21世紀編(2012-)の最近のブログ記事

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きょう2012年5月5日、国内で唯一、稼働を続けていた北海道の泊原発3号機が、停止する。
これを書いているのは午後8時半、すでに出力を下げ始めている。
午後11時には発電が停止、そこから3時間かけて翌6日の午前2時頃に原子炉は眠りに入る。
ニュースで、泊村の村長が「大変、残念です。早く安全を確認して、再稼働してほしい」と言っていたのを見た。
安全を確認したら再稼働だのと言うけれど、そのストレステストとやらは、2011年3月11日からきょうに至るまで実施され続けているじゃないか!
少なくとも、こんな地震の多い島国に、原子力発電所を54基も存在するのは、無茶だ。
その54基から、福島の4つの原発が廃止された。地球の怒りに触れたのだ。
そして今夜、最後の1基が停止する。
しかし、これら日本中の原発停止は、いったんのことだ。
政府や自治体や電力会社、或いは一部の政治家やマスメディアは、早く安全の確認を示して再稼働させたいと願っている。
「ただちに影響はありません」
その通りだ。放射能によって、何らかの病気が発症するのは数年経ってからだ。
原発を支持する人々は、どちらかといえば年配の世代が多いはず。
戦争を支持するのも、そうだろう。
なぜ、若者の未来を考えない?
なぜ、生まれてくる子供たちのことを考えない?
RCサクセションが、レコード業界の様々な困難を乗り越え、1988年8月15日、終戦記念日にリリースしたアルバム、「COVERS」。
曲目は、すべて洋楽のポピュラーソングのカバーだが、ただのカバーじゃない。
いくつかの歌は、歌詞が大幅に根本から変えられ、反戦・反核・反原発の歌ばかりに仕上がっている。
このアルバムのレコーディングには、桑田佳祐泉谷しげるや三浦友和など、忌野清志郎の友人たちが集まった。
「サマータイムブルース」のオリジナルは、エドワード・レイ・コクラン。
通称、エディ・コクラン。ロカビリー初期のスーパースターだ。
ノリノリで、かっこいい!


 Well, I'm gonna raise a fuss I'm gonna raise a holler
 About a working all summer Just to try to earn a dollar
 Well, time I called my baby Try to get a date
 My boss says, no dice son You gotta work late
 Sometimes I wonder What I'm a gonna do
 But there ain't no cure
 For the summertime blues

 Oh, well my Mom and Poppa told me, son
 You gotta make some money If you want to use the car
 To go ridin' next Sunday Well I didn't go to work
 Told the boss I was sick Well you can't use the car
 Cause you didn't work a lick Sometimes I wonder
 What I'm a gonna do But there ain't no cure
 For the summertime blues

 I'm gonna take two weeks Gonna have a fine vacation
 I'm gonna take my problem To the United Nations
 Well I called my congressman And he said, whoa
 I'd like to help you son But you're too young to vote
 Sometimes I wonder
 What I'm a gonna do But there ain't no cure
 For the summertime blues


 "Summertime Blues" written by Eddie Cochran, Jerry Capehart


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Eddie Cochran Memorial Album
"Eddie Cochran Memorial Album" by Eddie Cochran
1. C'mon Everybody 2. Three Steps to Heaven 3. Cut Across Shorty 4. Have I Told You Lately That I Love You 5. Hallelujah I Love Her So 6. Sittin' In The Balcony 7. Summertime Blues 8. Lovin' Time 9. Somethin' Else 10. Tell Me Why 11. Teenage Heaven 12. Drive In Show
Released on May, 1960


この「Summertime Blues」を、清志郎は見事に反原発の歌に化けさせた。
歌詞の中で、「37基も建っている」と歌っているが、それから17基増えたということだ。
そして、そこから4基が津波と地震で爆発し、残りの50基は、いったんではあるが今夜をもって、すべてはただの建造物となる。
反核・反原発がブームだった時代は、確かにあった。
それが十数年、忘れられていて、東日本大震災が起こった。
どうかこのまま、すべての原発が再稼働されないまま廃炉になるべく、キヨシローのように皆が声を上げ、或いは祈っていこう。
清志郎さんはライブ映像の中で、「ガンで死にたくねえ〜」と言っている。
彼は東日本大震災と原発事故が起こるよりも前に、ガンでこの世を去った。
ブルーズ、ソウルミュージック、プロテストソング、どんな名前でもいい。
歌は、世界と自分を繋げ、現在と未来を繋げるひとつのカタチだ。
ロックンロールとは、照れながら思い切り、正義を歌うことである。
ちなみに、国内のすべての原子力発電所が稼働停止するのは、ちょうどいま書いている1970年以来のことだ。


 暑い夏がそこまで来てる
 みんなが海へ繰り出していく
 人気のない所で泳いだら
 原子力発電所が建っていた

 さっぱりわかんねえ 何のため?
 狭い日本のサマータイムブルース

 熱い炎が先っちょまで出てる
 東海地震もそこまできてる
 だけどもまだまだ増えていく
 原子力発電所が建っていく

 さっぱりわかんねえ 誰のため?
 狭い日本のサマータイムブルース

 寒い冬がそこまで来てる
 あんたもこのごろ抜け毛が多い
 それでもTVは言っている
 「日本の原発は安全です」

 さっぱりわかんねえ 根拠がねえ
 これが最後のサマータイムブルース

 あくせく稼いで税金取られ
 たまのバカンス田舎へ行けば
 37個も建っている
 原子力発電所がまだ増える

 知らねえうちに漏れていた
 あきれたもんだなサマータイムブルース

  電力は余ってる 要らねえ
  もういらねえ
  電力は余ってる 要らねえ
  欲しくない
  原子力は要らねえ 危ねえ
  欲しくない
  要らねえ 要らねえ
  電力は余ってるってよ
  要らねえ 危ねえ


 「サマータイムブルース」原詞・曲:Eddie Cochran, Jerry Capehart 訳:忌野清志郎


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カバーズ
RCサクセション「COVERS」
1. 明日なき世界 (Eve Of Destruction) 2. 風に吹かれて (Blowin' In The Wind) 3. バラバラ (Balla Balla) 4. シークレット・エージェント・マン (Secret Agent Man) 5. ラヴ・ミー・テンダー (Love Me Tender) 6. 黒くぬれ! (Paint It Black) 7. サマータイム・ブルース (Summertime Blues) 8. マネー (Money) 9. サン・トワ・マミー (Sans Toi M'amie) 10. 悪い星の下に (Born Under A Bad Sign) 11. イマジン (Imagine)
Released on August 15, 1988


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きょう5月3日は、ピート・シーガーの93歳のお誕生日。
いまだ現役で活動するそのエネルギーは、世界の平和を願うエネルギーそのもの。
アメリカ政府がアフガニスタンを空爆し始めたときは、戦争反対のプラカードを持ってハイウェイに立った。
日本でずっと、「Waist Deep In The Big Muddy」を訳した「腰まで泥まみれ」を歌い続けた中川五郎は、昨年、シーガーと会うことができた。
少年時代に弟子入り志願の手紙を出し、来日したときに出会っている高田渡も、晩年まで彼ともう一度会いたかったという。
現在、彼はニューヨークにあるフィッシュキルという場所に住んでいる。
そこにはダッチェス・ジャンクションという集落があって、夫婦で最初にそこへやって来たときはトレーラーで暮らし、次に丸太小屋をつくり、そして大きな家建てるまでに至った。
直接的な反戦活動や環境活動にバリバリ現役の、芸能と運動を両立する数少ない表現者の一人、その人の名は、ピート・シーガー。
日本における芸能界とフォークシンガーの状況とアメリカのそれとは違うとはいえ、アーティストぶらずにプロテストフォーク・オンリーでここまでやって、しかもちゃんと元気に生き続けているのは、すごいことだと思う。
もっとも、彼もアメリカの芸能界、たとえばテレビからは何十年と干されていた。
若くして命を終えた師匠ウディ・ガスリーと、ポップスターへと変身を遂げた弟弟子ボブ・ディランのあいだで、プロテストど真ん中直球のスーパーおじいちゃんが歌っている。
彼の望むことは、たったひとつだ。
世界が平和になることだけだ。
そのために歌う。とてもシンプルなことなんだ。
この地球に息づく60億を越える人々、そのひとりひとりにそれぞれの生き方がある。
それがピート・シーガーにとっては、歌を歌うことだった。
地位もいらない。名誉もいらない。お金も少しあればいい。
「Last Night I Had the Strangest Dream」の詞のような奇妙な夢が、現実になるその日まで、彼は歌いつづける。
いや正確には、彼の歌が世界に響きつづける。
ピート・シーガーというひとりの人間が、その命を終えて生身のカラダをなくしても、世界が平和になるその瞬間まで、彼の歌は止まらない。
そしていつか平和が実現したならば、こんどはバンジョーや12弦ギターのやさしい音色とともに、陽気で朗らかなトラディショナルソングが聴こえ出して、世界を祝福するはずだ。
それにしても老いてなお盛んなこの漲る生命力。
ピート・シーガーとB.B.キングは、不老不死の薬でも飲んだのかもしれない。


 Last night I had the strangest dream
 I'd ever dreamed before
 I dreamed the world had all agreed
 To put an end to war

 I dreamed I saw a mighty room
 Filled with women and men
 And the paper they were signing said
 They'd never fight again

 And when the paper was all signed
 And a million copies made
 They all joined hands and bowed their heads
 And grateful pray'rs were prayed

 And the people in the streets below
 Were dancing 'round and 'round
 While swords and guns and uniforms
 Were scattered on the ground

 Last night I had the strangest dream
 I'd never dreamed before
 I dreamed the world had all agreed
 To put an end to war.


 "Last Night I Had the Strangest Dream" lirycs by Ed McCurdy


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If I Had a Hammer-Songs of Hop
"If I Had a Hammer-Songs of Hop" by Pete Seeger
1. I'd Hammer In The Morning (Intro): If I Had A Hammer 2. Banks Of Marble 3. Solidarity Forever (Unions And Labor): Which Side Are You On? 4. Solidarity Forever (Unions And Labor): Casey Jones (The Union Scab) 5. Solidarity Forever (Unions And Labor): Talking Union 6. Solidarity Forever (Unions And Labor): Joe Hill 7. Solidarity Forever (Unions And Labor): Union Maid 8. Solidarity Forever (Unions And Labor): Step By Step 9. Solidarity Forever (Unions And Labor): Solidarity Forever 10. Study War No More (Peace): Where Have All The Flowers Gone 11. Study War No More (Peace): Talking Atom 12. Study War No More (Peace): Crow On The Cradle 13. Study War No More (Peace): Last Night I Had The Strangest Dream 14. Study War No More (Peace): Study War No More 15. We Shall Overcome (Civil Rights): Bourgeois Blues 16. We Shall Overcome (Civil Rights): River Of My People 17. We Shall Overcome (Civil Rights): Hold On (Hand On The Plow) 18. We Shall Overcome (Civil Rights): We Shall Overcome 19. I'd Hammer in The Evening (Hope): He Lies In The American Land 20. I'd Hammer in The Evening (Hope): Well May The World Go 21. I'd Hammer in The Evening (Hope): Turn, Turn, Turn 22. I'd Hammer in The Evening (Hope): Tomorrow Is A Highway 23. I'd Hammer in The Evening (Hope): Oh, Had I A Golden Thread 24. I'd Hammer in The Evening (Hope): We'll All Be A-Doubling 25. I'd Hammer in The Evening (Hope): Arrange And Rearrange 26. I'd Hammer in The Evening (Hope): If I Had A Hammer
Released on May 19, 1998


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2009年5月2日、清志郎さんが天国へ行った日。
ゴールデンウィークのど真ん中で旅立つなんて、ロックンロールだ。
悲しい瞳のブルーズマン。
恥ずかしがり屋の道化師。
まっすぐなアナーキスト。
行き過ぎた発言や行動も、たくさんあっただろう。
それでも、みんなに愛された。いまも。
泉谷しげるさんが言う通り、忌野清志郎は死んじゃいない。
忌野清志郎も加藤和彦も藤村直樹も坂庭省吾も若林純夫も岩井宏もデイブ平尾もジョー山中も安岡力也も高田渡も西岡恭蔵も誰も彼も、みんなみんな、死んだりなんかしちゃいない。
生身のカラダが見えなくなっただけのこと。
歌い手は、歌そのものになる。
もしも、すべてを忘れてしまったとしても、君のことを私は憶えているし、私のことも君は憶えてくれているはずなんだ。
・・・Yeah!!って言え〜っ!!


 Remember You すべて忘れたとしても
 Remember You 君を憶えているよ
 僕の目が耳が口が胸が どうやっても君から離れない

 Remember You すべて無くしたとしても
 Remember You 僕は憶えているよ
 君の目を耳を口を胸を そうさ今も忘れられないのさ

  Hey Hey Hey すべては変わってしまった
  Hey Hey Hey すべては消えてしまった
  この手の中には もう何もない
  空っぽの夜が ただ笑ってるだけ

 Remember You 今は何も見えないよ
 Remember You 何も聞こえはしないよ
 君の目に耳に口に胸に どうやっても二度と届かない

  Hey Hey Hey すべては変わってしまった
  Hey Hey Hey すべては消えてしまった
  この手の中には もう何もない
  空っぽの夜が ただ笑ってるだけ

 Remember You すべて忘れてしまった
 Remember You だけど憶えているよ
 君の目が耳が口が胸が どうやっても僕から離れない
 どうやっても僕から離れない


 「REMEMBER YOU」詞・曲:忌野清志郎、三宅伸治


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GOD
忌野清志郎「GOD」
1. ROCK ME BABY 2. 愛と平和 3. 仕草 4. REMEMBER YOU 5. ママもうやめて 6. GOD 7. KISS 8. サイクリング・ブルース 9. 旅行 10. わからず屋総本家 11. 春の嵐 12. 君を信じてる 13. JUMP
Released on March 2, 2005


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Author


    藍見澪 -Rei Aimi + Folksong Institute-
    「フォークソング」という言葉の意味を再定義し、日本のフォークやロックの歴史を研究、ひいてはすべての歌に繋げる実験・・・のつもり!

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