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店長神保和香子

 まぼろし書店神保町店/第15回は『渦巻き(二の巻)』をお送りします。
(著者の方々の敬称は略させていただきました/商品の価格は税込価格です)


 前回に引き続き、『渦巻き』をテーマに色々な本をご紹介していきます。

Blossfeldt Postcard Book アマゾンへようこそ!

Blossfeldt Postcard Book (PostcardBooks S.)
Karl Blossfeldt (著)
ペーパーバック
Taschen America Llc
税込価格544円

 おお。何と、見事な渦巻きでしょうか。美しい。
 カール・ブロスフェルド(1865〜1932)はドイツの写真家で、こよなく植物を愛した人でした。
 彼は、アマチュア写真家としての生涯を、 自然の創り上げた植物の美を写真に写し撮る事、に捧げました。ベルリン芸術大学の教授であったブロスフェルドは、彼の植物写真を教材として、ドローイングのクラスの学生達を教えました、たぶん。しかし、彼は、ただひたすらに、彼の発見した「植物の美の形態」を写真として残せれば幸せだったのです、おそらく。(おそらく、なのは、英文のテキストを私の直感力と推理力のみで解読したからです。)
 様々な植物の、新芽、果実、葉脈…。自然が生み出した幾何学的な美を、ストイックな構図で切り取ったモノクローム写真たち。文庫サイズのポストカードブックですが、写真集として気軽に楽しめるお得な一冊です。

「装飾する魂 日本の文様芸術」 アマゾンへようこそ!

「装飾する魂 日本の文様芸術」
鶴岡真弓
平凡社
4-582-20661-1
税込価格2,940円

 「飾」という漢字の象形は、「人間が布巾で穢れを拭いている」様子を表しているといわれ、宗教的な出自を持っているそうです。「飾」の右側が「布巾を持った人」部分です。そんな風に見えますか?
 日本人の「装飾」好きは相当なモノですよね、しかもセンスがよろしい。四季の豊かな自然を愛し、侘び・寂びの心を持つ日本人ですから、植物・動物・自然現象…あらゆる事象をモチーフにして文様にアレンジしました。
 渦巻、鳳凰、唐草、桜、水、蝶、龍、縞、人、文字、雲、車、日月、動物、車。
 この「装飾する魂」では、15の文様それぞれが、どのように日本人の生活を彩って来たのか、美しい写真とともに解説されています。そして、巻頭を飾るのは「渦巻」の章。写真は「縄文土器」。焚火の焔に魅入られてしまうように、火焔土器の渦は私を魅了してやまないのです。

[こんな本もあります]
「図説ケルトの歴史 文化・美術・神話をよむ」「図説ケルトの歴史 文化・美術・神話をよむ」/鶴岡真弓・松村一男
/ふくろうの本・河出書房新社/4-309-72614-3/税込価格 1,890円
 世界は広い。ケルト文化という、渦巻パワー全開のエネルギッシュな文化があったらしいです。特に8世紀〜9世紀頃に発達した、「装飾写本」というモノはスゴイ渦巻き物件です。現在のアイルランドや北スコットランドの修道院で作られた、典礼用の特別な聖書なのですが、聖書というよりも、「とにかく渦巻で空間を埋め尽くしたい」という別種の信仰的な情熱の産物としか思えない。渦巻きマニア必見であります。
 

 さて、最後は、まぼろし書店吉例・オリジナル文学史シリーズ「渦巻き」篇です。

「二重螺旋の悪魔 上」 アマゾンへようこそ!
「二重螺旋の悪魔 下」 アマゾンへようこそ!

「二重螺旋の悪魔 上」
梅原克文
角川ホラー文庫
4-04-346101-1
税込価格840円
「二重螺旋の悪魔 下」
梅原克文
角川ホラー文庫
4-04-346102-X
税込価格840円

 もったいないくらいにアイデア盛り沢山な、最上級エンタテイメント小説。
 現在だったら「バイオSFホラー」というようなジャンルになるのでしょうか。発表されたのは10年以上前の事ですが、何度読み返しても、「ここまで惜し気も無く最高速でストーリーテリングしていいのか!」と唖然としてしまう程の面白さは変わりません。キングだったらこのネタで長篇4本(全て上下巻)は書くよ、きっと。

「唐草物語」 アマゾンへようこそ!

「唐草物語」
澁澤龍彦
河出文庫
4-309-40473-1
税込価格 620円

 河出文庫のかっこ良いところは、無闇矢鱈に「読みやすい大きな活字の新装版」にしないところ。澁澤龍彦を読むなら小さい活字がいいなぁ、やっぱり。


 第15回『渦巻き(二の巻)』、いかがでしたか。
 皆様からのリクエスト・情報提供など、心よりお待ちしております。
 どうぞ、これからも末永く「まぼろし書店・神保町店」をよろしくお願いいたします。


『渦巻き(一の巻)』
『まぼろし書店のおすすめ新刊/2005年・赤の巻』
『まぼろし書店のおすすめ新刊/2005年・黒の巻』
『万博と近未来の夢』
『雪月花のこころ/桜の巻』
『懐かしの町・街角散歩/後編』
『懐かしの町・街角散歩/前編』
『だまされる快感』
『秘密基地大作戦』
『疾風の新着情報!!』
『疾風の新着情報!』
『入魂の一冊』
『名画座の時代』
『あのころの風景』


2006年3月1日更新
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