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モノには、いろんな質感がある。ということを、あらためて教えてくれたのは、古物でした。素材によって時代が違うこと、時代によって同じモノでも素材が違うこと、冷たさやあたたかさ、手に持った感触。試行錯誤を重ねた上で、今に続いているということの確認。古いモノは、そんな当たり前のことを気づかせてくれました。うちにいるモノたちも、いろんな素材でできているのですが、今回ご紹介するのは金属です。「やっぱり、古いモノはカッコイイよね~」と、つぶやかずにはいられないモノであります。

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それは、懐中時計の形をした文鎮。それも中央には方位磁石が付いています。全長7センチ、左右5センチの手のひらにのる大きさで、大正から昭和初期頃につくられたモノだと思うのですが、ローマ数字と東西南北があしらわれた文字盤が、和洋折衷で実にステキなのです。この素晴らしいデザインは意匠登録されており、裏面には登録番号の刻印があります。そもそも、懐中時計を使いはじめたのは、明治時代だそうです。当時の懐中時計は高嶺の花でした。だからでしょうか。文鎮などの文房具や、印判手の食器や着物などに描かれています。No.1でご紹介した飛行船型ステープラーの飛行船と同様に、当時の人たちのあこがれであったことが、うかがい知れるのです。懐中時計については、『TIMEKEEPER 古時計どっとコム』『アンティーク懐中時計のページ』『社団法人 日本時計協会』が参考になりました。それによると、この文鎮は"デミハンターケース"をイメージしたのでしょうが、もちろんフタは開きません。

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懐中時計型文鎮と出会ったのは、下北沢にある"古道具・月天"です。店主のTさんとは、世代が近いこともあり、気の効いた(店主いうところの)ガラクタに「カッコイイ!」と連呼し続ける間柄で、古いモノに興味があったところへ、拍車をかけてくれたのは、間違いなくTさんです。この文鎮も、「いいよなぁ」、「カッコイイ~」、「ここまで状態がいいのは、なかなかでないよ」と大の大人が2人して大騒ぎ。いったいどんなお家の、どんな机で使われていたのでしょうか。想像すると楽しくなります。思うに、「モノづくり日本」と、よく聞きますが、この時代から、こんなに渋くて、細かくて、まるで本物の懐中時計のような、ステキな文鎮をつくっていたのです。すごいですね!
余談ですが、No.2でご紹介したプロペラ型のペーパーウエイトは、「ペーパーウエイト」って、イメージなのですが、懐中時計は「文鎮」のほうが、しっくりくるので、文鎮としてご紹介しています。あくまで主観です。すみません‥‥。

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ご案内
古道具・月天を"その54 下北沢の『古道具・月天』と画期的発明鉛筆削りの巻"で、ご案内しましたが、現在は、営業日と営業時間が変わっています。

古道具・月天
住所 : 東京都世田谷区北沢2-1-3 
電話 : 03-3424-8445
営業日 : 土日祝祭
営業時間 : 13:00~19:00
※仕入やイベント参加の際は、お休みのことがあります。お電話で確認してから行かれると確実です。下北沢のアンティークショップ巡りを兼ねて、行ってみてください。

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おはじきを眺めていたら、ひんやりと冷たくて、きれいで、まるで雪の結晶のよう‥‥なんて思ってしまったのは、昨年の暮れから雪の話ばかりしているから。だって、故郷の鳥取県に大雪が降ったのです。それも、水分をいっぱい含んだ重たい雪が、急激に積ったために、交通機関は壊滅状態で、国道9号線では1000台もの車が動けず、漁港として有名な境港では、300隻を超える船が沈没しているとのこと。山間の集落では何日も停電が続き、東京でも、連日トップニュースで取り上げられました。新年から地元がこんなにテレビにでるなんて‥‥。実家に食料品を送ろうにも、宅配便もいつ届くかわからない状況で、いつでも送れるなんて思っていましたが、甘かったなぁと反省しました。やはりいつ起こるかわからない災害のために、保存食など準備しておいたほうがいいですね。

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ありがたいのは、離れた故郷の様子をインターネットで確認できることです。米子いんふぉねっと『暮らしと観光ガイド』の中の、"米子市日記"では、連日の大雪写真をあげてくれ、雪への驚きや、生活の大変さなどが書かれています。日記の写真は、美しいものが多くて、大好きな大山を楽しみに眺めてきましたが、雪もだいぶ少なくなり、安心しました。

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そしてもうひとつ、鳥取県立『夢みなとタワー』のライブ映像発信、"展望室からの眺め"は、暇があればいつも見ています。大雪の時は画面が真っ白でした。いったいどうなることかと思いましたが、普段は雲の流れから風向きを思い、朝焼けや夕焼けの美しさに目を細め、波の高さに力強い日本海を思う‥‥。帰りたいというわけではありません。「故郷は遠きにありて思うもの」なのです。

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雪に見立てたおはじきは、何年か前にまとまって出た時に「戦前のおはじきだよ」といわれて、ガラスを収集している友人と一緒に買いました。少々不格好ですが、そこが魅力のひとつです。梅、菊、桜の花の形をしているので、"花はじき"なのでしょうか? 中央には赤と黄色の塗料が塗られていたようですが、ほとんどとれてしまい、少しだけ残っています。そして、なんともいえない美しい色のガラス。たくさん気泡がはいっている青いおはじきは、泡を含んだ海の色にもよく似ています。

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前回予告した、田奈弾薬庫専用線跡を追ったシリーズを始める前に、
東急こどもの国線、こどもの国駅脇で見かけた、生コン工場の写真を。

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【神奈川県横浜市青葉区奈良1丁目】2011年1月撮影
正月で休業中だったので、近づいて撮影できた。もう生コン工場好きなんッスよ~ 普段は仕事の休みが平日なので、稼働中の工場しかみえず、こんな近くで鑑賞できて、つい寄り道が長引いてしまった。
生コンをここで練って、ミキサー車でビルなどの建設現場へ運ぶ。生というだけあって、練った後は硬化が始まるので、小さなエリアに生コン工場が点在する必要があるらしい。
新宿駅近く、高島屋タイムズスクエアの脇という、都心のど真ん中に小さな生コン工場があったのだが、昨年夏、知らぬ間に廃業していたらしい【参考記事:日本経済新聞「新宿から消えた生コン工場」】
信号待ちをしている間、この工場を眺めるのが好きだった。暗雲立ち込めるだだっ広い空の下そびえる八潮なんかにある大規模な生コン工場もいいが、街角で渋く佇む小さな生コン工場が愛おしくてならない。ココ、こどもの国駅脇の工場も小規模でモロにドツボ。グッときた。もっと写真があるが、それは機を改めて。

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