昨年話題になった、『ケータイを持ったサル―「人間らしさ」の崩壊』(正高信男著)を、これはきっと今時の女子高校生を痛烈に批判している本であると思って読んでみましたが、そうではなくいたって真面目な行動心理学による家族論、コミュニケーション論でありました。
実際、今時の女子高校生の行動心理をサルの社会を紹介しながら分析をしている文章もあり、興味深く読ませていただきました。
ルーズソックスとかかとを踏んだ靴は公共空間に出ることの拒絶の現れ、自分の生活空間を公的場所にまで持ち込んでしまっているとの分析、従って地べたに座ったり、人前で平気で飲食が出来たり、電車内で平然と化粧をしたり、ケータイで会話が出来たり、なるほどと思わせる文章は皆様にもぜひ読んでほしい1冊ではないかと思われます。
この本の中で最も興味をひかれた項目は、第五章「社会的かしこさは40歳で衰える」のなかで紹介している四枚のカード問題です。
この問題は「ウェーソンの4枚カード問題」と呼ばれているそうですが皆さん正解できましたでしょうか。
この本ではこのようなクイズをいくつも20代と40代の社会人男性に出題して、解答を求め、正答率を算出してみたところ、圧倒的に20代のグループの正答率が高かったそうです。
そこが問題なのです、人間は年を重ねるとこういう思考力をなくしていくらしいとの結論。
40過ぎると男はダメ、これではいけない、世のおじさん世代、毎日が刺激的でなくてはなりません、こんな問題若い者に負けないように、毎日何かに不満をもって頭の体操をしていかなければならないのです。
ところで、この本の著者は昭和29年生まれとのこと、まだ40代かもしれませんね、著者は『私は携帯電話を持っていない。だから「メル友」もいない。職場では、必要に迫られてeメールを利用している。でも、いわゆるメーリングリストなどには絶対に名を連ねないようにしている。』と「はじめに」に書いておられる。
我々50歳を過ぎたおじさんが携帯電話を駆使し、インターネットで楽しんでいる現状を考えてみると、携帯電話を持つことに否定的な「はじめに」を書いておられる先生は、比較行動学の先生ということを考えると、何か不思議な気がしますね。
頑張るおじさん達、ましてや若い人達にとっては「はじめに」で拒絶反応をしてしまうのではないかな等と老婆心ながら心配してしまうのですが、先生どんなものでしょうか。
2004年2月5日更新
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