ああわが心の
東京修学旅行
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第3回
神保町から上野公園まで
〜文教地域を訪ねて〜
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−昼食後バスに乗り、 九段坂を下りて神保町へと入ります−
・神保町
神保町古書店街
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九段坂を下ったこのあたりは神田神保町といわれています。道の両側には古本屋がたくさん並んでいます。また、ここには三省堂、東京堂、冨山房、岩波書店のような全国的にも有名な書店や出版社があります。なぜこのようになったかというと、ここに大学が集中しているからなのです。明治大学、中央大学、日本大学、専修大学、共立女子大学をはじめ、各種専門学校などもたくさんあって、学生さんの街になっています。江戸時代、この付近には旗本屋敷がありました。しかし明治維新以降旗本は没落し、空になった屋敷を利用して続々と学校が開かれました。東京大学や一橋大学も、もともと神田にあったのです。ここから、駿河台、本郷、上野にかけては東京の文教地域ということができます。
・水道橋
神保町交差点を左折して白山通りに入りますと、左側奥一帯に日本大学の建物があります。前方のガードは国鉄中央線のものですが、その下には水道橋という橋がかかっています。江戸の町の水道「神田上水」の掛け樋がここにあったことから、「水道橋」という名前が付きました。
・後楽園
水道橋を越えて左手に広がるのが、後楽園です。ここは元陸軍工廠のあった軍用地だったのですが、関東大震災後スポーツ施設が集まりはじめ、御覧のようなスポーツセンターができ上がりました。巨人軍の本拠地である後楽園球場や後楽園遊園地が見えます。[東京ドームは、昭和63年に完成]地名の元になった小石川後楽園は、水戸藩の上屋敷の庭園で、「水戸黄門」として知られる2代藩主徳川光圀の時に完成しました。後楽園の「後楽」は、「士は天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」という漢詩の一節から取ったものです。
・本郷三丁目
かねやす
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春日町の交差点を右に曲がり、春日通りに入ります。この先本郷三丁目の中仙道との交差点には、「かねやす」という小物店があります。江戸時代の川柳に「本郷もかねやすまでは江戸のうち」と読まれ、その先は大名屋敷とお寺だけのさびしい所だったそうです。この交差点を左折すると東京大学が見えてきます。本郷三丁目界隈には医療器械の製造販売店が多く見られます。神田からこのあたりにかけて、東京医科歯科大学や順天堂大学、日大病院など、医大・大病院が多いので、このような店が集まったと思われます。
・東京大学
こちらが皆さんあこがれの東京大学です。この敷地はもと加賀百万石前田家の屋敷で、11代将軍徳川家斉の娘が前田家に嫁いだのを記念して建てられたのが、右手に見える「赤門」です。「赤門」は東大の代名詞として使われますが、実は大学の正門はこの先にあります。正門をくぐると正面に安田講堂があります。安田講堂は安田財閥を築いた安田善次郎の寄付で大正14年に建てられました。
バスは右折して言問通りに入ります。左に見えるのは東大の農学部の建物です。この一帯は本郷弥生町といわれていましたが、明治17年に縄文式土器とは違う特徴を持った土器がここから発見され、町の名前をとって「弥生式土器」と名付けられました。
・上野公園
言問通りの坂を下った所で右折して不忍通りへと入ります。左には上野の山が見えます。
江戸時代、上野の山一帯に東叡山寛永寺の大伽藍がありました。寛永寺は江戸城の鬼門を護る徳川家の菩提寺として、2代秀忠、3代家光の2代にわたって造営されました。別院が36もある美しく贅を尽くした大寺院でしたが、明治維新の際に幕府方の彰義隊が立てこもって戦場となり、そのほとんどが焼けてしまいました。「東叡山寛永寺」という名前は京都にある「比叡山延暦寺」にならって付けられましたが、左手に広がる不忍池は「琵琶湖」に擬せられ、その中島には琵琶湖の竹生島のように弁天堂が建てられています。戦火で荒廃した上野の山はその後上野公園として整備され、皆さんがこれから行く動物園や博物館など、様々な施設が造られました。
上野広小路(昭和34年)
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上野広小路(現在)
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不忍池の周りをめぐりながら、バスは上野公園へと入っていきます。右手に見える銅像は、上野のシンボル西郷隆盛の銅像です。詩人の高村光太郎のお父さんである彫刻家の高村光雲によって、明治31年に制作されました。愛犬を連れて桜島での兎狩りに出かけようとする西郷さんだそうです。ここから上野広小路の街並みが一望できますが、先を急ぎますのでバスに戻る際にじっくり見て下さい。
バスは上野動物園へとやってまいりました。明治15年に博物館の一部として開園し、飼育動物数は34年1月末で411種2138点。象やキリン、お猿の電車やモノレールもあります。ここでバスを下りて、動物園を見学します。見学をするにあたり、次のことを守って下さい。
上野動物園のモノレール
(昭和32年)
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1.動物に石を投げたりしないよう可愛がって下さい。
2.物をこわしたり、植込地に入らないで下さい。
3.紙屑は必ず屑籠に入れて下さい。
4.人の迷惑になることはやめて下さい。
5.持物や懐中物に用心して下さい。
引率は担任の先生がなさってくださいますが、皆さんキョロキョロしてはぐれないように。わたくしはバスでお留守番しています。
(第3回 終)
調査協力:財団法人 日本修学旅行協会
この番組は、昭和30年代から40年代にかけての東京を修学旅行形式で皆さんと振り返 る視聴者参加番組です。当時実際に東京見学に行かれた方も多いと思います。その時の旅
のしおりや写真、学校で書かされた感想文などがお手元にありましたらご投稿下さい。
2002年9月19日更新
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