レトロスポットガイド「昭和チック天国」
アカデミア青木
ラーメンと昭和の夕焼けと日本人の忘れたもの
〜新横浜ラーメン博物館〜
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JR「新横浜駅」からオフィス街を歩くこと5分。ラーメン文化の発信地であるここ「新横浜ラーメン博物館」の前は、夏休み期間中とあって多くの親子連れや若者で賑わっていた。
館内は、1階がラーメンに関する歴史や道具を展示したギャラリーとグッズショップ、地下にラーメン店が立並ぶ「鶴亀商店街」などがあり、2階から上は駐車場となっている。
早速、レトロの匂いがプンプンしそうな階段で地下に下りていくと「鳴戸橋」駅の改札があり、そこを抜けると夕焼けに照らされた昭和33年の街並みが広がる。この街の中で、懐かしさに浸りながら全国の名店中の名店のラーメンが味わえるというのは言わずと知れたここ独自の趣向である。
改札を出て右手にタバコ屋「しんせい商店」がある。ここでは昭和33年当時に売られていた銘柄のタバコを実際に買うことができる。この隣が「八戸麺道・大陸」、向いは「支那そばや」である。
タバコ屋を右手に見ながら路地を進むと、どこかで見たことあるような下町の風景が広がる。木製のドブ板、ドアに付けられた各種加入者票、破れかけた掲示板の掲示物などすべてが手作りであると伺い、そのリアルさに驚嘆してしまう。また、二階の軒下には生活感溢れる洗濯物も干してあり、住人の息づかいが伝わってくるようだ。その他この通りには伍島写真館、宗谷旅館、破風の屋根が立派なれんげ湯、家族連れで店内いっぱいの人気駄菓子屋「夕焼け商店」がある。やはり下町に駄菓子屋はつきものだ。
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路地を抜けると通称「マイト街」と呼ばれる飲み屋街がある。新宿のゴールデン街を思わせる看板に囲まれるように旭川の老舗ラーメン店「蜂屋」が陣取る。近くの電話ボックスは美術スタッフ渾身の作、「どこかにあったものを持ってきた」といっても信じてしまう位の出来だ。派出所の隣がショットバー「35ノット」。店内の寿屋(サントリーの旧社名)の広告がやけに懐かしい。
階段を下りると地下2階、通称「鶴亀商店街」がある。ここには、「札幌・すみれ」、「京都・新福菜館」、「東京・勝丸」、「横浜・六角家」、「久留米・魁龍」、「熊本・こむらさき」の6つのラーメン店が軒を連ね、客が長蛇の列を作る。中央のスペースには、店の半分が居酒屋で残り半分で揚げパンなどを売っている「少年時代屋(やんちゃや)」、スマートボールなどの露店があって、ラーメン以外のお楽しみも用意されている。この鶴亀商店街に飾られている映画看板も昭和32〜33年に制作・上映された作品だとか。
街の住人達も当時の話題をベースに会話をするとのこと。
ここまで昭和33年にこだわる理由を広報の西岡啓次氏に尋ねてみた。
「ひとつめの理由は、この年初めてインスタントラーメンが発売され、これをきっかけに「ラーメン」という言葉が市民権を持ったということです(それまでは一般に「支那そば」とか「中華そば」と呼ばれていた)。また、長島茂雄氏の巨人軍デビュー、美智子妃の婚約発表、東京タワーオープンといった何かと明るい話題が多かった1年だったことがふたつめの理由です。そしてそんな活気のあった昭和33年の夕暮れの街の中で、ラーメンを食べていただくのが一番美味しいのではと考えました。」と。
新横浜ラーメン博物館は、現在年間入場者が150万人を超えるまでになった。しかし、ラーメン店の選定とこだわり、街の内装へのこだわり、そしてラーメン店誘致のための奮闘などでオープンまでに約3年を要した。6名のメンバーにはラーメンだけでなく飲食業さえも経験者がいなかったという。しかも誰も足を踏み入れていない未開拓の沃野。彼らのこころざし、行動力、すさまじい情熱、そして僅かな天運が今日を実現したのであろう。
昭和30年代の日本はまさに高度成長期。誰も足を踏み入れていない分野ばかり。が、それを打破していくほどの活力と不撓不屈の精神とともに、失敗をも包みこむ優しさがあったのではなかろうか。ここに来るとそんなふうに感じる。
所在地 |
神奈川県横浜市港北区新横浜2−14−21
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営業時間
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11:00〜23:00(入場は22:00まで)
土・日・祝日は10:30開館
(年末年始並びに臨時の展示替え日を除き無休)
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入浴料
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大人(中学生以上) 300円 子供(小学生) 100円
小学生未満無料 ※団体割引、3ヶ月入場フリーパスあり
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アクセス
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JR「新横浜駅」より徒歩5分
横浜市営地下鉄「新横浜駅」8番出口より徒歩1分
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問合せ先 |
045−471−0503
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URL |
http://www.raumen.co.jp/
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2002年9月19日更新
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