ちょっと昔の女の子に
出会えます
〜ぬりえ美術館〜
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アカデミア青木
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下町情緒あふれる都電荒川線の沿線、「町屋二丁目」駅のほど近くに、今年8月「ぬりえ美術館」がオープンした。館長は、「きいちのぬりえ」で知られるぬりえ作家蔦谷喜一氏の姪に当たる金子マサさん。化粧品会社のキャリアウーマンだった金子さんは、海外で仕事をすることが多かった。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という言葉が至極当然のように使われた時期で、日本人としての誇りを持ちながらバリバリと仕事をこなしていた。
しかし、病気の母親を看護することになり、平成12年5月に会社を辞める事態に。退職後仕事から解放され、自分の周りの状況を冷静に眺められるようになって、金子さんは「日本人が戦後50余年の間に、誠実、勤勉、謙虚といった美徳を、忘れたり、捨ててきたのではないか」と思うようになった。
バブル崩壊後回復の見えない経済状況に、すっかり日本人としての自信を無くした人々。古いものの良さを再認識させ、精神を豊かにすることで彼らを元気づけたいと考えた金子さんは、幼い頃から親しんできた「ぬりえ」に着目した。ぬりえは、子供の遊びであり、心の情操を養う、心の遊び。そして、子供が触れる最初の文化といえる。「子供時代に遊んだぬりえを通じて、日本の良さが見直せたら…」その後自宅を改築する機会が訪れ、1階にぬりえの美術館を開設しようと思い立った。幸い友人にデザインや展示関係の仕事をする方々がいたので個人的に協力を依頼し、友人達や地元の業者を使って設備・什器を整えた。
美術館は受付横の月替わりのコーナーと奥の企画展示のコーナーに分かれていて、随時展示替えが行われる。現在開催中の企画展は、『子供の遊び展』。ぬりえを通じて当時の子供の遊びの様子をうかがうという趣向だが、女の子の遊びが生き生きと描かれていて、見ていると楽しくなる。制作年代は、昭和20年代後半から40年代、特に20年代後半から30年代が多く、「きいち」を中心に「まつお」、「ひでを」、「フジオ」、「たけを」などの作品が並ぶ。訪れた50〜60代の女性の中には、ぬりえを見て感極まって泣き出す方もいるという。普段は思い出しもしない昔の事が、ぬりえをみた瞬間、パッと蘇るそうで、ここのぬりえは見学者の子供時代の記憶の扉を開く「鍵」の役割も果たしているようだ。
土、日、祝日のみの開館にもかかわらず、オープン以来人跡が絶えず、累計入場者数は800人を超えた。「将来的には、世界の国々からも広くぬりえを収集し、様々なぬりえ文化を発信していきたい」という金子さん。もし、ぬりえの収蔵に関する情報、作者や出版社についての情報、子供の時ぬりえで遊んだ際の思い出、世界のぬりえ情報があったら、気軽に美術館に寄せて欲しい。
所在地
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東京都荒川区町屋4−11−8
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開館日
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土・日・祝日に開館
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開館時間
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12:00〜18:00(入場は17:30まで)
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入場料
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大人(中学生以上)500円
子供(小学生)100円
小学生未満無料
※団体割引あり
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アクセス |
都電荒川線町屋二丁目又は東尾久三丁目より徒歩5分
京成線町屋駅又は千代田線町屋駅の町屋出口から、徒歩10分
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問合せ先
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03−3892−5391
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URL
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http://www.nurie.jp
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2002年11月5日更新
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