田端宏章
第7回 徳用マッチの面白さ その1
日用雑貨を扱うお店やスーパーなどで売られている「徳用マッチ」は何故か古い絵柄の商品が多いなぁ〜、ということに気付いたのは数年前のことでした。私は旅先で雑貨屋さんを見つけると、必ずといってよいほど徳用マッチを探します。だいたいの店はメジャーな絵柄(パイプ、時計、桃、ツバメ、象、馬など)のマッチを置いているのですが、地方に行くと、見たこともないような斬新な絵柄のマッチに出くわすことがあり、その時はとてもうれしくなります。
今回は、100円ライター全盛の現在でも細々と製造されている徳用マッチの図像をご紹介します。本コーナーは今まで「失われゆく物たちへの嘆き」を中心にしていましたが、今回は少し、コレクション的な要素を加えたページにしてみたいと思います。ちなみにここで紹介するのは、2002年現在でも販売されている徳用マッチのみを取り上げました。この徳用マッチコレクションは、赤瀬川原平氏や町田忍氏らがすでにメディアに取り上げていますが、私が日本中をまわって集めたマッチの中にも面白いものがあったのでちょっと紹介してみたいと思います。
今回ご紹介するのは、「なんでこんな絵をマッチの商標にしたんだ?」という物と「センスいいなあ」という物を適当に選んでみました。まずは上の図版から。
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★リボンマッチ(東亜マッチ)…リアルなようで微妙にリアルじゃないタッチのイラ ストが美しい。
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★雪印(マテラル)…あの雪印、とは違います。配色がとてもセンス良しです。
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★山源(福田燐寸)…向かい合うヒゲの男性のメダル?と山源の文字が和洋折衷。明治時代の徳用マッチにも、この向かい合う顔のメダルを商標にしているマッチがありましたが、今もまだこんなマークを使っているんですね。
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★いろは(白東燐寸)…いろはの文字が地球を囲っているところがイイ。レタリングも良いです。まるで横尾忠則がデザインしたマッチみたい。
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★千成(姫路燐寸)…ご存じ、秀吉ゆかりの「千成瓢箪」。この形と同じモナカが東京・大塚の千成モナカで売っています。欧文の書体が絵とミスマッチ。
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★ピース印(中村マッチ)…水色と赤という珍しい配色。鳩の絵もかわいらしい。
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なお、これらのマッチは大箱(約850本入)もあります。大箱は小箱とちょっと違うデザインなのですが、どれもなかなか良いデザインですので、機会があればご紹介したいと思います。次回は動物を描いた徳用マッチを中心に紹介する予定です。
(たばた ひろあき 編集者)
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2002年9月10日更新
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