栃木県の温泉の最近のブログ記事

栃木放送の企画で毎年「湯めぐりスタンプラリー」が行われている。そのパンフレットの中で気になる存在といえばピラミッド元氣温泉だ。ほかの施設とは明らかに一線を画す色物系。お宝発見に興奮したが、訪問までに2年も経ってしまった。


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塩原温泉郷の玄関口、西那須野塩原インターからひとっ走りの距離。砂漠ならぬ原野の先に現れたピラミッドは黄金色に輝き、正面にはスフィンクスも鎮座している。学生時代に訪れたエジプトでは巨大な姿と悠久の歴史、らくだ引きのしつこさに圧倒されたが、当然ながらそれらと全くもって対照的。


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館内にはなぜか奇石や奇木が数多く展示されており、聞けば館長のコレクションだという。中国の専門業者より買い付けており、いかに珍しいものかを後でさんざん聞かされたが、ピラミッドとの関係性は聞けずじまい。食事処やゲームコーナーもあるので施設としては充実しているが、平日のせいか片手で数えられるほどの客しかいない。土日の様子や宿泊の稼働率はわからないが、多くは興味本位の客だろう。


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ピラミッドの内部に浴室があるため壁面は傾斜しており、ガラス張りで明るい日差しが入ってくる。うっすら茶色がかった温泉で、広々とした湯船から大量にあふれていた。男女を隔てる壁には「氣柱」と名付けられた柱が立ち、その柱を通じてピラミッドパワーが湯に溶け込んでいるという。露天風呂は木でつくった素朴なものだが、壁に目をやればアニメチックなイラストが。ところどころの統一感のなさには目をつぶるべきなのか。お湯が霧雨のように降り注ぐミストサウナは独自開発だというが、特別珍しいものではなかったことを付け加えておきたい。


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ピラミッドの頂点部、つまり2階は瞑想室になっている。利用には別途840円かかるが、今回は館長の案内で特別に見せてもらった。階段は最後の一段だけ蹴上の高さが異なり、不意につまづいた感覚となったが、館長いわく「最後まで気を抜くな」。下りるときには「始めの一歩が肝心」とのこと。思わぬ人生教訓がここにあった。


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このピラミッドはクフ王のピラミッドを1/10に再現したもので、瞑想室の中央に置かれた水晶は玄室だという。磁北からの太陽の光が集まって「氣」を生み出し、水晶の真下に位置する柱に送られるのだ、と。「お湯がまろやかな感じがしたでしょ?」との問いには素直に頷くしかなかった。「水晶の前で力を抜いて立っていると、手がピリピリしたり、足裏が暖かくなったりする人もいる」「音楽を流すと5~6分でみんな寝てしまう」。これも氣のパワーで、ひいては宇宙のパワーだと館長は力説する。


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話好きな館長のこと、科学持論は止まることを知らない。館長自身は携帯電話などに使われているチップの研究開発に長年携わり、勲章も授かったという。しかし科学が人間社会に及ぼす悪影響を憂慮し、60歳を機に自然環境と共存すべく建設したのがピラミッド温泉なのだ、と。そして科学で証明できない「超科学」現象もこの世には存在し、ピラミッドパワーもそのひとつだと言う。難しすぎて常人には理解しがたいが、館長の話に説得力がありすぎて、ただただ頷くしかなかった。


ピラミッド元氣温泉
源泉/塩原温泉(源泉名:ピラミス温泉、単純温泉)
住所/栃木県那須塩原市接骨木493-3
電話/0287-35-4141
交通/東北自動車道西那須野塩原ICより約4.5km
     JR宇都宮線西那須野駅よりバス「千本松」
料金/(平日)大人400円、中人300円、幼児100円
     (休日)大人600円、中人400円、幼児100円
     (水曜午前中)大人350円、中人250円、幼児100円
時間/10:00~21:00、年中無休

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温泉地を訪ねるとき、「秘湯」とか「鄙びている」といったキーワードでも検索するのだが、那須湯本で見つけたのは老松温泉喜楽旅館。温泉街から川を隔てて1軒だけぽつんと建つロケーションも含め、訪れる価値としてはじゅうぶん過ぎる。


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那須街道からの進入路となる旭橋のたもとには「那須の名湯」との看板が立ち、途中から未舗装となって今度は「那須の珍湯」という石碑。倉庫なのか車庫なのか知らんが、使われなくなって放置された建物には、ガラクタとともに首だけの人形も捨てられていた。


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そして、ようやく宿の看板が見えた。


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通りに向かい合う2つの建物はいずれも傷みが激しく、川に面した建物にいたっては外壁が剥がれ落ち、崖下に瓦礫が散乱している。室内は家具や食器がめちゃくちゃ。どうしてこうなったか。どうしてこのままなのか。「考えるな、感じろ」というブルース・リーの台詞を思い出した。


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受付を兼ねた自宅を訪ねると、おじさんは居間の炬燵で寝ころびながらテレビを観ていた。お風呂に入りたい旨を告げるが、おじさんは半身の姿勢のまま、何かを考えて沈黙。旅館は「鄙び」を通り越し、廃墟に近づきつつある。おじさんはやる気を失くしてしまったのか!?営業を辞めてしまったのか!? ......と思いきやそうではなく、半分くらいしかお湯が入っていないとのこと。朝からボイラーの調子が悪く、お湯を全部抜いて入れ直したが、「女性のお客さんが来ちゃったから止めちゃった」。いまいち理解できなかったが、「温いからゆっくり入っていってね」との返事を貰い、いよいよ旅館の中へ。


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「女性のお客さんが......」との話から混浴の期待も頭をよぎったが、靴で想像する限りでは中高年か。脱衣所には男湯と女湯の暖簾がかかっており、姿を拝見することはできなかったが、ここを訪れる女性客とはよほどの物好きだろう。


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ここまで相当のオンボロ具合を見せつけられたせいか、浴室はむしろまともに感じた。温泉の成分や年月の積み重ねによって、壁などは緑に変色した箇所もあり、また真っ白な湯の花がうっすらと付着している。湯船は2つ並んでいるが、片方だけにしかお湯が入っておらず、しかも湯船の半分ほど。そして人肌程度の温さ。パイプに付いた蛇口をひねってみても、冷たい水しか出てこない。諦めて寝湯のようにして身体を沈めていたら、かなり長い時間寝てしまったようだ。


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老松温泉喜楽旅館
源泉/老松温泉(泉質不明)
住所/栃木県那須郡那須町湯本181
電話/0287-76-2235
交通/那須街道(県道17号線)旭橋より約400m
料金/大人500円、小人300円(0歳~10歳)
     ※45分以内
時間/8:00~20:00、年中無休




個人的な都合により長らく更新が滞ってしまい申し訳ないです。
ネタのストックは存分ありますので、今後はマイペースに更新していきたいと思います。
乞うご期待!?

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Author


    シダ トモヒロ
    -Tomohiro Shida-
    大学時代より国内各地とアジア諸国をおもに旅する。また高校時代から同人誌や機関誌の編集に携わり、98年創刊時より「旅の雑誌」編集人。趣味は旅行、ビリヤード、野球観戦。

    ミニコミ誌HP:
    旅の雑誌ONLINE

    温泉&野球ブログ:
    旅は哲学ソクラテス

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