2012年5月アーカイブ

横浜や湘南だけが神奈川県じゃない。本当はダサいんだ、と田舎者代表として日々訴えているのだが、今日ご紹介するのはその極めつけ。御用邸やヨットハーバーで有名な湘南葉山の星山温泉、その名を「稲龍神山スポーツランド」という。山に囲まれた集落の外れのさらに外れ。たどり着いた先はご覧の有り様。


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廃材の山とバラック小屋がいくつか。スポーツランドのスの字もない。これで客を迎えるなど信じがたいが、ここを訪れる客は寛容というか、むしろこの状態であることを望んでいるのだ。


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40年ほど前はアスレチック遊具がいくつかあったそうだが、転機は平成元年。井戸を掘ったら鉱泉だった、と。先代であるお父様の強い確証だというから、もはや御神託にも似た奇跡とでも言うべきか。いつしか温泉施設が本業となり、そして浴室はこれで一応の完成形。


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ステンレスのバスタブとサイケデリックな絵が放つ強烈なインパクト。壁一枚隔てた向こう側で薪を燃やしており、しばらくすると我慢比べの熱湯になる。しかもマンツーマン体制なので、ほかに客が来たら待たせておくという、現代社会においてはなかなか珍しい非効率性。


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浴室以外に大小の休憩室がある。
「もうけさす人に油断は禁もつだ あとに思はぬ穴があるぞえ」
「身は主人医師や薬は使い人 己が病は己が心で」
「まっすぐに行けば迷はぬ人の道 横筋かいに行きてたづねる」
など、外壁にはありがたいお言葉が並ぶ。


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大勢集まってここで宴会したら楽しそうだが、最大の欠点といえば、皆が風呂に入るまでに時間がかかりすぎるということか。


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もうひとつの建物は、客が日曜大工で建てたという。つまり何でもありなのだ。


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これからだんだんと進化するかもしれないし、長年の積み重ねがこの状態なのでたぶん何も変わらないだろうし。そもそも世間がバブルで浮かれているさなかに、当時の世相と逆行するような手作り感、自然との調和を(意図していないだろうが)生み出したことに敬意を表したい。


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集落の外れにある倉庫と思しき建物とお稲荷さん。


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稲龍神山スポーツランドへの進入路。車高の低い車には厳しい。


稲龍神山スポーツランド
源泉/星山温泉(泉質は不明)
住所/三浦郡葉山町下山口230
電話/0468-78-8377
交通/JR横須賀線逗子駅よりバス15分(京急逗子線新逗子駅経由)
     JR横須賀線衣笠駅よりバス16分、いずれも「水源地入口」停徒歩14分
料金/500円
時間/9:00~17:00、毎週水曜日定休

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Author


    シダ トモヒロ
    -Tomohiro Shida-
    大学時代より国内各地とアジア諸国をおもに旅する。また高校時代から同人誌や機関誌の編集に携わり、98年創刊時より「旅の雑誌」編集人。趣味は旅行、ビリヤード、野球観戦。

    ミニコミ誌HP:
    旅の雑誌ONLINE

    温泉&野球ブログ:
    旅は哲学ソクラテス

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