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「脇役列伝」タイトル

ヒーロー研究家立石一夫

南部のタッグ屋、グラハム&ステンボート


 昔のプロレスは、本当に面白かった。私がただ歳を取っただけではない。現在より数段個性が豊かなレスラーが多かった。海外から続々と、殺し屋が襲来する。東スポや、「プロレス&ボクシング」を見るだけで、もう胸がワクワクしたものだ。
 色々なシリーズがあり、色々な強豪がやって来た。中学生時代からプロレスを見て、どのシリーズが一番印象に残るかと、問われると結構難解だ。1966年5月に幕を開けた、「ゴールデン・シリーズ」はその中でもベスト5に入る。シリーズ始めから、終わりまで日米の選手がアジア・タッグの王座を巡って死闘を繰り広げたからだ。シリーズの目玉は、凱旋帰国を果たしたヒロ・マツダであった。そして彼の宿敵、エディ・グラハム&サム・ステンボート組がフロリダから襲来した。

グラハム&ステンボート

 グラハムは、ラフファイトと、足4の字固めに定評があった。ステンボートは、師匠ルー・テーズ仕込みのグランド・テクニックが玄人ファンを唸らせた。裸足でマットを軽快に動き回り、必殺の原爆固めも迫力があった。アメリカ南部を代表するレスラーだけあって、タッグ・チームの醍醐味を存分に見せつけてくれた。
 特筆されるのは、マツダ、吉村組との試合だ。四人共、グランド良し、スタンド良しのテクニシャンだから本場顔負けのタッグ戦が生で見られたファンは幸せである。先週のチャンピオンは、今週敗れて無冠に。そのチームが二週間後には返り咲く。こんなシリーズがつまらない訳があろうか。グラハムはこのシリーズで、殺人鬼カール・コックスともチームを組んで暴れた。アメリカでマツダとタッグを組んでいたケオムカも参戦、空前のタッグ大戦争となったのだがこのシリーズの特長であった。何しろエースの馬場が陰になる位、タッグの名手が揃い踏みといった感があった。グラハムは引退後、NWA会長に就任。


<エディ・グラハム>181C 109K、グラハム3兄弟としてアメリカで暴れ回った。引退後はNWA会長に登り詰めるも1985年1月21日フロリダ州タンパでピストル自殺。
<サム・ステンボート>ルー・テーズの指導を受けてデビュー、グランドテクニックには定評。グラハムとのコンビで世界タッグチャンピオンに。帰国後は動向が不明でちと寂しい。


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2005年1月13日更新
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