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「蕩尽日録」タイトル

南陀楼綾繁趣味大観

6月某日 昼ハ最高学府ニテみにこみノ販売法ヲ講ジ、夜ハ趣味話ニ相興ジル事


 午後、仕事に一区切り付け、市ヶ谷から四谷へ。駅近くのしんみち通りにある〈稲草園〉に入る。ココはタイ、ベトナムなどの料理が食べられる店。昼の営業が終わりかけのときに入ったので、店員がわいわい食事しているなかで、一人で豚足入り丼(1000円)を食べる。うまい、が時間がなくて焦りながら食べたので、ちょっと腹にもたれた。すぐ隣の〈文鳥堂書店〉で店内を一巡り。ちくま文庫の新刊2冊(竹中労『琉球共和国』1200円、大庭萱朗編『田中小実昌エッセイ・コレクション1 ひと』780円)と『本の雑誌』の新しい号を買う。丸の内線で本郷三丁目に向かう。10分以内で着けるつもりでいたら、銀座を回るので20分近く掛かるのだな。まいった。

 車内で『本の雑誌』の「坪内祐三の読書日記」を読んでいたら、『出版ニュース』の年頭アンケート「今年の執筆予定」が載っている号を約20年分、古書展で購入したという記述があった。『出版ニュース』は正直云って地味で退屈な雑誌だが、この「今年の執筆予定」(および毎号載っている「書きたいテーマ・出したい本」)は愛読している。ついでに書くと、やはり年頭の号に載る、各出版社の「今年の出版企画」というのも、年末になってみると一向に出る気配がなかったりして、計画と現実のギャップがステキにおもしろい。

 本郷三丁目駅出てすぐの純喫茶「ジュニア」で串間努さんに会う。どーしてこのヒトは、こういう「いかにも」な店を見つけ出すのだろう。ご本人は「近くだったから入った」と云うのだろうけど、レトロな店や場所が向こうから寄ってくる磁力みたいなモノを持っているのではないだろうか。昨日のナンシー関さん死去について、あれこれ話しながら東大へ。柄にもなく、ぼくがココの社会情報研究所というトコロで今年の4月から9月まで非常勤の講師をやっているので、今日は串間さんにゲストに来ていただいたのだ。串間さんの話のテーマは、「ミニコミのカネ・モノ・ヒト」。納品書の書き方から税金対策まで、きわめて実践的なミニコミづくり講座だった。最初はポカンとしていた学生たちも、聞いているウチに「すべて一人でやる」ことのタイヘンさとおもしろさが次第に判ってきたようだった。もっと話を聞きたかったのだが、時間が足りなくなったのは惜しかった。

谷中銀座
谷中銀座

 終わってから、ニセ学生として講義を聴きにきたリブロ池袋店のアラキさんと三人で、てくてくと根津方面に向かう。3月に店を閉めた貸本屋の〈なかよし文庫〉(『日曜研究家』時代のこの日記をお読みの方にはおなじみのハズ)の前を通り、〈往来堂書店〉へ。ココで『まんだらけZENBU』第15号(1429円)などを買う。さらに千駄木まで歩き、谷中銀座で夕飯の買い物をする。いつもの暇つぶしのベストコースにお付き合いいただいたワケだ。串間さんと街歩きすると、普段一人で歩いていて気づかないモノを発見してくれるのでオモシロイ。今日も西日暮里のウチの近くまで来て、ゴミ捨て場の電柱に「ゴミを拾てる女 関西人で小◎◎◎(名前)」「自転車に乗りゴミを拾てる女!! 今迄のゴミ処理を申し付ける 注意せよ」というキョーレツな手書きの貼り紙を見つけてしまった。「捨てる」が「拾てる」と誤記されているのも、イイ味である。

キョーレツな貼り紙 キョーレツな貼り紙 キョーレツな貼り紙
キョーレツな貼り紙
『趣味大観』
『趣味大観』

 我が家に上がっていただき、ビール(串間さんはジュース)を飲みつつ、焼きそばやらコロッケやらをつまみつつ、いろいろ話す。最近手に入れた『趣味大観』(趣味の人社、昭和10年)というバカでっかい本を見せると、「コレはいいなあ!」と大喜びでめくりはじめる。社交ダンス、魔術、スカル(というスポーツ)、盆石、金魚、ポスターなど趣味に関する文献目録と、数百人にのぼるコレクター名鑑、ついでに「現代代表令嬢総覧」まで載ってる本をココまで愛でてくれるのは、古本好きの友人多しと云えども、串間さんぐらいだろう。「おお、ランチュウ蒐集家!」などと交わされる会話に呆れたのか、ヨメの旬公とアラキさんはまったく別のハナシを続けていた。けっきょく11時過ぎまで話し込んでしまった。久しぶりに会話を堪能した、楽しき一日でありました。持つべきものは趣味家の友人かな。

『趣味大観』扉 『趣味大観』扉

南陀楼綾繁からのお知らせ(前回と同じです)

★古本好きによる書物雑誌『sumus』(スムース)の第9号が発売中 600円

特集・あまカラ洋酒天国 
sumus戦後の食雑誌として異彩を放つ『あまカラ』と『洋酒天国』を軸として、食に関する古書を取り上げる特集です。南陀楼綾繁「池田文痴菴と森永製菓・前編―〈雑学〉と〈宣伝〉が熱かった時代」も掲載されています。
手に入る店は東京では、書肆アクセス(神保町)、リブロ(池袋店)、タコシェ(中野)ほか。南陀楼個人での通販も受け付けます(kawakami@honco.netまで)。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/5180/

★『recoreco』創刊号 新刊ブックガイドと書店情報の雑誌 メタローグ刊、590円(本体)

recoreco144冊を取り上げるブックガイドと、本に関するコラム、記事が満載の雑誌です。表紙はなぜか加藤あい。南陀楼綾繁は、「全点報告 この店で買った本」連載スタート&「本をめぐる本」ブックガイドを書きました。全国書店で発売中。
http://www.metalogue.co.jp/


2002年7月10日更新
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5月某日 六本木ニテ「缶詰」ニ感涙シ、有楽町ニテ「金大中」ニ戦(オノノ)ク事
4月某日 徹夜明ケニテ池袋ヘ出、ツガヒ之生態ヲ観察スル事
4月某日 電脳機械ヲ購入スルモ気分高揚セザル事


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