昨年、代官山のライブハウス「晴れたら空に豆まいて」で、前野健太さんと遠藤賢司さんのジョイントライブを観た。
エンケンは、「テレビは福島や東北に昔からある民謡や祭りを取材して放送するべきだ!」みたいなことを言っていた。
さすがエンケン、ジャンルなんて関係なく、いい歌はいい歌。
そして、その土地の長い歴史の中で日々の営みに根付いたものこそ、ホンモノの歌。
きょうは福島県の民謡を2曲、紹介します。明日は、また違う福島民謡を載せます。
これこそ、フォークソングでしょ。そして、クロニクルでしょう。
「相馬盆唄」は、中通りと浜通りに伝わる民謡。
「新相馬節」は、「相馬草刈唄」を元につくられ、紅白歌合戦にも幾度か出演した鈴木正夫によって全国的に有名になった。
前者は「秋田甚句」、後者は「石投げ甚句」が曲の成り立ちに関連している。
甚句とは、江戸時代に発祥した歌謡スタイルで、七五調の歌詞と囃子言葉が特徴。山形の花笠まつりで歌われる「花笠音頭」は代表的だ。
そうなのだ、そもそも歌とは「祭り」なのである。
そして、目に見えぬ神仏や死者への「祈り」だ。
それはつまり、自然天然への畏敬の念につながる。
前回に紹介した沢田研二のマキシシングル「3月8日の雲」にも、「恨まないで」という曲がある。
ハアアーアイョー 今年ゃ豊年だよ
穂に穂が咲いてよヨー
ハアアー 道の小草にも
ヤレサナ 米がなるヨ
ハアアーアイョー 道の小草に
米がなるときはヨー
ハアアー 山の木萱に
ヤレサナ 米がなるヨ
ハアアーアイョー 揃った揃ったよ
踊り子が揃ったヨー
ハアアー 稲の出穂より
ヤレサナ よく揃ったヨ
ハアアーアイョー 踊り踊るなら
三十が盛りヨー
ハアアー 三十越えれば
ヤレサナ 子が踊るよヨ
ハアアーアイョー 踊り輪になる
八重の輪が出来たヨー
ハアアー 踊り廻れよ
ヤレサナ 夜明けまでヨ
「相馬盆唄」詞・曲:作者不詳
ハアー
遥かかなたは 相馬の空かヨ
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
相馬恋しや なつかしや
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
待つ夜の長さを 四、五尺つめて
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
逢うたその夜に のばしたい
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
当座の花なら なぜこの様に
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
かたい私を 迷わせた
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
ほろり涙で 風呂たく嫁ご
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
けむいばかりじゃ ないらしい
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
秋の夜寒に 針の手とめて
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
主の安否を 思いやる
ナンダコラヨト ハ チョーイチョイ
「新相馬節」詞・曲:作者不詳
「日本の民謡~宮城・福島編~ ベスト」
1. お立ち酒 〔宮城〕 2. 新さんさ時雨 〔宮城〕 3. 宮城野盆唄 〔宮城〕 4. 長持唄 〔宮城〕 5. 宮城馬子唄 〔宮城〕 6. さんさ時雨 〔宮城〕 7. 塩釜甚句 〔宮城〕 8. 博多小女郎浪枕::米節 〔宮城〕 9. 秋の山唄 〔宮城〕 10. 斎太郎節 〔宮城〕 11. 会津磐梯山 〔福島〕 12. 常磐炭坑節 〔福島〕 13. かんちょろりん 〔福島〕 14. 相馬馬子唄 〔福島〕 15. 三春甚句 〔福島〕 16. 相馬二遍返し 〔福島〕 17. 新相馬節 〔福島〕 18. 会津松坂 〔福島〕 19. 相馬土搗き唄 〔福島〕 20. 相馬盆唄 〔福島〕