埼玉県の温泉の最近のブログ記事

地元神奈川県の温泉や銭湯はほぼ網羅したし、東京都心部は車で行くには不便。そうしたら狙いは埼玉県だ。♪知らない街を歩いてみたい~のメロディーに誘われて訪ねたのは、埼玉県のど真ん中に位置する小川町。ここに抜群の昭和テイストをいまもなお留める、素敵な施設を発見してしまった。その名も「小川ラドンセンター」。


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佇まいそのものは田舎のビジネス旅館だが、昼間は日帰り入浴も受け付けている。到着したのはオープンの10時からしばらく経った頃。しかし、どういうわけか「まだお湯が沸いていない」と言う。いくつものマイナー施設を訪ねた経験からして、このような事態は特段珍しいことではない。しかし、そのあとのご主人の一言は、
「おれなんかは温いほうが好きなんだけど」


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ご主人に案内されて浴室へ。お湯は体温よりも冷たく感じたが、思わず「ちょうどいい具合っす」などと口走ってしまった。適当に話を合わせてしまう癖を今年こそは直したい。


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シャワーで身体を温めようとするが、これも冷たく、あきらめて湯船につかる。大きな岩風呂にはお湯の出口が1か所しかなく、そこから熱湯が出てくるものの、湯船全体を温めるにはかなりの時間を要した。うたた寝を決め込もうかと思ったが、それよりもまずお湯に浮いた虫や垢を洗面器ですくっては捨てて......の繰り返し。薄暗い室内ゆえ日差しがまぶしい。


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窓の外は雑然とした空き地で、サウナは物置と化し、浴室内の一部には板が打ち付けられていた。インターネットの情報では露天岩風呂や洞窟風呂もあるようだが、開放しているのは夏期のみ。そして、井戸水を汲み上げているとのことだが、水質は温泉に該当せず、肝心の「ラドン温泉」については何らの説明もなかった。


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風呂から上がると、大広間からカラオケの歌声が聞こえてきた。廊下にずらりと飾られた写真は、ここで行われたカラオケ大会の記念。そのなかには狩人や大木凡人といった懐かしの顔も。テレビ埼玉の素人のど自慢番組の収録もたびたび行われているようだ。


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しかも、ここのご主人(社長)はカラオケ指導員の資格を持っており、大広間はまさにカラオケ教室と化していた。生徒(客)は3名。1曲歌うごとに、社長が節回しや発声方法などを指導する。しばらくして客2名は帰っていったが、風呂にも入らずカラオケだけとは......。そんな光景をひとしきり眺めていたが、傍観者としての居心地の悪さは否めない。あと10年20年と歳を重ねれば、自分もあのステージに立てるようになれるだろうか。


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平成も20年をとっくに過ぎたというのに、ひと昔前の「ラドンセンター」を名乗っているのは立派だが、カラオケを軸とした娯楽路線にも一切のブレがない。時代とのピントにズレを生じていないか、それは二の次として。百穴温泉春奈の吉見町、平成楼の嵐山町、ラドンセンターの小川町はいずれも比企郡に属すが、ダサイタマ(失礼!)を満喫するならぜひとも訪ねていただきたい。


小川ラドンセンター
住所/埼玉県比企郡小川町小川529-2 [地図
電話/0493-72-3350
交通/東武東上線・JR八高線小川町駅より徒歩15分
     国道254号線「小川小学校」向かい
料金/大人800円、小人500円
時間/10:00~18:00、毎週月曜日定休

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1都3県とは言うけれど、神奈川県民にとって埼玉県は未知の世界。ディズニーランドや成田空港に千葉県という実感はないが、埼玉県にいたっては東北道、関越道で通過するのみ。川越、秩父と観光名所も思いつくが、いかんせん埼玉県は近くて遠い。しかし、何かにつけて埼玉県を訪ねてみたいとは思っているのだ。その結果が吉見百穴。まず百穴という言葉の響き。異様な光景をさらけ出す横穴墳墓群。すぐそばには岩窟ホテルという名の廃墟。「B級スポット」とは吉見百穴のためにある称号なのかもしれない。


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平日の閑散とした吉見百穴をじゅうぶん満喫し、次に向かったのは、百穴温泉春奈という温泉施設。「東京からいちばん近い混浴」との触れ込み。事前に下調べしたときは、「大きな発見だ!」と胸躍ったが、吉見百穴の入口からして看板が出ていた。しかし、この古くさい看板を見て訪ねたいと思うか否か。ふらりと立ち寄る客もたまにはいるのかもしれないが、多くは下調べしたうえでの興味本位の客、あるいは常連客だろう。


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川べりの道から逸れ、奥へと入っていくと、百穴温泉春奈の建物があった。玄関先には「旅館部 百穴温泉」「センター部 春奈」という2つの看板を掲げているが、センター部が何を指すのかは不明。吉見百穴の入口には「割烹 春奈」と出ていたが、割烹旅館らしき風情はない。背後には木々が生い茂り、時おり「パーンパーン」と乾いた銃声が聞こえてくる。もしや狩猟区域?と思いきや、実は近所の射撃場によるもの。


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フロントには誰もおらず、館内も静まり返っていた。何度か声を張り上げて呼びかけると、やがておばちゃんが対応に出てきてくれた。現在も旅館として営業しているのかわからないが、客室は富士、筑波、赤城、浅間といった具合に、地元とは関係のない地名が付けられている。廊下の洗面所には、ダンディズムの定番「MG5」。薄汚れた暖簾をくぐると、いよいよ脱衣所だ。ロッカーなんて気の利いたものはないので、貴重品はあらかじめおばちゃんに預けておく。番号を書いた紙と引き換えという、シンプルなシステムだ。


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浴室のくたびれ加減は、どう表現したらよいのだろう。あちこちが黒ずみ、そして傷んでいる。体育館のような大空間で、室内の大部分を岩風呂が占め、奥には一段上がってタイル張りの湯船もある。右手側は背の高い木が茂っており、さながらジャングル風呂といった雰囲気。「美容と健康に露天風呂」のはずだったが、アーチ型の屋根に覆われ、しかし透明の波板なので採光性は申し分なし。左手の一角には女性専用の浴室もあるが、目隠しのためか白ペンキが吹き付けられている。これで良しとするならば、経営者と客との感性には大きな隔たりがあるといえる。


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客は10人ほどいたが、なぜかタイル張りの湯船に集まっていた。どうやら1人の女性客を、男性陣が取り囲んでいるのだ。といっても、皆が知り合いではない様子。中心になって会話を盛り上げる人がいれば、その光景を眺めながら話を聞いているだけの人も。こういう場では、日頃の社交性や個人の性格がそのまま反映されると思う。共通するのは下心か。


「ここは夫婦やカップルの客が多いですよ。たまにエロい目的で来る客もいるようですね」
「ここの雰囲気は気に入るか、嫌がるかどっちかでしょうね」
「お風呂で裸を見てもいやらしい気分にはならないですね。裸でいるのが普通なのだから」
「先週はニューハーフが来ていましたよ。女性と見分けが付かないですよ」


聞こえてくる会話の内容に納得している場合ではなかった。我こそは常連だと自称している人ばかりだし、訪れる目的も実はハッキリしている。傍から見れば異様な光景だが、女性客は不思議なほどに平然としており、むしろ際どい会話を楽しんでいるようでもある。同伴の男性がいるらしく、このような状況になることを理解したうえで訪問しているのであろう。

「岩風呂に行こう」という女性客の掛け声で、皆がこちらに移動してきた。一斉に、というわけではなく、ここにも積極性が表れる。あとから合流する人は、「下心は決してありませんが、たまたま岩風呂にも行きたいと思っていた」。そんな言い訳ではなかろうか。女性客も含め、そろそろ中年に差し掛かろうかという年代。ちらっとしか見れなかったが、女性客は同伴の男性とかなり身体を寄せ合っている。それに興奮して「もっともっと」と、取り巻きが囃し立てる。この先エスカレートしたらどうなってしまうんだ!?とドキドキしたが、そのへんは心得ているようで、しばらくしたら「もう出ようか」と女性客。そして誰もいなくなった。ここまでくると唖然を通り越し、滑稽でしかない。


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大広間の休憩室はステージ付き。先程のカップルとは別にもう1組の姿もあり、それぞれに集団が出来上がっていた。ここでもやはり、輪の中心で会話を盛り上げる客、少し離れて様子をうかがう客という構図。女性が「疲れた」と言えば、すかさず誰かが「マッサージしましょうか?」と持ちかけるし、「エロマッサージでもいいですよ」とぶっちゃける。もう1組の集団では「湯冷めしてきちゃったよね」などと、しきりに女性を誘っている。やがて女性が立ち上がると、それに男性陣が続いていく。様子見の客というのは、正確に言えばどちらの輪にも対応する流動層のようだ。先程まで入浴していた客も、なぜか浴室へと消えていく。このような光景は、1日に何度繰り返されるのだろうか。

泉質うんぬんはもはや二の次。インターネットが普及している昨今、何も知らずに訪ねる人は稀だと思うが、予備知識を仕入れていてもなおハードルは高い。温泉の楽しみ方は人それぞれだし、混浴も立派な温泉文化。客どうしが楽しんでいる様子だったので、あえて否定も肯定もしないが、個人的には衝撃的な体験だった。


百穴温泉春奈
源泉/百穴温泉(温泉法の温泉)
住所/埼玉県比企郡吉見町北吉見1159
電話/0493-54-1888
交通/関越道東松山ICより約4.8km
料金/大人1,500円、小人750円
時間/(平日)10:00~21:00、(休日)10:00~19:00
     毎週月曜日定休

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    シダ トモヒロ
    -Tomohiro Shida-
    大学時代より国内各地とアジア諸国をおもに旅する。また高校時代から同人誌や機関誌の編集に携わり、98年創刊時より「旅の雑誌」編集人。趣味は旅行、ビリヤード、野球観戦。

    ミニコミ誌HP:
    旅の雑誌ONLINE

    温泉&野球ブログ:
    旅は哲学ソクラテス

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