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店長神保和香子

 まぼろし書店神保町店/第16回は『やられた!』をお送りします。
(著者の方々の敬称は略させていただきました/商品の価格は税込価格です)


 書店に勤めていて困る事は、「欲しい本を次々と発見してしまって、常に経済的危機に直面しなければならない」という事ですね。特に、自覚しているつもりの守備範囲以外の、意外な分野に属する本からの攻撃に弱いようです。

「バーコード革命」 アマゾンへようこそ!

「バーコード革命」
デザインバーコード社
アーティストハウスパブリッシャーズ
4-902088-65-7
税込価格 1,050円

 表紙を見た瞬間、「負けた!」と思いました。敵じゃないけれども。
 だって、「バーコード革命」ですよ。せっかくの素敵な装丁デザインなのに、これさえ無ければなぁ…と言われ続けた、あの「バーコード」をデザインする、というこの発想。負けました。
 しかも、この本自体が何ともすんなりとした佇まいで、お洒落です。横長なところも良い。
 しかも、淡々と紹介されるデザインバーコード作品がどれも楽しい。押し付けがましく無いところが良い。
 もちろん、この書籍についているバーコードもデザインバーコード。バーコードが「紐付き栞」にデザインされているのです。敵ながら天晴れ。敵じゃないけれども。

[こんな本もあります]
「無印良品のふしぎ」「無印良品のふしぎ」/鵜久森徹/ピエ・ブックス/4-89444-523-9/税込価格 1,050円
 表紙を見た瞬間、「仕方無いなぁ〜」と思いました。ここまでやられたら、無印良品ファンとしてはコレクションせざるを得ないのです。「無印良品のふしぎ」という書籍名が「無印良品のタグ」そっくりにデザインされている、この部分、触れるとタグそっくりの手触りなんですよ〜。たまらん。
 本の中身は「無印版・生協の白石さん」的な軽い読み物ですが、無印的あずき色・グレー・再生紙風オフホワイトで統一されたブックデザインの徹底振りは、尋常ではない。無印への「愛」でしょう。

「大志の歌 童話の学校校歌・寮歌」 アマゾンへようこそ!

「大志の歌 童話の学校校歌・寮歌」
安野光雅
童話屋
4-88747-054-1
税込価格 1,313円

 おや?安野光雅はこんな本も出していたのか…と、小さな本を手に取った途端に、「やられた!」と思いました。何やら、紋章らしきものが市松状に並んでいまして、「童話の学校校歌・寮歌」という副題からして、「校章」のデザインと思われますが、河童やら、百足やら、蝙蝠やら、山猫やら、楽し気な図案ばかりなのです。家紋・紋章…といった、小さな図案が数多く並んでいる本が大好きな私は、もうこの表紙だけで嬉しくなって来ました。
 サ・バ・ダ 僕たちはサバたちだ
 サバダッテバ サバダバダ サバダバダ(境港市立 鯖高等学校 伝承歌 鯖節より)
 そうなのでした。この「大志の歌」は、安野光雅の童話世界の様々な学校の、「校歌」を集めた本なのでした。熊本県仙波山私立「狸化学専門学校」の校歌は「仙波山寺」。伊勢志摩市立「水産大学・雲丹寮」寮歌は「雲丹と乙女」。
 どのような風景の中の、どのような校舎なのでしょうか。この校章をつけるような、制服があるのでしょうか。西表村立「西表山猫小学校」の生徒達は横長のランドセルを背負っているのでしょうか。

[こんな本もあります]

「駅スタンプの旅 SL編」
「駅スタンプの旅 トロッコ列車編」

「駅スタンプの旅 SL編」/松井信幸/えい出版社(えい文庫)
/4-7779-0018-5/税込価格 683円
「駅スタンプの旅 トロッコ列車編」/松井信幸/えい出版社(えい文庫)
/4-7779-0200-5/税込価格 683円
 まさに、小さい図案が大集結なのです。楽しいなぁ〜!駅スタンプって、定番デザインがいくつかあって、そっくりさんかと思うと、小さな部分がアレンジされていたりして、色々見比べていると、本当に見飽きないんですよね。でも、自分は無精者なので、自らスタンプ蒐集は絶対にしない。そんな私に嬉しすぎるこの文庫達。「押し鉄」の著者さん、有難う!

「皆既日食ハンターズガイド STUDIO BOICE別冊」 アマゾンへようこそ!

「皆既日食ハンターズガイド STUDIO BOICE別冊」
eclipseguide.net編
INFASパブリケーションズ
4-900785-38-5
税込価格 1,800円

 2009年7月22日、実に46年ぶりの皆既日食が日本国内で観測できる……んだそうです。その前にも、2008年8月1日にはカナダ〜ロシア〜中国にかけての地域で皆既日食が観測できるらしい。文字通りの「世紀の天文スペクタクル」を追っかけよう!というガイドブックなのです。
 実はこの本を自然科学書の売り場で見た時、「おおおっ」と思い即座に手に取ったのは、「自然科学や歴史の謎を解き明かしながら、世界中を冒険する、トゥームレイダー的な方々の体験記」と根拠無く思い込んでしまったからでした。実体はスピリチャル風味の日食観測ガイドブックだったのですが、先天的に文系人間であり「理科系の用語に弱いという弱点」を持つ私は、「皆既日食」という単語の響きに(特に「皆既」部分)どうしようもなく、魅せられてしまったのです。 
 皆既日食観測を音楽とともに楽しむ「エクリプス・フェスティバル」。世界各地から集結した数千人のエクリプスハンター達が、サングラスをかけて同じ方向を見つめている様子は、「2001年宇宙の旅」の1シーンのような神々しい美しさに満ちていました。

[こんな本もあります]

「宇宙の歩き方」
「宇宙旅行ハンドブック 「予算」「コースの選び方」から「無重力の歩き方」「トイレの使い方」まで」

「宇宙の歩き方」/林公代/ランダムハウス講談社/4-270-00089-9/税込価格 1,680円
「宇宙旅行ハンドブック 「予算」「コースの選び方」から「無重力の歩き方」「トイレの使い方」まで」
/エリック・アンダーソン ジョシュア・ピヴェン/文芸春秋/4-16-367900-6/税込価格 1,850円
 「宇宙の歩き方」の表紙が、有名な某旅行ガイドシリーズにそっくりで、笑わせてくれますね〜。似たテーマの2册なのですが、アメリカ産の「宇宙旅行ハンドブック」の方はかなり本気です。宇宙でのトイレの使い方、食事をこぼしたときの対処法、宇宙から地球の写真を撮るときの注意点など、どれも大切ですよね!うん。

「リトルプレスの楽しみ おしゃれなミニコミを作ってみたら」 アマゾンへようこそ!

「リトルプレスの楽しみ おしゃれなミニコミを作ってみたら」
柳沢小実
ピエ・ブックス
4-89444-502-6
税込価格 1,680円

 リトルプレスって何ですか。
 要するに「ミニコミ誌」の事なのですが、「ミニコミ」を「リトルプレス」と言い換えるだけで、お洒落感急上昇ではありませんか!「ビーズ」と「ニュービーズ」以上にイメージ激変です。さすがピエ・ブックスなお洒落な装丁で「リトルプレス」とか言われたら、文系女子は手に取らずにはおれませんですね〜。
 中身も当然素晴らしい。イラストレータさん達やデザイナーさん達が、自腹を切って採算度外視、好き放題に作成したミニコミ作品が、目白押しに紹介されております。傘の形をした「あまがさ」という小冊子や、クリップで束ねたリーフレットなど、斬新な形態の作品も多く、「本という形式にとらわれない」発想に驚かされます。
 でも、やっぱり私にとっての最大の驚きは、「リトルプレス」という言葉の発明ですね。負けたよ。
 
[こんな本もあります]
「無印良品のふしぎ」「ミニコミ魂 シリーズ・新道楽人生」/串間努・南陀楼綾繁ほか
/晶文社/4-7949-4721-6/税込価格 1,995円
 「本という形式にとらわれない」発想で創られたミニコミ誌を紹介したのが、上記の「リトルプレスの楽しみ」だとすると、「自分がどうしても伝えたい内容」を「本・それに準ずる紙媒体」というカタチで発信する事を「選んだ」ミニコミ発行者達と、その作品を紹介している『熱い一冊』がこの「ミニコミ魂」。
 ミニコミ作成のノウハウや、苦労して創ったミニコミをどう販売するかという「営業方法」についても、具体的に説明されている頼もしい奴。著者欄を確認してみれば、納得の力強さでありました。


 第16回『やられた!』、いかがでしたか。
 皆様からのリクエスト・情報提供など、心よりお待ちしております。
 どうぞ、これからも末永く「まぼろし書店・神保町店」をよろしくお願いいたします。


『渦巻き(二の巻)』
『渦巻き(一の巻)』
『まぼろし書店のおすすめ新刊/2005年・赤の巻』
『まぼろし書店のおすすめ新刊/2005年・黒の巻』
『万博と近未来の夢』
『雪月花のこころ/桜の巻』
『懐かしの町・街角散歩/後編』
『懐かしの町・街角散歩/前編』
『だまされる快感』
『秘密基地大作戦』
『疾風の新着情報!!』
『疾風の新着情報!』
『入魂の一冊』
『名画座の時代』
『あのころの風景』


2006年6月22日更新
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