園長 ペリプラ葉古
その15−ツチノコ
体がぷっくりふくらんだへんてこなヘビがいます。
ははあ、これが一時期話題になったツチノコですか。
なんとも曰く言いがたい生き物ですね。
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ツチノコは日本を代表するUMAということになっている。
UMAといっても馬ではない。
unidentified mysterious animalsの略であり、
つまり未確認生物という意味だ。
ネッシーや雪男はワールドクラスのメジャーなUMAだが、
比べると日本代表のツチノコはいかにも貧相であろう。
だってヘビの変種なのである。
このしょぼさがいかにも日本的といえなくもないけれど。
なんでもツチノコは日本各地で目撃されているらしい。
証言によると、体がビール瓶ほどの太さのヘビなのだとか。
頭は小さく尾も細いが、体だけふくらんでいるのだとか。
素直に考えれば、ビール瓶を呑んだヘビだと思われる。
よく知られている通り、ヘビは自在にあごを外すことができる。
あごを外して大きな獲物を丸呑みするのだ。
アオダイショウくらいの大きさのヘビならば
ビール瓶くらい呑み込むのは平気だろう。
ビール瓶の中に好物のカエルが入っていたのかもしれない。
あるいは単にのんべえのヘビだったのかもしれない。
思わず瓶ごと呑み込んだところを人間に見つかったのだろう。
これが誤認されてツチノコとなったのではなかろうか。
ところがツチノコは断じてツチノコだと主張するやからがいる。
しかもツチノコにはロマンがあるとまで言い放つ。
いまのところツチノコの捕獲例はひとつもない。
幻の生き物だからロマンを感じるというのか。
そんなことをいうのなら、
未発見生物にはすべからくロマンがあるはずであろう。
日本には未発見の生き物がごまんといる。
ガにもダニにも、あるいは寄生虫のたぐいにも、
いまだ人目に触れず名もついていない種はいくらでもいる。
人はガにロマンがあるというだろうか。
ダニや寄生虫にロマンを抱くだろうか。
一部の研究者を除いて否であろう。
であればツチノコのみを特権扱いするのは不当だ。
ネッシーや雪男ならばわからないでもないが、
たかがヘビごときに一般人がロマンを夢見るとは嘘っぽい。
しかし狂信的なツチノコ愛好者たちはめげることがない。
ツチノコ共和国を作り村おこしをしている自治体さえあるのだ。
もはや確信犯である。
きっとお土産にツチノコ饅頭やツチノコ最中を売っているのだろう。
ツチノコTシャツやツチノコテレカなんてのも売っているのかも。
それだけではだめだ。
ツチノコ共和国を名乗る以上、
観光客にツチノコの実在を証明してみせる義務がある。
おおかたアオダイショウにビール瓶を呑ませるのであろうが。
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【ツチノコ】
日本特産の爬虫類の一種と思われるが、いまだ確実な標本がなく、
詳細は不明。日本各地で確認されているが、特に奈良県での目撃例
が多く、下北山村というところにはツチノコ共和国まで存在する。
その下北山村も現在は市町村合併問題でツチノコどころではないら
しい。
2003年5月20日更新
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