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10.ニュースとふろく
昭和30・40年代
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こんにちは、「ふろくの花園 ニュース269」です。この時間は、昭和30・40年代に起こった数々の出来事にちなんだふろくについて、みなさまにお伝えしていきましょう。
まずは昭和34年4月の「皇太子さま・美智子さまご成婚」です。世にミッチーブームを巻き起こし、パレード中継を観るためにテレビの売上が激増したという、いわゆる「世紀のご成婚」。少女雑誌でも、「皇太子さまごけっこん記念金の馬車ブローチ」「皇太子さま美智子さま写真集」(共になかよし
昭和34年5月号)などのふろくや本誌記事で祝賀ムードを盛り上げました。
さらに、翌年2月には浩宮さまが誕生し「王子さまおたんしょうおめでとうスタンド(なかよし昭和35年6月号)」「皇太子ご一家のお写真(りぼん昭和35年7月号)」「浩宮さまアルバム(りぼん昭和38年5月号)」などがふろくに。現在の少女雑誌に皇室がとりあげられることは、まず考えられないのですが、当時の少女たちにとっては、浩宮さまの愛らしい姿や美智子さまの装いは注目の的で、新時代のロイヤルファミリーもスター同様、憧れの存在だったのです。
続いてはスポーツ。こちらも「世紀の」と頭につけられた国際的一大イベント、東京オリンピックの話題です。この開催にちなんで、昭和39年10月号の『りぼん』では「オリンピック特集」が組まれました。少女雑誌らしく女子選手にスポットをあてたグラビアと読み物、五色の靴や万国旗が当たる大懸賞、通販コーナー「りぼんデパート」ではオリンピック記念大売出し開催と、オリンピックムード満載。ふろくももちろん、別冊漫画を除いては「オリンピックの年でなければ、もうニ度とつかない」「世紀の祭典東京大会のおもいでにふさわしい」というコピーどおりのものが並びました。
・五輪ブローチ
(五色の輪っかがついたワッペン型のブローチ)
・TOKYO〈トーキョー〉バッグ
(五輪マークをイメージした五色のバッグ)
・世界の国旗と人形トランプ
(遊びながら世界の国旗を覚えられるトランプ)
・オリンピックノート
(オリンピックのことならなんでもわかるノート) |
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雑誌をあげてこの「世紀の祭典」を取り上げることで、少女たちも、自国でのオリンピック開催に沸く大人たちの熱気を感じとることができたのでしょう。
さて、今日の特集です。白黒のボディと愛くるしい仕草で人々の人気を集める動物といえば、パンダですね。このパンダについての話題をお届けしましょう。
パンダが初めて日本にやってきたのは昭和47年10月のこと。日中国交回復を記念して、中国からメスのランランとオスのカンカンが親善大使として日本に贈られました。
この年の11月に上野動物園でのお披露目となったのですが、初日には徹夜組を含めて6万人ともいわれるほどの見物人が殺到し、上野駅まで届いてしまうのではないかと思われるほどの長い列が伸びていました。その後も混雑は続き、2時間以上並んでやっとパンダ舎にたどりついても、係員からの「立ち止まらないでくださ〜い」の声に急き立てられ、結局その姿を拝めたのは1分足らずという非情さだったそう。
こうして一躍、国民のアイドルとなったパンダ。テレビや新聞でも連日のようにその様子が報道され、ぬいぐるみをはじめとしたキャラクターグッズも大流行。いわゆる「パンダブーム」が巻き起こりました。
この頃の少女雑誌のふろくにももちろん、パンダのイラストが描かれています。ですが「パンダちゃんのシールブック(なかよし昭和47年3月号)」や「パンダちゃんラブリー下じき(なかよし昭和47年4月号)」など、来日が決まる前からパンダのふろくはあったようで、少女たちの間では、パンダはもうすでに知られた存在だったのでしょう。
ところで、パンダは今でも上野動物園にいるのでしょうか?
その疑問を解消すべく、ある秋晴れの日曜日、ウン十年ぶりに上野動物園へ足を運んでみました。
現在上野動物園にいるパンダはオスのリンリン一頭のみ。部屋の隅で仰向けになって手足をバタバタとさせる姿は、やっぱりとってもかわいらしい。しかしその一方で、パンダ舎内の2つの部屋を別の動物が使っていたり、かつてはパンダたちが遊んでいたと思われる、うんていのある屋外広場が廃屋の庭のようになっていたことに、一抹の寂しさを感じたことも事実です。開園直後でまだ人がまばらで、静かな空気が流れていたからなのでしょうが、「夏草や兵どもが夢の跡」この句が頭をよぎりました。
そう思ったのもつかの間、パンダ舎にはたくさんの人が集まってきて、いつのまにか行列ができるほどに。そして係員からは、あの「立ち止まらないでくださ〜い」の声が……
当時に比べたら、数も少なく設備も縮小されている。それでも、パンダは今でも上野動物園の人気者なのだということを実感しました。
余談ですが、ランランは現在剥製になって、全国の動物園や博物館などを巡回しているそうです。
このように、少女雑誌のふろくから当時のニュースを知ることは、漫画というフィルターが現在ほどかかっていない、この時代だからこそできることなのですね。
以上、「ふろくの花園 ニュース269」をお伝えしました。
取材協力:弥生美術館
2004年1月16日更新
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