vol.64 多摩湖トンネル自転車道・その7

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以上告知終了。

というわけで、多摩湖巡りの途中だったので、以前vol.63からの続き。今回で一応最後、玉湖神社の行き止まりの道を真反対へと回りこむ。
vol.53 多摩湖自転車道を行く・その1
vol.54 多摩湖の取水塔・その2
vol.55 多摩湖もう一つの取水塔・その3
vol.56 多摩湖おとぎ列車終着駅跡・その4
vol.57 多摩湖、そして狭山湖へ・その5
vol.63 多摩湖トロッコ軌道跡・その6

ここまでの自転車道沿道は公園としても整備された景観で、サイクリングにはもってこいのロケーションだったが、多摩湖西側半分は自転車道こそ整備されているものの、周囲は木々で覆われた雑木林、または藪といった風情で、観光開発として意識されていないようだ。
暗くなるとかなり不安になりそうな光景で、道は完全に移動のために通り抜けるしか目的がなさそうで、通り過ぎる車も心なしか速度が早く感じられる。
64_map.jpg ほぼ多摩湖の西端、少し開けたところに出ると、右手に西へと伸びる遊歩道のような整備された道が続いている。正式名称は野山北公園自転車道。ここから真っ直ぐ米軍横田基地まで続いている。
そして反対、多摩湖へ向かってはトロッコ軌道跡の横田トンネルがパックリ口を開いている。
64_01.jpg 1号隧道(トンネル)横田・2号隧道赤堀・3号隧道御岳・4号隧道赤坂・5号隧道と続く。
最初のトンネルに名づけられた横田という名称だが、一番横田基地側だからではなく(歴史的に考えれば米軍基地が後に出来たとすぐにわかりそうなものだが)、この界隈が村山市横田という町名だったらしい。横田基地は福生に位置するが、フッサというのがどうもアメリカ人には発声しづらく、地図上で近くに大きく書かれていた横田という町名をとった、というのは有名な話だ。

その元祖横田からトンネルに入ると、流石に暗いというか、つくりはしっかりしているものの、歳月を重ねた重みのある質感と空気感でトンネル内は満たされている。
64_02.jpg 水が滴り落ち非常に涼しいのだが、どこか背筋が寒い。子供が通ったら泣き出しそうな空間だが、近所の方は慣れたもので、何事もないようにまさに涼しい顔で通り過ぎてゆく。犬の散歩とかならわかるが、それ以外の人は何処へ行くのだろう?
64_03.jpg 余所者にはなんとも治安が悪そうに映るが、トンネルにはシャッターがついており、季節に応じて開閉時間が異なっている。

それぞれのトンネルは一見どれも同じように映るが、だんだんと山深くなるからかそれぞれに何処となく趣を異にしている。
64_04.jpg 2号隧道赤堀を過ぎたところで赤錆だらけのタンクを発見した。
64_05.jpg 隣りの小屋もどうも使われていない模様。廃養鶏場だろうか。
64_06.jpg トンネルと相まって相当気合の入った廃墟に感じられる。
64_07.jpg

その後、御岳を過ぎると一気に山深い雰囲気に包まれる。
64_08.jpg 緑の鬱蒼とした空気が支配している。一応舗装された自転車道なのだが、小さく淀んだ番田池を迂回するように道が折れ、この先は…と心配になるところで4号赤堀が待っている。
64_09.jpg ここを越えるともう既に山間の風情。鬱蒼というかジメジメしている。ここで自転車道の舗装が終わり、ぬかるみが始まる。ここまで来たのだからと意を決してぬかるみに足を踏み入れる。
暫くすると封鎖されている5号隧道が現れた。
64_10.jpg まさに出現といった面持ちで粗野に打ち付けられた板っ切れが物々しさを演出している。この封鎖はかなり安普請で開けられた形跡がある。
64_11.jpg ホームレスが寝泊りしていてもおかしくない雰囲気だ。
トンネル内は暗かったが入口付近に人気がないことを確認し、その安普請な板っ切れの間からトンネルの向こうを覗く。
すると微かな光の円が確認できた。
64_12.jpg そこは現在立入が許可されていない多摩湖の土手ッ腹。吸い込まれるように覗いてしまうが、おいッ!なんて今、背中を叩かれたら心臓が飛び出しそうなくらいヤバイな、なんて恐怖心に駆られ、足早に帰路に着いた。

【多摩湖自転車道篇・了】※この周辺の散策は期を改めて…

vol.63 多摩湖トロッコ軌道跡・その6

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やるやると言って間が開いてしまったが、以前数回連載した多摩湖巡りの続きを始めたい。
vol.53 多摩湖自転車道を行く・その1
vol.54 多摩湖の取水塔・その2
vol.55 多摩湖もう一つの取水塔・その3
vol.56 多摩湖おとぎ列車終着駅跡・その4
vol.57 多摩湖、そして狭山湖へ・その5

多摩湖建設に際し、多摩川から堤体を築くための砂利を運ぶトロッコ軌道が敷設された。羽村山口軽便鉄道といい、羽村の多摩川から横田の米軍基地を抜け、その4で紹介したおとぎ列車の終着・ユネスコ村駅跡まで伸びていたという。ちなみに、ちなみに、このトロッコ軌道が役目を終えたことで、武蔵村山市は東京都の市で唯一鉄道がない市となっている。
この線区は現在、殆どが遊歩道として整備されいるが、多摩湖周辺はそもそも山野だったこともあり、湖周辺ではトンネルが掘られ、湖とぶつかる地点は立ち入ることが出来ない。
63_map.jpg その4の廃駅をみるために、多摩湖自転車道から狭山湖へと逸れた地点に再び戻る。自転車道を西へと進むとスグ、玉湖神社(たまのうみじんじゃ)がみえてくる。
63_01.jpg 先の震災で社殿に亀裂が入ったとのことで現在は解体されている模様(参照サイト)。
神社の鳥居の脇、陸橋のような状態になっているのだが、見下ろすと廃駅へと続くような道の名残がアンダーパスしている。
63_02.jpg 写真上部分が都道で通常車が通る道路。
奥にはトロッコ軌道跡と思しきトンネルが見える。
トンネルそのものには近づけないので、都道の歩道から目一杯身体を乗り出して、トンネルの上部分から覗いてみる。
63_03.jpg ゴミが多量に散乱しており、誰かが寝泊まりしたような形跡がある。

トンネルの反対側に続く道があるはずと、玉湖神社をグルっと迂回してみる。
するとビンゴ。
63_04.jpg 立入禁止でフェンスが張り巡らされているが、落ち葉が敷き詰められた廃道が湖へと続いていた。
63_05.jpg ならば、この道の対角線上、多摩湖の反対側まで行ってみるとしよう。
【続く】