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一輪挿し

さえきあすか

その22 東郷青児の一輪挿しの巻


『再現・昭和30年代 団地2DKの暮らし』 千葉県松戸市にある松戸市立博物館に行ってきました。ピンとくる方もおられると思いますが、『再現・昭和30年代 団地2DKの暮らし』(河出書房新社)の表紙にも使われ、雑誌などにも数多く登場している博物館です。この博物館の中には、昭和30年代に建設された常盤平団地の一室が、当時の姿で再現されているのです。
 「おもしろいから、一度は絶対見たほうがいいよ」
 と、以前から友人にすすめられていたのですが、なかなかいく機会がなく、ようやくいったのでした。JR武蔵野線・新八柱駅下車・徒歩15分。当日の企画展が『生活道具の移り変わり』という、私好みの展示に当たり、オート三輪や、蚊帳、電気釜、白黒テレビなどなど、ちょっと懐かしい古道具たちが、ずらりと並んでいる様子に「ラッキー」と思いつつ、私のコレクションでもあるセルロイドの水筒や、子供の頃によく見かけたプラスチック製のカラフルな容器たちに、「こんなのあった、あった」と懐かしい気持ちになりました。
 常設展は松戸の遺跡や戦国時代のお話、産物、植物などの紹介でしたが、しばらくすると書籍で紹介されたとおりの団地がデーンと姿を現わし、外観も本物そっくりなのはもちろんのこと、生ゴミを回収するダストシュートまで復元されていたので驚きましたが、室内はもっとすごくて、ダイニングキッチンのほかに2部屋と、ガス風呂、水洗トイレ、ベランダがついた2DKがつくられていました。それも、今すぐにでも生活できそうなくらい普通というか、友達の家に遊びにきたような、でも並んでいるモノたちは、現代のモノじゃないから、なんだかタイムスリップしたような、こんな気持ちを博物館で味わえるなんて、「私も若くないなぁ」と、しみじみ思ったりして。テレビでは、力道山の空手チョップを放映中で(私はまだ生まれていないです。念のため)、白いクロスをかけた応接セットと、棚にはずらりと並んだ百科事典。明るい蛍光灯の照明器具に、オーブントースター、魔法瓶、炊飯器などなど、この部屋には当時のあこがれがギュッとつまっていました。
 
 実は、松戸市立博物館にきたのは、もうひとつ理由がありました。数日後に『昭和30年代の東京』というテーマで、『旅』(JTB)という雑誌の取材を受けることになったからです。お話を持ってきてくれた編集者の秋山さんは、3年前に知り合った女性で、3回ほどお会いしただけですが、とても気持ちの優しい人柄に好感を持っていました。なので「昭和30年代でくくられると、私は違うのでは?」と思ったのですが、当時生まれていない人が、30年代のモノを集めている、興味を持っているということで紹介したいというお話に受けてみることにしたのです。けれど、戦前のモノには多少自信がありますが、30年代となると案外少なくて、苦悩に苦悩を重ね、ちょっとだけでも当時の空気を感じたいという思いで、この博物館にきたのでした。
 しかし、団地の一室に飾られた物たちを見ると、私の子供時分の家よりも、はるかに物が多く、部屋全体の色彩もカラフルで、まるでリカちゃんハウスのように夢いっぱいという感じです。だいたいウチの台所は裸電球の下にちゃぶ台だったしなぁ‥‥。考えてみると、田舎で生まれ育った私は、そもそも団地に縁がなかったのでした。それに、今ほど情報の伝達が早くなかった当時では、都会と田舎の生活は、昭和30年代も40年代もあまり変わりがない気がします。
 
 団地の居間には、東郷青児のビーズ絵が飾られていました。私の実家にはありませんでしたが、個人の経験は別として、当時のインテリアを思い浮かべると、東郷青児ははずせない存在のような気がします。
東郷青児の一輪挿し ちなみに今の私の部屋には、東郷青児の一輪挿しがあります。そもそもこの一輪挿しを買ったのは、懐かしさというよりは、一輪挿しですからお花は1本買えばいいと思ったのと、白地にグレーで木の枝と、線の細い美しい女性が描かれたシンプルなデザインが、どんなお花にも合うし、ゴチャゴチャした私の部屋でも、どこに置いても似合うに違いないと思ったからです。そして思ったとおり、ちゃぶ台の上でも棚の上でも、どこに置いても、この花瓶は似合いました。ピンク色のバラを生けてみました。なんだか気持ちが乙女になってしまいそうです(ずうずうしい?)。
 
 さて、問題の取材はどうなったかというと、縁あって2人の友人が登場する上に、『その19・ へんてこケロちゃんの巻』で、ご紹介した濱田研吾さんも、以前から『旅』には参加していたというのですから、なんだかせまい。驚きました。
 登場する友人の1人は山田美香さん。ちんどん屋さんです。ちんどん屋さんの全盛期といえば昭和30年代! ということで選ばれました。ちなみに彼女のちんどん屋歴は10年。子供の頃からブラスバンドや演劇を経験してきた彼女にとって、ちんどん屋さんでお金がもらえるというお話に、「それはいいや!」って思い、いきなり会社を辞めて、この世界に飛び込んだそうです。とにかくパワーのある方で、私のまわりでは一番お酒に縁の深い女性です。お酒にまつわる笑い話の多さといったら、彼女以外にはありません(本人の名誉のためにこのお話は書きませんが‥‥)。
 そんな彼女は、「今はちんどん屋の時代よ」って力強くいいます。この不景気の中、広告としては格安で、インパクトと懐かしさを感じるちんどん屋さんは、とても人気あるそうです。納得ですよね。興味のある方は、ぜひ問い合わせをしてみてください。
 お問合せ・お申し込みは、桜梅屋(おうめや)03-3332-6255まで。
 そして、もう1人がカリスマチャンネルでもお馴染み、『日本絶滅紀行』の田端宏章さんです。田端さんと私は事前に打ち合わせしたわけではありませんが、2人ともお部屋でちゃぶ台を前にしての撮影となりました。紹介するモノの質が違うとはいえ、なんだかオモシロイ。余談になりますが、田端さんってお会いした時は20歳だったのに、当時からいろんなことをよく知っていて、どっちが年上なんだかわからないと思っていました。それが、7年目にして、はじめてお部屋を見てビックリ! なるほどと納得しちゃいました。田端さんが雑誌に顔をだすのは珍しいですし、ましてお部屋を見ることができるなんて、めったにありませんから、興味のある方は見てくださいませ。 
 私が取材を受けることも稀ですので、記事がどんな仕上がりになるのかわかりません。ちょっと楽しみ。いい記念になりました。掲載予定の『旅』は5月10日発売号とのことです。


2003年5月9日更新
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その21 西郷隆盛貯金箱の巻
その20 爆弾型鉛筆削の巻
その19 へんてこケロちゃんの巻
その18 転んでもただでは起きない!達磨の巻
その17 ケロちゃんの腹掛けの巻
その16 熊手の熊太郎と国立貯金器の巻
その15 単衣名古屋帯の巻
その14 コマ太郎こと狛犬の香炉の巻
その13 口さけ女の巻
その12 趣味のマーク図案集の巻
その11 麦わらの鍋敷きの巻
その10 お相撲貯金箱の巻
その9 カール点滅器の巻
その8 ピンク色のお面の巻 後編
その7 ピンク色のお面の巻 前編
その6 ベティちゃんの巻
その5 うさぎの筆筒の巻
その4 衛生優美・リリスマスクの巻
その3 自転車の銘板「進出」の巻
その2 忠犬ハチ公クレヨンの巻
その1 野球蚊取線香の巻


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