フックの職人、勝又行雄
「カタカナ語の辞典」(小学館)でフックの項を引いてみた。
1 鉤。鉤形のもの。 2 ボクシングで腕を鉤形に曲げて側面から打つこと。
「”フックの職人”」と呼ばれた名ボクサーが、東洋Jライト級チャンピオンであった勝又行雄だ。勝又の先輩に当たるのが、不世出の拳聖・ピストン堀口である。同じ不二ジムの堀口の精神を、まさに受け継いだ男が勝又だ。彼の一世一代の大勝負が、対高山一夫戦である。昭和38年3月13日に行われた試合だが、この月日は忘れても、この試合をテレビで見た私は勝又の鬼気迫るファイトを、終生忘れることはないだろう(ただしボケたら別だが)。それ程の大逆転劇であった。
花形ボクサーの高山は、名門の帝拳ジム所属でリングに登場しただけで輝いていた。
対する勝又は、ブルファイターで、KO勝ちが多かったがやゝ地味なボクサーだ。
陽の高山が強打で4回、勝又から2度のダウンを奪い、試合のペースを握ったかに見えた。会場にいたファンも、テレビサイドのファンも、高山の勝利を確信したに違いない。だがこの夜の、勝利の女神は気紛れであった。最後まで勝負を諦めない、勝又の執念に高山は一瞬たじろいだかに見えた。そんな刹那、勝又の右フックが高山のアゴに一撃。一発大逆転のシーンは6回に訪れたのだ。
この試合が、”ピストン堀口13回忌”と銘打たれていたがノンタイトルであったのは誠に残念である、と思ったのは私だけではないだろう。
ファンをエキサイトさせる点では、日本人ボクサーのベスト10に入ることと思われる。最近はこんなボクサーが激減している。ボクシング人気の凋落もこの辺にあるのではないか。ボクサーになるために自衛隊に入隊したり、消防士になったりした変わったエピソードもある。自分のトランクスを縫ったり細かい面も兼ね備えていた。
生 S9.8.7
熊本県菊池郡出身、31.2.29デビュー。東洋Jライト級チャンピオン、タイトル2度獲得戦績56勝(19KO)18敗4分、得意。左右フック。不二ジム所属。 |
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2004年12月15日更新
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