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「蕩尽日録」タイトル

巨大な木造住宅   10月某日 谷中ニテ芸術散歩ヲ愉シミ、浅草デ「えのけん」ヲ想フ事
南陀楼綾繁

 秋晴れの休日。毎年この時期は、ぼくのウチの近所で「谷中芸工展」(http://www.tctv.ne.jp/geikoten/)が開かれる。今年で11回目だという。谷中のギャラリー、喫茶店、雑貨店あるいは路上をつかって、さまざまなアート作品が展示されるのだ。正直云って、ひとつひとつはそんなにオモシロくないのだが、50メートル歩くごとに別の展示が現れるので、散歩するのが楽しい。今日は谷中初心者のセドローくんを案内することになった。

 日暮里駅で待ち合わせ、まず朝倉彫塑館へ。彫塑家の朝倉文夫(早大にある大隈重信の像で知られる)の自宅を公開しているもので、和洋折衷の三階建て建築。真ん中にある庭が、どの階の部屋からも見える。いちばん好きなのは書斎で、天井まである書棚にぎっしりと本が詰まっている。ココに来ると、古本屋のセドローくんの目があやしく輝き、「あの棚の本をごっそり売ったらいい儲けになりますよ」などと云いだす。そのせいかどうか、普段は自由に回れるのに、今日はやたらと監視のおばさんがついてくる。ウルサイなぁ。

 そのあと、谷中墓地での「谷中まつり」(子供向けに戦隊もののショーをやっていた)やギャラリーを見て、〈カヤバ〉でコーヒーを飲む。ココはいつも時間が止まっているみたいでイイ。目の前にある吉田屋(明治時代の酒屋を移築してある)の広場で手品をやっていたが、ド下手でとても見てられない。こんなユルイ出し物も混じっているのは、ご愛敬か。

谷中墓地で戦隊ショー

★谷中墓地で戦隊ショー

 三崎坂を下り、大圓寺へ。昨日、今日とココで菊祭りをやっているのだ。昨日覗いたら、タキシードとドレスの男女がオペレッタを唄っていた。彼らが立っている壇の下に菊の鉢がいくつも置いてあって、そこに「非売品」という札が貼ってあったのが、歌手が非売品みたいで笑えた。地域雑誌「谷中・根津・千駄木」(「谷根千」)の山崎範子さんにおいなりさんを貰う。

巨大な木造住宅

★根津で見つけた巨大な木造住宅

 そのあとも一時間ぐらい、根津や千駄木をウロウロしてから、西日暮里からバスに乗って浅草へ向かう。雷門のスグ近くにある〈ヨーロー堂〉というレコード店の2階で、「勝手にエノケンまつり」というライブを見るのだ。エノケン(榎本健一)の歌や映画を愛好するミュージシャンが集結して、今年の生誕100年を勝手に祝おうという企画だ。ふちがみとふなと(歌とベース)、大熊ワタル(歌といろいろ)、中尾勘二(ドラムほか)、チンドンのお姉ちゃん(なぜか巨乳でビックリ)という組み合わせで、エノケンソングをたっぷりと聴かせてくれる。普段は演歌のキャンペーンをやっているらしい、しょぼくれたステージもいかにも浅草っぽくて、泉下のエノケンもお慶びであろう。

勝手にエノケン祭り

★勝手にエノケン祭り。中央が上野茂都。

 ゲストの上野茂都は、三味線弾き語りでぼくがいちばん好きなエノケンソングである「チョンボ・マンボ」を、全然マンボ調でなく演奏してくれて、コレだけでも見に来た甲斐があった。上野さんは、いちいち照れくさそうなしぐさだった。ときどき大きく目を見開くと、お兄さんの上野耕路にそっくりになる。終ってから、上野茂都唄草子第壱集と銘打たれた「あたま金」(オフノート)というCDを買う。

 客席には、ライターの岡崎武志さんや西荻の古書店〈興居島屋〉の奥さんが来ていた。マンガ家の久住卓也さんも一緒だったが、人見知りの虫が働いて挨拶をせずに、締め切りの原稿があるからと一人でバスに乗って帰る。西日暮里まで戻ったら、急に飲みたくなり、駅前のお好み焼き屋で焼酎を。結局その日は仕事にならなかった。ナニをやってるんだ。


2003年11月11日更新
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