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「蕩尽日録」タイトル

6月某日 上野ノ森ニテじゃずヲ堪能シ鶯谷ニテほっぴーニ耽溺スル事 南陀楼綾繁

 朝9時に起きて、神保町へ。日本教育会館での古書展。今日は「城南展」。目録で注文していた本が二冊ともハズれて拍子抜け。会場は流し見だけにしようと思っていたが、買うモノがないとわざわざ出かけてきた自分に悪いような気がして(どういうリクツだよ)、真剣に安い本を漁る。その結果、富士正晴『藪の中の旅』(PHP)500円、可児弘明『香港の水上居民』(岩波新書)100円、石川淳『夷斎風雅』(集英社)400円、新刊で買い損ねた横山秀夫『顔』(徳間書店)800円など、まァまァの収穫。フォークシンガー友川かずきのエッセイ集『死にぞこないの唄』(無明舎)がサイン付きで300円は、安かった。そこから仕事場へ。

 夕方、早めに仕事を切り上げて上野に向かう。公園口で、早稲田の古本屋〈古書現世〉の二代目であるムカイくんと待ち合わせ。「せどり」(他の古本屋で安く買った本を転売すること)がウマイので、ぼくが「セドローくん」というあだ名を奉った。ちなみに、ぼくは古書目録が好きなので「モクローくん」である。モクローくんとセドローくんが連れだって、上野公園を歩く。その目的地は当然のごとく古本市……ではなく、コンサートなのだった。

「奏楽堂」

 場所は、上野公園の外れにある「奏楽堂」。明治23年に創建された、日本最古の木造の洋式音楽ホールで、東京芸大の前身である東京音楽学校の施設だった。それが1980年代に現在の位置に移築され、一般公開されるようになった。この名建築で今夜、ジャズのコンサートが開かれるのだ。ぼくは古本も好きだけど、ジャズも大好き。しかも敬愛するピアニスト渋谷毅が率いる「エッセンシャル・エリントン」が出演するとなれば、コレはなんとしても行かずばなるまい。松風鑛一(バリトンサックス、フルートなど)、峰厚介(テナーサックス)、関島岳郎(チューバ)という三管編成に、外山明のドラムが加わる。ぼくは以前、吉祥寺でこのバンドのライブを見ているし、CDも持っている。

 6時に開場し、2階の音楽ホールへ。ココは「かつて滝廉太郎がピアノを弾き、山田耕筰が歌曲を歌い、三浦環が日本人による初のオペラ公演でデビューを飾った由緒ある舞台」(台東区サイトより)だそうで、なるほど、それほど大きくはないがどことなく威厳のあるステージである。客席はすり鉢状に配置されている。最初に入ったので、前から二番目という好位置に座る。待つウチにメンバー登場。この日は、PA(音響増幅装置)を一切使わない、いわゆる「アンプラグド」で演奏される。だから、ドラムとサックス、ピアノの音のバランスが難しく、最初は手探りでというカンジだったが、そのうちピッタリ息があって飛ばす、飛ばす。とくに、ドラムの外山明は立ったまま中腰で叩く変わったスタイルだが、その変則リズムが気持ちよかった。

 休憩をはさんで、2ステージ目。聴きに来ていたという林栄一(山下洋輔トリオの三代目?サックス)がアルトサックスを吹きながら、客席から舞台に上がって競演したり、やはり飛び入りの清水秀子が、マイクなしでバンドを従えて唄ったりと、この日にしか見られないシーンが多くあり、大満足だった。通常のライブハウスより高めの5500円というチケット代も、安く感じられた。

 終わってから谷中まで歩き、最近手に入れた「隠れ処」にセドローくんをご案内。まだホトンド荷物が入ってない状態。前回と違うのは、床にウッドカーペットを敷いて、本棚を組み立てたぐらいか。鶯谷に出て、駅前の〈信濃路〉という24時間営業の定食屋に初めて入る。通路をはさんで両側にカウンターがある。品書きを見て驚いたのが、メニューの多さと値段の安さ。ポテトサラダ200円、うなぎ蒲焼き300円、天ぷらそば220円という具合。雑煮300円やスパゲティ480円という珍しいモノも。ほとんどの客が一人で来て、静かに飲んでいるのもイイ。ぼくもホッピーを飲む。

「隠れ処」

 セドローくんと別れて、西日暮里のウチに帰る。今日はヨメの旬公は大阪に行っていて、不在。ニュースでも見ようと思ってテレビを付けると、なぜか一局も映らない。ビデオで映画でも観ようかと思ったら、テープが挿入できない。結局、10年近く使ったビデオがぶっ壊れているコトに気づき、アンテナをつなぎ直す。夜中に一人で汗かいちゃったぜ。

【南陀楼綾繁からのお知らせ】
今年1月から、世界初の古書目録愛好フリーペーパー「モクローくん通信」を月刊で発行中。古書マンガと目録大賞、古本日記、セドローくんの連載などがあります。書肆アクセス(神保町)、古書ほうろう(千駄木)、海文堂書店(神戸)などで入手できます。直接購読をご希望の方は、kawakami@honco.net までご連絡下さい。

「モクローくん通信」


2003年6月12日更新
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