながらシブトク生き残っている。
坂川に架かる春雨橋に出ると、川沿いは急に春の小川の世界と化す。脇には福岡邸という煉瓦造の立派な御屋敷が目に飛び込んでくる。坂川には徒歩でしか渡れないような小さな橋がいくつも架かり、東京の隣り駅で下車したことを忘れさせてくれる。
歩を進めているうちに川端には料亭のような風情の意匠を施した物件が何軒も見受けられるようになる。遊廓の痕跡はないというが、三業地を思わせる趣ある物件はいまだ健在だった。特にシャルム洋装店は川端の日本建築といった趣と看板のバランスにグッと来た。
坂川が徐々に江戸川に近づくあたり、川端の家々の塀や戸袋の意匠などを眺めていると、煉瓦造の橋が突如出現する。立派なつくりの重厚間に圧倒されてしまう。子供の頃だったらさぞ怖かったろう。小山樋門といい、明治31年、千葉県により坂川の逆流防止のために設けられた、県内最古の煉瓦水門なそうだ。写真を撮ったのは時期ハズレだったが、今頃ともなると周囲に春の草花が萌えるように黄色く咲き誇り、この古びた水門とが独特のコントラストを放っている。
ここで来た道を折り返し、松戸神社へ入る。神社から延び坂川に架かる橋の朱が眩しいが、川に覆いかぶさるように咲き誇る桜のピンクとの色の共演が見事。夜はライトアップされず、街明かりに照らされ独特の仄明るい色彩を放つ。いわゆるお花見スポットではないので宴会するようなスペースはないのだが、散策や寄り道の途中で出くわしたら忘れられないほどの鮮烈なイメージを残してくれるだろう。
さて、再び駅前に戻って今度は東口へ出る。西口にも優良ラーメン店は多いのだが、ここに来てとりわけ加熱する東口のつけ麺戦争、なかでも後発の、千葉随一の行列店である津田沼必勝軒出身の兎に角、東池袋大勝軒の流れを組む佐貫大勝軒系から独立したとみ田を差し置いて、駅から5分ほど、松戸市役所そばのまるきに入る。
柏で古くから愛される永福町大勝軒出身の大勝から独立した店で、こちらも地元民に愛される人気店となり、昼時の市役所職員のみならず、遠方からもラーメンフリークが押し寄せてくる名店だ。
あっさりとした醤油スープながら、嫌みがなくも独特の苦みと香りが印象的な煮干スープで、コクがありながらも飲後感の爽やかな1杯に仕上がっている。いまどきのゴテゴテしたものではなく大人のラーメンといった趣ながら、しっかりした独特の味わいを維持している。敢えてつけそば【中1.5玉800円】を注文してスープ割りでこのスープを堪能いただきたい。
この先にはだいぶ歩くが、松戸の和風ラーメンではまるきと双壁のむさし野も控えており、松戸のラーメンの層の深さをうかがわせる。他にも気になるスポットもあるので、また松戸を取り上げることになるだろう。ともあれ、郊外の秘された魅力に溢れた町だった。
2007年4月4日更新
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