第5回 港町お風呂町海老づくし〜複合施設に桜サク、そして日は昇る |
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6/19渋谷のシエスパにて源泉を汲み上げる施設で爆発事故が発生しました。昨今温泉を掘り当てたスーパー銭湯の都内での増加を喜んでいた身としては、死傷者が出たこともあり、大変残念でなりません。山間の温泉地でも源泉付近ではガス事故が古くからあり、人知の及ばぬ力の恩恵を受ける温泉は決して安全なものではないことを忘れてはならないと思います。今回、銭湯温泉を取り上げていますが、あくまで私個人の趣味嗜好とその感想であり、読者に温泉への入湯を薦めるものではありません。入湯に関する一切の責任は負いかねますので、不安点等ございましたら直接温泉施設へお問い合わせ下さい。1銭湯温泉好きとして、安心して入湯できるような明確な安全基準と必要機器設置の徹底を願ってやみません。 |
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東京の南端蒲田。そのお隣は神奈川の北端川崎。臨海部には羽田空港、そして萌え〜な工場が広がる昨今ホットなエリアである一方、駅周辺は路地裏の飲み屋や餃子屋、ちょっと影がありそうなラーメン屋が犇く。また真っ黒な温泉の沸く黒湯天国でもある。風呂入って一杯引っ掛けて腹ごなしするというフルコースが一つの街でしかも低価格で実現できるというオヤジパラダイスなのだ。
そんなこんなで紹介したいところも一杯あるのだが、今回は敢えて変化球ということで、JR川崎駅ビル川崎BEの地下にあるラーメン複合施設「ラーメンシンフォニー」(http://www.kawasaki-be.ne.jp/symphony/index.html)に入ってみることにする。
ラーメン博物館が脚光を浴びて以後、複数のラーメンテナントが入る施設は雨後の筍の如く出現したが、ラーメン博物館が誰からもウケると思われない状況下、膨大な研究資料と実際の足でオープンさせた情熱の賜物であることの前には、後発のものが到底適うべくもなく、多くが苦戦し、中には継続が困難になっているものも出ている。そんな中、このラーメンシンフォニーには数合わせ的なテナントが存在せず、神奈川を代表するラーメン店を中心に、有名実力店がしのぎを削っている。
中でも気になるのが大山(たいざん)。以前南町田でラーメン二郎を営業していたのだが、故郷の静岡に帰り大山を開店。再び地の物、駿河湾の桜海老を引っさげて神奈川へ凱旋帰国を果たした形になる。
8席程度の正面カウンターで出来上がりを待っていると隣の男性がすごい勢いでえび醤油とかき揚げ丼をかっくらっている。腹が減っている身には罪なビジュアルだ。
そして暫し、待ってましたの駿河の醤油とかき揚げのセット¥950!
エビ油が入っているだけあってエビの香ばしい香りがまず最初にやってくる。スッキリとしながらもしっかりした味わいがしなやかに口に広がる。醤油ダレもスープを壊さず、一見塩かと思うほど、引き立て役に徹している。
チャーシューは炙ってあるのに嫌に脂がスープを邪魔することはなく、適度な噛み応えで肉らしさを楽しませてくれる。
麺は細いのに噛んだ時に粉っぽさが感じられるのだ。なのにヘタらないのが素晴らしい。
かき揚げは今風の創作蕎麦屋や居酒屋で供されるような、素材に薄く絡めてみました的なもの。エビも油を吸うのか、少し油っぽすぎる感もなくはないが、サクサクの食感でラーメンとあわせるにはちょうどいい。これで衣ぼってりだったら確実に飽きる!
正直、エビはラーメンに用いて美味しいと思ったことの殆どない食材だが、前に出過ぎないのに存在感があって、う〜んこれは唸った。
腹ごしらえが済んだら次は風呂! というわけで川崎BEから京急川崎に出る。二つの駅の間は少し離れているが地下街で繋がっており、ちょっとブラつくにはもってこいの距離だ。この地下街は北野武映画『HANA―BI』の冒頭部分のロケ地。通るたびに「薬師寺出てこないかなぁ」と妙にドキドキしてしまう。
京急川崎では古びた赤い電車がお出迎え。大師線のホームだ。京急には数駅しかない盲腸線がいくつかあるが、赤いダルマの異名を持つ京急ならではの色・形が象徴的な700形車両はこの大師線のみで運行していたが引退してしまった。
東門前で下車。大師線の名の通り川崎大師の初詣客などで賑わう場所だが、大師前駅最寄の金山神社は4月の第1日曜に行われる「かなまら祭」というとんまつり(奇祭)で知られ、また海抜の低いエリア独特の街の雰囲気があるので、いつかじっくり取り上げてみたい。
人気のない道をトボトボ10分ほど産業道路に出る手前まで歩くと、お風呂の灯りが出迎えてくれる。日の出おふろセンターは別名大師サウナとして親しまれている。外観はスーパー銭湯を彷彿とさせるが、以前は昔ながらの銭湯だったんだろうなぁと臭わせる部分が随所に散見できる。
浴場内は清掃が行き届いていて気持ちがいい。目指す奥の露天風呂は大人5人が入れるほどの広さ。壁が高いものの、夜空を見上げ、夜風も感じられる。所謂黒湯で、濃さは薄めではあるものの、40〜41℃程度と好みのぬるめ。これを貸しきり状態。もう文句なし!
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日の出おふろセンター
9:00〜24:00(平日12〜15時清掃)
定休:不定(公式サイト参照)
川崎市川崎区昭和2-5-12
※時間等変更の場合があります
公式サイト |
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気づけば露天風呂に30分ほどいたか。ポカポカの身体を夜風にあてる帰り道は実に気持ちがいい。帰りは産業道路沿いに北上し、産業道路駅へ。確か8連だったかの踏切が出迎えてくれる。
駅に着くと引退間際の700形にがやってきた。そして川崎からは新車両の2100形「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」という青色が一瞬邪道に感じられるも実にキレイな青で京急のセンスのよさを感じつつ、新旧車両を噛締めながら再び川崎へ。
お風呂に入ったらお腹がすいた。というわけで再び大山へ向かいもう1杯・・・ていうのは嘘。流石に食べられないので後日再訪。どうしてもエビおろしそば¥980を食べたかったのだ。
冷やしぶっかけ状態の麺に桜海老がたっぷり乗る。ここの桜海老は臭みがなくサイズも大きめで、口の中でザクッと噛んだ後、香りがホワ〜っと広がる。
麺は太麺。見た目若干くすんでいて捻じれてもいれるので、ごわっとした粉っぽい麺かと思いきや、かなり弾力のあるタイプ。噛締めると粉の味わいがやってきて段々とクセになってくる。
スープ割りのスープが最初から添えられているのだが、そのまま飲むと動物系と野菜だろうか、どのダシの要素も突出してないスープなのだが、飲みやすくも全体としてのまろやかさが出ていて不思議。ベースのスープがどうも好みのようだ。贅沢を言えば、細麺でこのおろしそばを食べてみたくなった。
※エビおろしそばは訪問当時限定メニューだったため価格変更、また通常メニューにない可能性があります。
帰りはやはり京急に乗って品川までビヤ〜っと快特で家路に着いた。このときは座席がクロスシート(ロマンスシート)で、無料特急なのにロマンスカーにでも乗ったような旅行モード。このシートで夜の京浜地帯を走ると夢心地である。
そんな想いもつかの間、10分程度で品川に到着。ず〜っと乗っていたい衝動に駆られる。罪づくりな京急・・・だから京急はやめられない。
2007年6月21日更新
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