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田端宏章

第18回 タバコの王様ピース美術館
 その3 (乗り物 篇)


タバコの王様ピース ピースの記念物シリーズも、いよいよ3回目となりました。今回は乗り物に関する記念物ピースを取り上げたいと思います。
 さて、この記念物ピースですが、一番はじめに出たものは、サンフランシスコ条約締結記念のピースなんだそうです(発売は1951年(昭和26年)です)。側面に「講和記念」の文字が書かれ、国会議事堂のバックに日の丸が描かれたものでした。原物は東京・渋谷の「たばこと塩の博物館」で見ることができます。このピースというタバコ、もともと記念物の要素が強いタバコなのです。はじめて「ピース」の名前を付けたタバコは、大正9年に発売されていますが、その時は第一次世界大戦終結記念として発売されたのでした。その後、第二次世界大戦終了後に、現在のピースの直接的先祖の型が発売されます(発売は1946年(昭和21年)1月)。もちろん戦争の終結を記念して「ピース」という名前になったのです。ピースは戦後日本の象徴ともいえる商品なのですね。
 では、デザインの優れたピースの記念物コレクションの中から、乗り物をテーマにしたものをご紹介してみます。


「東海道電化完成記念」(1956年発売)

「東海道新幹線開通記念」 「東海道新幹線開通記念」

1956年(昭和31年)11月19日、東海道本線の大津−米原間の電化工事が完了し、これで東海道線(の本線)が全て電化されました。1922年(大正11年)から34年間をかけての完成でありました。鉄道が生まれたのは1814年(イギリスのスティーヴンスン)、日本で最初に鉄道が走ったのは1872年の新橋−横浜間(新橋は後の汐留駅,横浜は現在の桜木町駅)、電車が生まれたのは1879年(ジーメンス社)、日本で初めて走ったのは1895年(明治28年)の京都の塩小路東洞院−伏見京橋間です。東海道電化完成を記念して作られたピースは、珍しくイラストのみのデザインです(いつものロゴがありません)。しかもこの絵はフクチャンで有名な横山隆一氏によるものです。それが証拠に、裏面にはフクチャンが電車の後ろで手を振っています(図版参照)。


「東海道新幹線開通記念」(1964年発売)

「東海道新幹線開通記念」東海道新幹線は1964年(昭和39年)10月1日に開業しました。戦時中に東京―大阪を結ぶ弾丸列車の構想が生まれてから26年、着工から5年半、国鉄が3800億円の工費と最新の技術を結集してつくり上げた世界で最も速い列車「夢の超特急」の誕生です。東京オリンピック開会式の直前に開業にこぎつけ、東京と大阪を4時間(翌年10月には3時間10分)で結びました。この時は、記念切手やらしおりやらが次々と発売されたそうですが、このピースもそんなグッズの中の一つです。新幹線のシンプルなイラストと、バックの水色、黄色いピースのロゴがなんとも絶妙なデザインです。


「第25回 海の記念日記念」(1965年発売)

「第25回 海の記念日記念」 「第25回 海の記念日記念」

今や国民の祝日にもなった「海の日」ですが、その歴史は古く、第1回「海の記念日」は昭和16年07月20日にまでさかのぼります。7月20日になった理由は、明治天皇が1876年(明治9年)東北ご巡幸の帰途、灯台視察船「明治丸」で青森から函館を経て横浜にご安着された日に由来しているそうです。国民の祝日となるには長い歴史があり、すでに1959年(昭和34年)から海の日を祝日にする運動が行われていました。そして、1996年(平成8年)7月20日、「海の日」制定後はじめての国民の祝日を迎えました。はじめて海の日が制定されてから56年目のことです。そんな長い歴史のちょうど中盤あたりに発売されたのが、この「第25回 海の記念日」記念ピースです。省略化された船の絵の他、裏面には貝殻やヒトデ、旗などが描かれています(図版参照)。


「貿易記念日記念」(1964年発売)

「貿易記念日記念」 「貿易記念日記念」

私は知らなかったのですが、毎年6月28日は貿易記念日だそうです。1963年(昭和38年)、自由貿易推進の為に閣議決定し、通商産業省(現在の経済産業省)が実施したのがはじまりだそうです。1859年5月28日、徳川幕府がアメリカ・イギリス・フランス・ロシア・オランダの5カ国との間に結んだ友好通商条約に基づき、横浜、長崎、函館の各港で自由貿易の開始を布告しました。これを記念して、日付を太陽暦に換算した6月28日を貿易記念日に制定したそうです。そんなピースにはコンテナや船、旗などをモチーフにした絵が描かれています。裏面には飛行機の絵がありますが、時代は船便から航空便に変わりはじめたころだったのでしょう。このピースが発売されたのはちょうど、東京オリンピックが開催された年でもありました。


「宇宙大博覧会記念」(1960年発売)

「宇宙大博覧会記念」宇宙大博覧会は、1960年(昭35年)6〜7月に晴海国際貿易センターで行われました。主催は産経新聞社。ちなみにアポロ11号の月面着陸は1969年(昭和44年)7月16日と、約9年も後のことでした。また、この展示会の1年後には旧ソ連(現ロシア共和国)が初の有人宇宙船ヴォストーク1号を打上げ、ガガーリン飛行士が地球を1周して帰還しました。まさに宇宙時代を先取りした展示会だったのですね。そんな宇宙時代を予見させるかのようなピースには、早くも月面がデザインされています。もしかしてアポロ打ち上げを予言していたのでしょうか?特色の青と金のインクがなんとも素敵です。このピースは直接乗り物には関係ありませんが、間接的に宇宙船をあらわしていたので取り上げました。


 いかがでしたでしょうか?記念物ピースの世界。お見せしていなもので良いピースはまだまだありますので、少し選んでおこうと思います。こんなに素敵な記念物ピースが無くなってしまったなんて…もし今も出ていればタバコを吸わない私でも毎回買ってしまったことでしょう。次回はピースの最終回か別ネタを予定しています。お楽しみに!

(たばた ひろあき 乗り物は路面電車が好き)


2003年6月10日更新
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