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今柊二
「消しゴム文明の隆盛と怪獣ブーム」
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消しゴムというのは、子供たちにとって身近な実用品であり、かつ玩具でもあった。尊敬する西岸良平先生の「三丁目の夕日、夕焼けの詩」でも一平君やそのクラスメートが実に多彩に消しゴムを加工して遊んでいた。故ナンシー関顔負けの消しゴム彫刻やら、単に消しゴムを細かく切って友達と飛ばし合ったり、はたまた消しカスを集めて「練り消し」をつくったりというように使用が多岐に及んだ。女子に人気の「匂いつき消しゴム」というのもあったな(このあたりの事情は串間さんの著作やWEBなどで詳しい)。しかし、それらはあくまで「字を消す」という実用性が第一義で、遊びの要素は第二義的なものであった。それが遊びが第一義となってきたのは、やはり前回に記したスーパーカー消しゴムあたりからだろう。スーパーカー消しゴムなどは、実際消そうと思っても、消しゴム真っ黒、ノートも真っ黒というようにまったく役に立たなかった。が、これがなぜ「消しゴム」という名前で呼ばれ続けていたかというと、これは親にいうとき「消しゴム買うからお金ちょうだい」といえるからだ。親も学用品ならしぶしぶお金をくれたものである。メーカーサイドもそのあたりの事情が多分わかっていたのだろう。販売ルートも、駄菓子屋以外に文房具屋などで売られていた。
しかし、スーパーカー消しゴムの次にブームとなった怪獣消しゴムは、もはや文房具店では売られていなかった。私の小学校の前にあった文房具店でも怪獣消しゴムは売られていなかったのだ。ではどのようにしてゲットしたのか。それはガシャポンである。当時はガチャガチャと呼んでいた。怪獣はもっぱらウルトラ怪獣であり、私が小学校高学年であった1970年代末期は、第3次怪獣ブームと呼ばれる時期であった。ちなみに、第1次が実際の放映時の1966年〜67年くらい、第2次が1970年前後とされている。ちなみに、この第3次怪獣ブームの時期である1970年代末期というのは、ともかくSFが異様に高揚していた時期であり、ウルトラ怪獣のブームも、「日本の誇る完成度の高いSF」という見られ方をしていた。このような動きの背後には、後の回で詳しく述べることになるであろう「未知との遭遇」「スターウォーズ(SW)」などの「黒船」に対する日本の対抗馬という文脈があったのだった。
実際問題として、私もこの時期にウルトラマン、セブンが再放送されたおかげで、両作品の素晴らしさに触れることができた。特にセブンのもつスマートさにはしびれまくったものである。またメカと合体した怪獣が多かったのもセブンであった。当時はウルトラものの解説もテレビの特番などで多く組まれていたから、それらの番組をみて「やはり実相寺監督の作品はいい」とか、ウガった見方もしていたものだった。実際は怪獣デザインにかかわった成田亨の業績も大きく、このことに関しては近日中に河出書房新社から文章にまとめる予定(具体的な計画が見えてくればまた報告する)。
さて、話がそれたが、この第3次ブームの際には、前述したように怪獣消しゴムが話題となり、全国の小学生たちはせっせと怪獣消しゴムを集めたものである。そして、集めるだけでなくそれで遊んだ。その遊び方は、スーパーカー消しゴムから継承された「対戦ゲーム」であった。要は怪獣のトントン相撲である。小学校の休み時間などに、机をくっつけてトントンやつたものである。他のクラスは持ち物検査とかでうるさかったが、私の6年月組のヤギ先生は、24歳と若かったこともあってか非常に寛大なセンセイで「授業中やらなきゃいいよ」と言ってくれた。ちなみに私は小学校での先生運が非常にわるく、1、2、4年と最悪のババア先生だったので、このヤギ先生が神様に見えたものだった。特に4年のときのババアは最悪で、言うことを聞くとりまきだけをエコヒイキして(このババア、あろうことか昼休みとかに、とりまきにマッサージとかさせていた!)、言うことを聞かない生徒は、放課後残すわ、親は呼び出すわ、ヒステリーですぐ怒るわで、手のつけられない人物であった。
…あっ、話がそれた。怪獣相撲の詳しい話は次回にします。
2003年3月24日更新
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