第2回 夜桜まるき後日談〜でぃ・とみ田ぁ・とぅもろぉ |
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2回目にして前回のネタを引っ張る所業をお許し頂きたい。花見を提唱した手前、松戸坂川周辺の桜を目にしておこうと向かったところ、やはり今年もひっそりと趣きある開花具合だったので、どうしてもお披露目したかったのである。
松戸駅西口から前回写真をお見せできなかった松戸公産を写真に納めようと旧水戸街道へと向かう。旧街道へ出る手前に瀟洒な佇まいのそば処関やどがある。旧街道沿いには天ぷらの店もあり、古くから地元で愛されている名店だ。こうした店が路地裏にさり気無くあるあたり、この町が昨日今日つくられてないことを物語っている。
平日の昼間だろうがとにかく交通量の多い道路となってしまった旧街道は、嫌になるほど写真撮影に苦慮する。道路の向かい側から車をやり過ごしてなんとか松戸公産の撮影に成功。白い外壁部分が煉瓦だったというのだからペイントを恨めしく思うが、このシルエットが拝めるだけでもありがたいと思わなくちゃいけないのだろう。
前回はざっくりとやり過ごしてしまったが、旧街道沿いにシブトク生き残る物件を紹介しておこう。まずはかつびしや。看板にたばこ・洋品と読めるが、いまでいえばコンビニみたいなものだろうか。元々は全体に煉瓦造りだったようだが、正面部分がトタンのようなものに覆われ看板建築状態になっている。先の松戸公産といい、この辺りに煉瓦建築が多いのは、過去幾度となく火災に見舞われたエリアだったからという話もあるようだ。
その先には出桁造りの米屋が立派な佇まいを止めている。現在は向かいに新たな店舗を出しているが、このマンションに囲まれた状況で取り壊さないのは、まさに松戸のあるべき町並みを死守しようとする意思表示のようで実に頼もしい光景となっている。
この先春雨橋に出るといよいよ坂川である。急カーブする川の先には松戸神社の欄干にかかる桜の姿がしっかと認められた!
旧街道から鳥居を抜ける参道にも満開の桜が咲き誇っている。やはり橋の手摺と桜のコントラストが見事。
この先小山閘門に至る坂川沿道は前回しっかり報告させていただいたので詳細は省くが、一部桜が見られる箇所もあり、この時期ならではの春の光景が展開している。今回発見したレトロ建築も含め、しばし写真のみでお楽しみ頂きたい。
ブラブラとしていたらお腹もすいてきたので伊勢丹脇から紀伊国屋書店を抜け線路を跨ぎ東口へ出る。駅からだと前回紹介したまるきとは逆に東口駅前ロータリーを南へと進む。
数分でこざっぱりとした暖簾が見えてくる。目的地である中華蕎麦とみ田はオープン間もなくして超人気店となった。この連載ではあまり行列店は扱わないと決めていたが、平日の真昼間、そうそう大行列とはいかないようだ・・・と店先まで辿り着いて目に飛び込んできた光景は!?
ちゅどーん! ざっと20人はいるだろうか(写真は店を出たときのもの。これの1.5倍ほどの列だった)。入口を空けて店の側面に並んでいたので遠くからでは列に気づかなかったのだ。でも仕方ない。この店は遡ると先だってニュースにもなった東池袋大勝軒の流れを汲んでおり、独自の進化を遂げているというのだ。それにこの土地は幾つかの店が入れ替わっているが、その何れもが丁寧な仕事で人気を博した名店ばかりなのだ。ここは腹を括って並ぶしかあるまい。
1時間ほどで入店。事前にオーダーが通っているので、席に着いて暫くすると自分のつけそば¥700がやってきた。
通常のラーメンでは麺の量は120〜150g程度、つけ麺だと200gちょっとだが、ここは標準でラーメンが230g、つけめんは300gある。しかも丸々とした太麺がなので実際はもっと大盛に見えてしまう。安い値段で沢山食べて欲しいという東池袋大勝軒イズムを地で行く気概を感じるが、頼めば少なめにも応じてくれるのでご安心を。
この独特の粉の風合いに満ちたギチギチ麺を受け止めるつけ汁は、豚骨などのダシに魚粉が散りばめられた動物系+魚介という今時のスタイルながら、動物スープが白濁するほどじっくり焚かれているのかねっとりとした濃厚な喉越し。そこに魚粉のパンチがガツンとくるが、柚子の香りも手伝ってか嫌みなく飲後感が良い。おそらく丁寧にアクをとるなどしているのだろう。
麺を啜るというより掴むようにつけ汁に浸し貪るように噛みしだくというワイルドな食べ方が似合うようだ。そんな風に無心に食べていると多かった丼もあっという間に空になり、スープ割りで最後の一滴まで堪能し店を後にした。
松戸という街を振り返るに、確かに旧街道の残り香が消えつつあることに対する行政等のフットワークの悪さに呆れつつも、単に何処にでもあるプラモデルのような町へと刷新されるのではなく、地域に根ざしていながら全国レベルの実力派ラーメン店が息づいているというところに土地の持つ底力を感じてならない。しかもそのことに対して住民がほぼ無自覚であるというのが、自分のような余所者には興味深くて仕方がない。
前回今回と少々松戸をプッシュしすぎてしまったが、まだまだキテるゲームセンターや軍事遺跡など掘り起こせばキリがないのでそれはまたいずれということで、とりあえず松戸特集を終えるとしよう。
2007年4月24日更新
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