まぼろし書店神保町店/第13回は『まぼろし書店のおすすめ新刊/2005年・赤の巻』をお送りします。
(著者の方々の敬称は略させていただきました/商品の価格は税込価格です)
相変わらず満杯状態の、当まぼろし書店の「ご紹介予定棚」。前回に引き続き、2005年の新刊書籍を中心に御紹介していきます。
「映画クレヨンしんちゃん/オトナ帝国の逆襲」を観た時のあの衝撃。忘れられませんですね。もともと「映画クレヨンしんちゃん」シリーズの質の高さは認識していた私ですが、いやぁ、面白かったなぁ〜。
というわけで、昭和レトロ業界に、遂に、実写の映画作品も参入してきました。やはり来ました、西岸良平原作、「三丁目の夕日」です。
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●「ALWAYS 三丁目の夕日
オフィシャル・フォト・ブック」
日本テレビ放送網
4-8203-9942-X
税込価格1,700円
●「ALWAYS 三丁目の夕日
夕日町オフィシャルガイド」
メディアファクトリー
4-8401-1436-6
税込価格1,400円 |
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CGを駆使して再現したという昭和33年当時の情景、出来上がっていく東京タワーの勇姿を見てみたいものの、感動エピソードが大の苦手な私は、映画館に行く事は出来ませんでした。せめて、映画の公式ガイドブックをご紹介したいと思います。
表紙を見ただけで「懐かしの風景と人々の笑顔に出会える夕日町」という感じですねぇ。
ところで、どうして「オフィシャルブック」が2種類も出版されるんでしょうか。
強いて言えば、「ガイド」は映画館で買うパンフレット的な内容で、「フォト・ブック」は製作の裏側エピソードなどが充実したメイキングビデオ…かな。
しかしながら、どちらの出版社も工夫を凝らして本を作っているのが憎い。
「フォト・ブック」は観て楽しい装飾や美術の資料が多いし、特に装飾部が全国のコレクターから集めに集めたという、昭和懐かしグッズの数々の写真は宝の山。赤と青の3D眼鏡付きで三丁目の夕日3D写真館も楽しめるのです。
「オフィシャルガイド」には、なんと「フォトモ」(現代に残る駄菓子屋さんを再現)と「ペーパークラフト」(映画のメイン舞台である鈴木オート店と茶川駄菓子店を再現)の豪華おまけ付き。
しかもしかもですよ、どちらの本にも、町田忍監修の「昭和30年代を検証する」コーナーがガッツリと掲載されているのです。まぼろしチャンネル読者を経済的危機に陥れようという、B型男町田忍の陰謀かもしれません。
[こんな本もあります]
・「三丁目の夕日 特別編 冒険少年ブック」/西岸良平 著
/小学館/4-09-159007-1/税込価格1,580円
「三丁目の夕日」名作劇場が本編なんですが、例によって(?)『豪華三大おまけ』が素晴らしい。力一杯お勧めしたいのは「復刻版 東京タワー紙模型(貯金箱付き)」。完成すると何と150cmの高さ!組み立てに、いい大人である書店員3名がお昼休みを費やした大作模型。タワーに小学館マークがついているのが豪快。
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●「自転車とろろん銭湯記」
疋田智・町田 忍
ハヤカワ文庫
4-15-050298-6
税込価格609円 |
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自転車ツーキニスト・疋田智が語る、「銭湯めぐり」の魅力。なるほど、自転車は銭湯めぐりには最適の移動ツールかもしれません。マイお風呂セットも常に携帯出来ますし。会社の帰りに、ふと発見した銭湯で、仕事の疲れを癒して、ほっと一息。最高ですね。コーヒー牛乳を飲み干して帰りましょう。ただし、湯冷めには注意。まぼろしチャンネルのスナフキン・町田忍博士の蘊蓄コラムもおまけについている、ひと粒で二度美味しい銭湯読本です。
[こんな本もあります]
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・「自転車ツーキニスト」/疋田智/光文社・知恵の森文庫/4-334-78226-4/税込価格
680円
自転車ツーキニストに興味を持たれた方はこちらをどうぞ。自転車に乗って出かけたくなりますよ〜。 |
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●「京てぬぐい 永楽屋コレクション」
永楽屋細辻伊兵衛商店
ピエ・ブックス
4-89444-409-7
税込価格2,940円 |
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ここ2〜3年、「てぬぐい」が再び日常のモノになってきたように感じます。日本の文化を見直そう、という大袈裟な事ではなく、素敵な柄だからテーブルクロスにしようかな…位の身近さ。良い事ですよね。「ひたすら色んな柄のてぬぐいを見たい、素敵な柄をもっと楽しみたい」という欲張りな方には、ズバリ、この本をお勧めいたします。デザイン関連書籍に強い出版社なので、装丁のセンスも良く、綿素材のざらっとした感触・和柄・日本の伝統色の組み合わせの美しさを、心ゆくまで楽しめます。伝統的な柄だけでなく、昭和モダンのモガ・モボや、舞妓さんのスキー姿など意外なモチーフの柄もあり、「日本のデザイン」というものの懐の深さを堪能出来ます。
[こんな本もあります]
・「ハイカラ手ぬぐい案内」/君野倫子/河出書房新社/4-309-28011-0/税込価格1,470円
着物ライフに関しての著作も多く、若い女性を中心に熱い支持を得ている君野倫子が、「手ぬぐいの愉しみ方」を指南してくれる一冊。数多くの手ぬぐい柄が楽しくレイアウトされているので、手ぬぐいデザイン集としても。
・「かまわぬだより 江戸時代から伝わる、てぬぐい柄ポストカードブック」
/出版社名 ピエ・ブックス/4-89444-286-8/税込価格1,365円
・「かまわぬだよりの十二ヵ月 てぬぐいで綴る日本の歳時記 江戸時代から伝わる、てぬぐい柄ポストカードブック」
/ピエ・ブックス/4-89444-448-8/税込価格1,365円
コレクターの悪い所は、自分の愛するモノの素晴らしさを、友人知人に熱く語らずにはおれないという事。せめて、素敵なポストカードを送り、「えっ、こんな楽しい柄のてぬぐいもあるの」と、お友達をびっくりさせる程度にしておきましょう。
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●「和の小さくてかわいいもの」
鈴木海花/ピエ・ブックス
4-89444-443-7
税込価格1,680円 |
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何といっても、この本自体が、手のひらに乗る位小さくて、正方形でちょっと分厚くて、「かわいい」んですよ!
根付や箸置き、帯留め、ポチ袋。縮緬細工。和ろうそく。休日には、おこたに入って、ホットココアなど飲みながら、この本をゆっくり眺めたいなぁ〜。お部屋が少しばかり散らかっていたって、いいじゃないか。のんびり行こう。
[こんな本もあります]
・「いとしい和の暮らし 日々を彩るにほんの行事」
/平野恵理子/ソニー・マガジンズ (ヴィレッジブックス文庫)/4-7897-2350-X/税込価格725円
お正月、鏡開き、節分、雛祭り、針供養、更衣、七夕、盆踊り、お月見…。おいしいところだけ、はしょって愉しんだっていいじゃないか。
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●「むかしのおしゃれ事典
名作でひもとく古きよき日本のよそおい」
文学ファッション研究会
青春出版社
4-413-00780-8
税込価格1,449円 |
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このちょっと垢抜けない感じの表紙でこの本を判断してはいけませんよ。
古きよき時代の文学作品を読んでいる時、「雰囲気でわかったような気になって読んでいるけれど実はよくしらない」いろんな言葉に出会います。そんな時、この「むかしのおしゃれ事典」の出番なのです。
カイゼル髭?口髭の一種かなとは思うけど、チャップリンみたいなのはちょび髭だから、違うよね……。でも、「むかしのおしゃれ事典」をひも解けば、イラストがあるからどんな髭スタイルなのか一目瞭然。そうそう、ちょっと細めの口髭を、逆への字型にはね上げた形の髭がカイゼル髭なんでした。もちろん油をつけて固めているのです。
黒縮緬、絣の単衣に小倉の袴、メリンスの着物、インヴァネス、薩摩上布、キャラコ……。分かりやすいイラストと解説文で、明治・大正・昭和初期の服飾(及び身の回りの装い全般)用語の疑問が、全て解決します。高畠華宵の美しい絵もカラーで楽しめますし、「古きよき日本のよそおい」に興味のある方には読書の良き友となってくれる事でしょう。
[こんな本もあります]
・「昭和モダンキモノ 抒情画に学ぶ着こなし術」
/中村圭子/河出書房新社(らんぷの本mascot)/4-309-72740-9 /税込価格1,680円
高畠華宵を初めとする大正・昭和の挿絵画家達の描く「大正ロマン&昭和モダン」の世界。
写真では無く、画家達が筆で描いた抒情画だからこそ、当時の情景・雰囲気をそのまま味わう事が出来るのでしょう。美しくたおやかな着物姿の女性達。ちょっとウェーブのかかった前髪、ゆるめに編んだ三つ編みなど、ゆっくりと楽しみたい一冊ですね。
・「中原淳一きもの読本」/中原淳一(中原蒼二監修)/平凡社//税込価格1,680円
中原淳一の描く少女たちは、きもの姿でもやはり、美しいだけでなく、凛々しく強い意志を感じさせる眼差しを持っています。
・「ニッポンのろまん絵葉書 大正浪漫の世界」
/林宏樹/グラフィック社/4-7661-1504-X/税込価格2,730円
とにかく沢山の絵葉書が収録されていて、その「玉石混合なところ」がたまりません。
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●「八角時計」
村松ひづる
新風舎
4-7974-5341-9
税込金額840円 |
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まぼろしチャンネル「昭和チック秘宝館」内の「心の素/村松ひづるの世界」をご存知ですか?
ネコを人生の師と仰ぐ、イラストレータ村松ひづるの作品が展示されているギャラリー。昭和30年〜40年代の人々の暮らし振りが暖かい絵柄で描かれています。
「八角時計」は村松ひづるの世界が、ゆっくりと楽しめる絵本仕立てのイラスト集です。
ふっくらした顔だちの少女、ぽっちゃり体型の子供達の遊ぶ光景を眺めていると、カチコチと時を刻む柱時計の音に耳をすませていた、子供の頃の自分を思い出しました。
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●「昭和なつかし博物学
『そういえばあったね!』を探検する」
周達生
平凡社(平凡社新書)
4-582-85279-3
税込価格882円 |
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ウグイスの糞、ウミホオズキ、金魚すくいとヒヨコすくい、ガマの油売り、などなど。ほんの少し前まで、私達の毎日の生活に、ごく普通に存在していた色々な動植物。今はどうなっているんだろう?
「そういえばあったね!」を探検する……という副題に惹かれて手にとったこの本でしたが、何が面白いって、お話好きのおじいちゃんのとりとめの無いおしゃべりにつきあっているような、ちょっと脱線の多い、この著者の語り口が、それだけでも「昭和なつかし」な味わいなのでした。
第13回『まぼろし書店のおすすめ新刊/2005年・赤の巻』、いかがでしたか。
皆様からのリクエスト・情報提供など、心よりお待ちしております。
どうぞ、これから末永く「まぼろし書店・神保町店」をよろしくお願いいたします。
『まぼろし書店のおすすめ新刊/2005年・黒の巻』
『万博と近未来の夢』
『雪月花のこころ/桜の巻』
『懐かしの町・街角散歩/後編』
『懐かしの町・街角散歩/前編』
『だまされる快感』
『秘密基地大作戦』
『疾風の新着情報!!』
『疾風の新着情報!』
『入魂の一冊』
『名画座の時代』
『あのころの風景』
2005年12月16日更新
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