ボロサウナを巡る旅、第二弾。前回はこちら。
サウナ太洋(横浜市中区長者町)
青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」は言わずと知れた昭和歌謡の大ヒット曲。伊勢佐木町は横浜きっての繁華街だが、直交する長者町はクレイジーケンバンドの「長者町ブルース」で、ダークサイドヨコハマと歌われている。この界隈はビジネス街の関内、ソープ街の福富町、ドヤ街の寿町にも近く、混沌とした横浜の夜を象徴している。
サウナは至近距離にニュージャパン、ハイランド、ニューシティーと激戦区。しかし、目指すはサウナ太洋。横浜といえば大洋ホエールズだが、配慮すべき大人の事情でもあったのか、大洋ではなく太洋。残念ながら今年3月末に閉店したが、相当な年季の入り具合と薄暗さはドン引きレベル。
バイブラ湯、水風呂、サウナの最低限で勝負とは潔い。がらーんとして落ち着かないが、独りをよいことにサウナ室では横になってみたり。剥離したサウナ室の天井を見上げていると、気分はいっそう沈む。
サウナ屋の休憩室といえばリクライニングシートが定番だが、ここは2段ベッドがずらりと並ぶ。かっこよく言えば大部屋のドミトリー。しかし、その雰囲気は簡易宿泊所。昼間から寝ている人たちは、何を目的にやって来たのだろうか。
サウナ国際(東京都江東区亀戸)
サウナ=おじさん=インターネットやらない、という構図なのか、公式サイトを開設していないサウナ屋は多い。情報を求めてグーグルマップを彷徨うが、そこで見つけたボロサウナがこちら。建物こそ立派だが、岩風呂を売りとしているあたり興味深い。
国鉄のストライキの時は、足の踏み場がないほど客が詰め掛けたという。閑散とした現状からは想像もつかないし、ひたすら雑誌を読みあさるオジサンはいつになったら風呂場に行くのか。館内着に身を包んだ時点で、もはや「ととのって」しまったのか。サウナに集う客に謎は多い。
サウナでは汗をかくだけでなく、惰眠を貪り、そして腹が減ったらメシを食う。メニューを見れば本気度がよくわかる。カップラーメンが堂々と名を連ねている時点で意味不明だが、カレーライスを注文すれば「レトルトだげどいいですか?」と。
休憩室には布団が敷き詰められていた。「国際」の名の由来など、もはやどうでもよい。ここでは誰の目を気にするでもなく、自由に過ごせばよい。それがサウナの魅力。そしてダメなオジサンになっていくのだ。