1492年、コロンブスはサンサルバドル諸島でアメリカ大陸のタバコに出会った。同年10月5日原住民から友好の品として一束のタバコの葉を贈られたそうである。スペイン人の部下ヘレスは原住民たちが部落でタバコを吸う姿をはじめて目撃し、タバコ文化に接触した。
喫煙の習慣を人類最悪の選択と言う人もいるが、パイプによる喫煙文化は嗜好品としてよりも神聖な祭器として部族の首長が持つものとされており、他者との親睦を深める場合に使用していたとのこと。コロンブス一行が彼らへ友好の証として鏡や装飾品を贈ったのに対して彼ら原住民はタバコをプレゼントしたのである。新大陸に続々と渡っていったヨーロッパ人たちはアメリカ大陸のジャガイモやトウモロコシとともにタバコを移入していった。新世界の植物は貴金属と同等の価値を持ち、その中でもタバコはもっとも価値の高い換金作物の一つであったために次々に運ばれたのだった。ヨーロッパではタバコは、はじめ、嗜好品としてではなく観賞用・医療用として持ち込まれたようである。
はじめ医薬品として広まったタバコは、16世紀以降徐々に嗜好品としても人々の生活に入り込み、医療に役立つということよりも、タバコを吸うことの楽しみを人々が次第に知るに至ったのである。大航海時代の流れにより、タバコは世界を駆け巡り、スペインは太平洋を横断してフィリピンに1557年にはシガーを伝え、栽培をはじめていた。スペインと競合してアジア進出したポルトガルはヨーロッパで最初にアジアへたどり着いたものの、そのときはまだヨーロッパでのタバコ文化が完全に広まっていなかったためアジアへタバコを広めたのはむしろポルトガルの後を追ったイギリスやオランダで、その影響からアジア諸国にはパイプという形でタバコが伝播した。
1542年、鉄砲が日本に伝来したとき、日本人は初めて西洋人のタバコを目撃する。日本人はその異様な光景に驚き、「南蛮人は腹の中で火を焚いとる」といったほどだったとか。タバコが正確に日本に伝来したのはその半世紀後の1601年、スペインの聖職者が伏見で徳川家康にタバコの種子を献上したとの記録がある。中国でも16世紀初頭にはルソンからもたらされた薬草が優れた効力を示すと信じられていた。このようにはじめは薬として、やがて嗜好品として、タバコはヨーロッパ人に発見されてから約100年の間に世界を一周したのである。
梅毒の方は、コロンブスの帰港後、間もなく感染した遠征の船員から広まってバルセロナで流行した。その後、一四九四年にフランス王、シャルル八世がイタリアに侵入した際、その兵士の中に梅毒に感染していたスペインの傭兵が混じっていて、ナポリから忽ちヨーロッパ中に広まって行った。
更に、十六世紀の初めにヨーロッパ人によって海路、広東にもたらされ、日本への伝来は永正九年(1512)で、翌年には関東まで及んだという。
コロンブスのもたらした悪魔の土産は、ヨーロッパへ持ち込まれてから、煙草の方は日本へ到達するまでに約90年、梅毒にいたっては約20年足らずで日本中を駆け巡ったのであります。
飛行機などない時代にたった20年足らずで。
恐るべし、性の力、恐るべし悪魔の囁き。
日本では平成15年5月から健康増進法が施行され、喫煙場所の規制等、私めのような愛煙家にとっては住みにくい世の中になってしまいましたが、税収入を上げるためにタバコ税の引き上げなどと言う暴挙はゆるせないのであります。
健康に悪いとはわかっていても、ストレスを溜めることはもっと健康に悪いと感じる人間もいるのですから。
ある人の情報によると、千代田区の路上喫煙罰金のルールは、千代田区長がヘビースモーカー転じて禁煙をしようと決心し、ついでに皆にもタバコを吸わせないようにするために実施したとの噂。
本当なら呆れ返る話ではありますが、それにしても、税収入がかなりの金額になるのであれば、愛煙家の為の分煙システムなどにもう少しお金をかけてくれても良いのではと思うのは、間違いなのでしょうか、きっちりした分煙システムこそ本当の健康増進法ではないのかななどと思うこの頃です。
それにしても、コロンブス、悪魔の使いはあなたです。
最近、性病も爆発的に増えているとのこと、世のおじさん、買春は慎みましょう、世の未成年のお嬢さん方、売春は慎みましょう、本当に情けない。
2004年3月24日更新
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