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第8回「鼻薬といえば『ミナト式』
 ちくのう症から花粉症へ」の巻
日曜研究家串間努
メガネをかけたおとうさん

 オンナを泣かしたことがあります。
 小学校6年生のときです。同級生のAという少女はなかなかクラス内での実力者でしたが、ある日、「鼻ちょうちん」を出したところを私は見てしまったのです。子どものことですから面白いものにはすぐに反応します。
 「はなちょーちん、たれちゃったあよー」と即興のメロディで歌ってしまったのです。しかも何度も。Aは泣いて、教室を出ていってしまいました。「屋上にいるぞ」という噂が駆け巡り、「死ぬな、と言いに行け」とAを好きであることがバレているU君に白羽の矢がたちました。教室に戻ってきたAは鼻水と涙でグチャグチャになった顔で私をにらんでいました。
 昔は鼻垂れ小僧や鼻ちょうちんを出す子どもがたくさんいました。蓄膿症と呼ばれる慢性副鼻腔炎のためです。
 そのため、雑誌には「ちくのう」に関する広告も多く見られました。

ミナト式鼻液
鼻の病気

 中でも有名なのが、「ミナト式点鼻薬」の広告です。朗らかな、メガネをかけたおとうさんのイラストが奇麗にはまっていました。「ワセダ式」といえば速記、「ミナト式」といえば点鼻薬てなくらい、イメージがすぐに湧くキャッチフレーズでした。

鼻の病気と其療法

ミナト式登場!

湊式吸癒療法 鼻の病気は結局、手術しなければ根治しない。しかしなかなか大がかりなことになることから、手術には踏み切れないというところで、姑息的に洗浄法や内服薬、塗布薬や撒布薬でごまかしてきた。だが洗浄法は危なかしい、内服はまわりくどい、塗布剤は危険があるなど一長一短であり、ミナト式(もとは湊式と表記していた)鼻病治療法が開発されてきた。
 ミナト製薬の創業者の父、明石市の湊謙一医師は明治20年に「万病注射療法」という医術を編み出した。その注射液を子息の湊謙治医学博士が外国留学から帰朝後、研究苦心して鼻病の薬として完成させたという。
 もともとの「湊液」という注射液は炎症に効くものであり、殺菌消炎効果でバイキンの発育を阻止する。これを注射という方法によらないで、簡単に鼻に散布できるよう、万人向けに改良したのが湊式点鼻薬であった。そこで鼻に注入する方法として「吸癒器(きゅうゆき)」という一種の噴霧器を考え出した。英語で「全く重宝である」ことを「クワイト ユースフル」というのでその頭文字「Q・U」をとって「きゅうゆき」と命名したという。「吸癒療法」はまったく重宝であるという意味を込めたのだ。

鼻を治すと… 現在、青っぱなを垂らし、袖口がテカテカに光っている少年をみることはまずありえない。栄養摂取が格段によくなり、衛生環境も向上したことで感染症に侵されることも少なくなったためだ。ところがその替わりにアレルギー症状を子どもたちは示すようになった。食生活の欧米化でたんぱく質や脂質を多くとるようになったので免疫機能が高まったためである。
 免疫とは不思議な仕組みをもっている。委しく説明すると大変なのでおおざっぱにいうと、免疫細胞には感染症を担当する細胞とアレルギー発症に関与する細胞とがあり、どちらかが勢いが強いと片方の勢いが抑えられるのだ。つまり感染症にかかりやすい時はアレルギー反応がでず、感染症にかかりにくくなったために花粉症などのアレルギー反応がでるようになったのだ。
 あちらをたてればこちらが立たず。
 まったくうまくいかないものである。

オリジナル


2003年8月7日更新


第7回「睡眠学習器」の巻
第6回「エックス線メガネ」の巻
第5回「ハーモニカ」の巻
第4回「エヂソンバンド」の巻
第3回「スパイカメラ」の巻
第2回「コンプレックス科 体重・体格類」の巻
第1回「コンプレックス類 身長科」の巻


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