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4.ふろくでお勉強 |
『小学○年生』や『○年の学習・科学』じゃあるまいし、漫画雑誌の『りぼん』や『なかよし』に勉強のふろくがついているなんて、そんなのありえないよ〜
こう思われるかもしれません。しかし「2.『りぼん』『なかよし』が生まれた時代」でも少しふれましたが、昭和40年代前半までの少女雑誌はまだ漫画だけではなく、学習も含めた少女の生活全般にわたった総合情報誌の色合いが濃かったのです。それゆえこの時代には、学校の勉強の助けとなるふろくや「知識を身につける=物知りになる」ためのふろくもしばしば見受けられました。
特に『なかよし』は「学習参考書・ドリル系」のふろくに力をいれていたようです。例をあげてみましょう。
・目で見る社会科 たのしい旅行アルバム(昭和30年10月号)
・きっとちからがつく 二がっきの学習(昭和31年10月号)
・別冊 ひとりでまなべる 学習テストブック(昭和31年11月号)
・私たちの社会科 日本名所アルバム(昭和32年1月号)
・大けんしょうつき 学習テストブック(昭和32年4月号)
・夏やすみのずが 工作(昭和32年8月号)
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他にも「国語辞典(昭和35年10月号、42年4月号ほか)」や「人名事典つき社会・理科ものしり事典(昭和37年5月号)」「少女学習年鑑(昭和31年12月号)」など「辞書・年鑑系」にも手を伸ばしており、学研もビックリのラインナップで少女たちの学習をバックアップしていたのです。勉強なんていつもは気ノリしないけど、大好きな雑誌のふろくでだったらやってみようかな、と少女たちをその気にさせて学習をより身近に感じさせようとしていたのでしょうね。しかしこの辞典類や学習年鑑、私も欲しいです。いやマジで。
これだけではなく「百人一首(昭和39・41年各1月号ほか)」や「社会科かるた(昭和38年1月号)」など、遊びながら学べるふろくも登場しました。
唐突ですが、冬休みの宿題の定番といえば書初めですよね。「初春のよろこび」「幸せの春」といった「お正月の書初め手本」が『りぼん』のふろくになっています(昭和37年1月号ほか)。私が小中学生だったころは学校からお手本を与えられていたのですが、このふろくで学校に書初めの宿題を出した少女はどれくらいいたのでしょうか。
昭和30年代の『りぼん』『なかよし』にはちょっとした雑学、いわゆる「豆知識」がハシラなどによくみられたのですが、その集大成ともいえるふろくが「りぼん文庫(昭和37年2〜8月号)」でしょう。
少女向けの本にありがちな手芸や料理といった実用的なものではなく「楽しく読めて勉強になる、ものしり博士になれる」をキャッチコピーに、1ヶ月1テーマで全7回にわたるシリーズとなりました。各月のテーマは以下のとおり。
2月号:お菓子「すてきなお菓子のなんでもわかる百科辞典!」
3月号:ふくそうの歴史「これ一冊よめば社会科は満点!」
4月号:花「花のことならみんなわかっちゃうの!」
5月号:美しい日本「日本の美しい自然や名所を絵と写真でめぐる」
6月号:ことば「まるであなたの家庭教師みたいなことば事典」
7月号:数のおもちゃ箱「算数はにがてよ! なんていわないで」
8月号:星の世界「すてきな星の物語をおおくりします」 |
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手元に「数のおもちゃ箱」があるので、どんなことが書いてあるのか見てみますが「原始人は数をこう数えていた!」「十進法とは?」「九の段のかけ算の不思議」「魔方陣で遊ぼう」「+−計算の考え方」など、ふろくにしておくには惜しいほどの興味深く充実した内容で、すっかり母親年代になってしまった私でさえも感心してしまいます。さらに、表紙裏のあいさつ文「一つ一つの楽器が集まって、すばらしいオーケストラができ、美しい音楽が演奏されるように、こんなにかわいい文庫ですが、つぎつぎに集めれば、きっとあなたの知識の宝庫となるでしょう」に泣かされました。「学校の先生もおほめになる」というコピーも言い過ぎではなく、まさに「手のひらサイズの百科事典」と呼びたいぐらい。他のテーマはどんな内容だったのでしょう。ぜひ読んでみたいです。
少女雑誌のふろくといえば、かわいらしいイラストとカラフルな色彩の小物類という印象が強いかと思います。もちろんそれが中心なのですが、それだけではなく、学校の勉強の役に立ち知識をつけるためのふろくが地味ながらも存在していた時代があった、このことを心にとめていただければ幸いです。
そして『りぼん』や『なかよし』に教育的役割がなくなり、漫画雑誌として確固たる地位を築いている現在では、国語辞典や学習ドリルといったふろくはもはや必要のない、それこそ「ありえない」ものなのでしょう。
次回は女の子が大好きな、アクセサリーなど服飾小物について。
2003年8月13日更新
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3.別冊がいっぱい
2.『りぼん』『なかよし』が生まれた時代
1.ふろくって何?
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