園長 ペリプラ葉古
その7−回虫
なんともおぞましい生き物がうごめくゾーンに突入しました。
色白の虚弱体質のミミズのようなものがのたくっています。
うわっ、回虫・ギョウ虫・サナダムシ……寄生虫館なのです。
怖いもの見たさのあなた、入ってみます?
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子どもの頃、怖かった生き物は寄生虫だった。
怪獣も怖かったが、回虫はもっと怖かった。
だって長い奴では40センチにもなる細長い蟲が
自分のお腹の中に棲んでいるなんて信じたくもないし、
腸の中でボクが摂取した栄養分を横取りしてるなんて
許せない気がした。
そればかりかお腹が痛くなると聞いた。
回虫が身体に中で悪さを働くらしかった。
だから検便の日になると、マッチ箱につめたウンコを
ズルせずにちゃんと学校に持っていって、検査を受けた。
結果はどうだったのだろう?
大丈夫だったような気もするし、虫下しを飲んだような気もする。
肝腎なところの記憶がすっかり飛んでいる。
肛門にシールのようなものをペタッと貼って検査したこともある。
あれはギョウ虫検査だった。
ギョウ虫は肛門の辺りに卵を産むから、
それの有無を調べていたんだと思う。
ギョウ虫は1.5センチくらいの小さな寄生虫で、
感染するとむやみにお尻がかゆいらしい。
そう小学校の先生が言っていた。
いや、友達だったかなあ。
いずれにしろボクの実体験ではない……はずだ。
サナダムシなんてウルトラ気色悪い寄生虫も有名だった。
長さが8メートルにもなる、ひものような蟲だ。
そんなの見たことないけれど、
便所で用を足してたらサナダムシがにょろにょろ出てきたなんて、
自慢げに話すクラスメイトもいた。
多分嘘だと思うけれど、本当だったらスゴイ話だ。
そのサナダ虫をむんずとつかんで、
引っ張り出したらどんな気持ちだろう。
8メートルもずるずる出てくるなんて、ちょっと圧巻だ。
寄生虫の気持ち悪さを思い知ったのは、
ハリガネムシに出遭ったときだ。
カマキリを足で踏んづけたら、
お尻の先から細長い蟲が這い出てきた。
それがハリガネムシだった。
ハリガネムシはカマキリの体長よりもはるかに長く、
どうやってこんなにも長い生き物が昆虫のお腹に入っていたのか
不思議でならなかった。
動きがぎくしゃくしていて、この世のものとは思えない気がした。
地球外からの侵入者のような、そんなイメージ。
ボクの中にも回虫やギョウ虫やサナダムシがいるんじゃないかと
本気で怖くなった。
宇宙からの使者がすでに体内に巣食っているのかも!
気絶しそうになったものだ。
日本はここ数十年で衛生状態が格段とよくなり、
回虫もギョウ虫もサナダ虫もほとんど見られなくなったという。
ただ日本人の大半が寄生虫を飼っていた頃には
体内の免疫力が高まっていたのに、
それがいなくなってからアレルギー体質の人が増えたなんていう
研究結果もあるらしい。
寄生虫を撲滅したら、今度は杉の花粉にいじめられ始めたわけだ。
幸いボクはいまだに花粉症の被害を受けていない。
ひょっとしたら回虫と長い付き合いがいまも続いているのか?
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【寄生虫】
カイチュウ、ギョウチュウ、ハリガネムシはいずれも線形動物門
に属する。線形動物は総種数が1億種とも言われており、昆虫を
しのいで地球上で最も反映している動物である。(だからといっ
て宇宙からの侵入者という証拠はない。)大多数は自活種で、ご
く一部が寄生種。サナダムシは扁形動物門に属する条虫類の別名
で、この仲間はすべて寄生種である。
※ ハリガネムシの写真を提供して頂きました。
画像元 裏庭観察記 http://home.n02.itscom.net/wad/u/
2002年11月26日更新
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