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11月のある日。テレビ東京の長寿番組『レディース4』の取材で、俳優の田中実さんが、わが家にやって来ました。いやぁ、生後6ヶ月になったばかりの赤ちゃんがいる家に、取材に来ていただくとは、なんて勇気があるのかって思われるでしょう‥‥? 以前は部屋が少しでも汚れていると、人に来ていただくことに抵抗があったのに、あらあら不思議。出産後って、一皮も二皮も剥けるというか、平気になってしまいました。だって、たくさん人が来るのです。お祝いや応援はもちろんですが、はじめてお会いする助産師さんたちもそう。助産師さんには、いっさい見栄ははれません。お母さんの体調から赤ちゃんの環境まで、しっかりとチェックされるのです。そして、口ぐちにでる魔法の言葉「赤ちゃんのいるお家は、汚くて当たり前」。私もそう思います。仕方がないんです。だからいいんです(?)。頭のネジが1本抜けてしまったような気がしないでもありませんが、子供にとってもいい記念になると思い、取材を快諾したのでした。

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しかし、俳優さんって、本当に顔が小さいのですね。ドラマやコマーシャルなどで何度も拝見しているとはいえ、本物の田中実さんは、身長が184センチと高く、大きい瞳がキラキラと輝いた、とても優しい、穏やかな空気を持っておられる方でした。書籍がとてもお好きなのか、うちの本棚をジッと見ておられ、ドキドキしました。撮影中もカメラは自分の目の前にあるのですが、田中さんの瞳に吸い寄せられ、終始田中さんを見て話してしまい、テレビで放映された時には、全部横向きで笑ってしまいました。
そんな吸い込まれそうな美しい瞳を持つ田中実さんにかけまして、うっとりと眺めてしまう、まさに吸い込まれそうな、美しいガラスのペーパーウエイトをご紹介したいと思います(ちょっと強引?)。形はいたってシンプル。プロペラのデザインです。透き通ったブルーとグリーンの美しいガラスを、手に取るたびに光にかざして眺めてしまいます。ところどころに気泡がポツポツ。つくられた当時の空気を忍ばせて輝いているのですね。全長は15センチ。手でつかむには、ちょうどいい大きさと重さで、中心には小さい方位磁石がはめ込まれているという、古いモノと思えないほど、無駄のない見事なデザインです。

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テレビの話に戻しまして、どんな内容の取材だったかというと、旧サイト『駅前ガラクタ商店街』の"その58 上野「十三や」のつげ櫛の巻"でご紹介した、戦前のつげ櫛を見せて欲しいとのお話で、田中さんがそのつげ櫛を持って、十三やを訪ねてくださり、お店の歴史、職人さんのつげ櫛づくり、そして、戦前のつげ櫛の素性をレポートされたのでした。私はチラリとつげ櫛を手に入れたいきさつをお話しました。それにしても、本当に丈夫な櫛です。私が使用してかれこれ12年経ちました。でも、未使用だったとはいえ、もともと戦前につくられた櫛ですから、70年以上昔のモノなのに、まったく壊れません。壊れたら買い替えようと思っているのに、こんなに壊れないと商売としても大変だなぁと思ってしまいます。乾燥するこの季節にも静電気が起きず、髪の毛に優しいつげの櫛。私の愛用品のひとつです。そんな櫛がテレビでていねいに紹介されて、嬉しくなりました。古い櫛たちも、スタジオに連れられてスポットライトを浴び、さぞかし驚いたことと思いますが、反面とても嬉しかったことでしょう。

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撮影が終わると、田中さんにサインをいただき、赤ちゃんを抱っこしてもらって記念写真を撮りました。抱っこの仕方が、とても優しいのに驚きました。全体から優しさがにじみでている感じで、スタッフの皆様もとても親切。醸し出される空気が穏やかなせいでしょうか。大勢知らない人がいるにもかかわらず、赤ちゃんは泣きだすこともなく、安心できた撮影となりました。

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おまけ 気になる街角

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不思議な扉を見つけました。どこへ行けるのでしょうか‥‥。

荻窪団地 - 昭和迷宮物件

前回のエントリーに続いて北斗つながりということで...
さまぁ~ずがTV番組で「北斗の拳みたいだ!」と評した荻窪団地。
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【東京都杉並区荻窪3丁目】2009.1月撮影

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テレビを見ていたら、月刊情報誌『日経トレンディ』による"2010年ヒット商品ベスト30"が紹介されていました。思えば、私にとっての2010年は、出産にまつわることが大半で、高齢出産についてなら、いくらでも書けそうですが、今年のヒット商品といわれても、いまひとつピンときません。なにが紹介されるのかしら? と思いつつ眺めていると、
1位・食べるラー油(食べたことありません)。
2位・3D映画(見たことありません)。
3位・スマートフォン(持っていません)。
‥‥‥。
4位から30位まで見ていくと、ひとつだけ使っている商品がありました。7位の低価格LED電球です。2ヶ月前に玄関の電球を交換した時に取り付けました。それ以外の商品は、正直よくわからない物が大半を占める私です。思うに、出産前後というのは、今まで続いてきた世界がプッツリと途切れ、まったく別の世界に移動してしまったような、そんな感覚に陥るから不思議です。
しかし、ヒット商品の中で9位に輝いた、コクヨの"ハリナックス"が紹介されるやいなや、私は画面にくぎ付けになってしまい、思わず、
「それ、無針紙綴器だろ~!」
とつっこんでしまいました。

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ハリナックス...針不要のホッチキス、ステープラーですね。このような地味(?)な代物が9位に輝くなんて。まさに環境に優しくあるべき、エコ時代の要望でしょうか。それもハンディタイプというのが素晴らしい。ひきだしにポンッと入れておけるコンパクトさに加え、安価で5色の中から好きな色を選べるのも嬉しいですね(安価といえば、ゼロ針という同様の商品も売っていましたが)。

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けれど、古いモノに心惹かれている私としては、ハリナックスの祖父母的存在である、昔の仲間も知っていてほしいなぁと思いました。写真を見てください。渋い木製で、クリップレスと書いてあるこの代物が、ハリナックスの先祖(?)です。トレードマークは「CK」。特許番号が2つ書いてあります。番号から調べてみると、92年も前の大正7年に、名古屋在住の方によって特許登録されていました。そして登録された商品名が「無針紙綴器」。なんてインパクトのある商品名でしょうか。ググッと心をわしづかみされたのは、いうまでもありません。使用方法は、上からガシャンと押すだけ。ハリナックス同様に、紙が紙自体に穴を開け、差し込むようにして、数枚の紙を綴じることができます。
この商品は、その後もクリップレス、ステープレスという商品名で、形を変え、素材を変え、販売されてきましたが、ハンディタイプになったとはいえ、2010年を映すヒット商品に選ばれたのですから、すごいことですね。今後子供が大きくなるにつれ、イベント時に色紙で鎖をつくる時(私としては今までにない発想で、笑ってしまいます)、また手紙など数枚の紙を綴じる時に、ハリナックスで綴じるのはグッドアイディアだと思ったりして。

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そしてもうひとつ、針が必要なステープラーをご紹介します。このステープラーは、なんといってもデザインがステキで、飛行船をモチーフにしているのです。写真を見てください。「カッコイイ‥‥」この一言につきます。デザインはもちろんのこと、金属の輝きも、年季を感じる錆も、実に味わい深いと思うのです。
飛行船といえば、昭和4年8月19日の夕方に、東京上空に現れた銀色の巨大飛行船"ツェッペリン伯號"が思い浮かびます。その出現は人々に、ものすごいインパクトを与えたのでしょう。当時つくられたモノに、その姿を数多くとどめていることからもわかります。たとえば玩具に食器、文房具、着物や薬のパッケージなどなど、いったいどれくらい種類があるのか、想像もつかないほどの豊富さなのです。飛行船型にデザインされた商品を手にして嬉しそうにしている、当時の人たちの熱狂ぶりが目に浮かぶようで、こちらまで嬉しくなってしまいます。

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