名唱ジャイアンツを偲ぶ
小坂一也を、脇役列伝に加えるのは少々気が引ける。かつてのスター歌手であり、1954年にウエスタン・バンド、ワゴンマスターズを結成。カントリー&ウェスタンのアイドルとしてその名を天下に知らしめた。
晩年は俳優業に重きをおき、陰のある男(訳ありで都会を離れ、とある温泉街に流れて来た番頭など)を演じるとサマになっていた。
歌手としても、ロカビリー三人男(平尾昌晃、山下敬二郎、ミッキー・カーチス)の兄貴分に当たる人だ。
この人の歌を生で聞いたのは、亡くなる1、2年前で所は渋谷公会堂であった。<何で俺がこんな場所で歌わなきゃいけないの>といった雰囲気が漂うスタイルであった。大変シャイな人柄のようで、もしかしたら芸能人にならず、他の世界で活躍したかとも思われる。この時は例の斜に構えて、ヒット曲を歌いまくった。「北風」「デイビー・クロケット」他多数。残念ながらこの時は歌わなかったが、古賀メロディの代表作「青春サイクリング」という佳作もある。平尾昌晃の人気絶頂時の曲で、平尾は「単車でとばせ」という曲を歌っていた。オートバイと、自転車の勝負なら前者が勝つと思う。が流行歌での戦いは、「青春サイクリング」の大勝利となったエピソードもある。
映画で注目されたのが、木下恵介監督の「惜春鳥」だ。津川雅彦、石浜朗らにもヒケを取らぬ役者振りで主題歌と共に忘れられない。
晩年再び、音楽活動に力を入れ始めた矢先の、62歳という若さの死は誠に惜しい。
数々のヒット曲の中に「ジャイアンツ」がある。夭折のスター、ジェームス・ディーンの最後の主演映画だ。♪楽しいテキサス 星降るテキサス われらのテキサス ふるさと冬の夜空を見上げて、思わず歌いたくなる。
小坂一也
生 S10.5.30
没 H9.11.1
<出身>東京 成城学園高
在学中から、駐留軍のキャンプ回りのバンドに参加。S28年高校中退。19歳でワゴンマスターズを結成。49年十朱幸代と結婚、翌年離婚。平成2年「メイド・イン・オキュパイド・ジャパン」を出版。
<趣味>絵、ゴルフ |
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2004年9月13日更新
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