前回記事で屋上遊園地ノリという話をさせてもらったが【vol.66:ズーラシアンブラスに屋上遊園の面影を見た】、現実、東京に辛うじて残っていた屋上遊園地の閉園が【3/11上野松坂屋】|【3/2東急プラザ蒲田】と相次いだ。
特に蒲田東急は東京最後の観覧車が現存していたため惜しまれたが、同じくナムコが運営している川越のまるひろ屋上には未だ観覧車が現役で稼働している。拙ミニコミ同人誌の限定本『これぞ川越』【詳細ページ】(模索舎に在庫僅かに有)で昨夏取り上げていたので、ここで紹介しておきたい。
川越市街地の目抜き通り、新富町商店街のほぼ真ん中にデンと構えるのがまるひろデパート【公式サイト】。南浦和や入間等にもあり、埼玉県民にはお馴染みの地元デパートだ。
創業は戦後暫く昭和26年と古い。今のデパートと比べると天井が低いし、婦人服売場の感じなんかも「ちびまる子ちゃん」でお出かけに行く清水のデパート的な如何にも地方都市の百貨店といった雰囲気。
屋上へは6階から階段でのアプローチ。ペットショップを抜けるとスコーンと空が抜ける。
まるひろの看板をバックに観覧車が回り、外周をモノレールが走る。
これと浮上してグルグル回転する飛行機の乗り物がメインの遊具。
これ以外にきかんしゃトーマスやパンダの乗り物など沢山の電動遊具で溢れている。
全体に昭和丸出しな空間なのだが運営はナムコだからか、新しい版権モノの乗り物とか案内板のデザインが今風だったりと、随所に現代の手が入った形跡が見受けられる。昔の経営のままならとっくに潰れていたろうか、こうして存続してくれてるのだから有難いと思う他ない。
まずなんといっても観覧車。
大人になってから乗ると、チョットでも揺れただけでビックリしたりしてしまう。
ゴンドラから見る川越の街を一望する風景は見事の一言。
意外と高く位置まで登るように感じられる。
モノレールはミニジェットコースター式で意外と速度が早い。
ボタンを押すと愉快な音楽がなるのだが、中途半端な高さと特にカーブでガタガタ揺れる感じがリアルに怖かったりして中々の緊張感が得られる。
そうそう、デパート屋上にはお決まりの神社もちゃんと祀られていた。
民部稲荷というそうだ。
大の大人がはしゃいでいる横で、近所のOLだろうか、クタビレた感じで煙草を吸いに来ている様を見ると、斜陽感が漂って切なくなるが、実際子供も遊びに来てて、アレ乗りたいコレ乗りたいとめっちゃテンション上がってる姿に、今の子供でも楽しいんだな、とホッとさせられるのだった。
なんでも消費が大きくなって、海外の資本や合併合併していかないとやっていけない世の中にあって、一人勝ちの某浦安があたかも正義のようなこの業界。
この切なさをも含めた空気を小さい頃から感じながら、日帰りの下駄履きな遊園にしかない興というものをもっともっと共有されて然るべきじゃないだろうか。
色々難しいとは思うが、ここまるひろだけでも屋上遊園地が長く続いいてくれることを望む。
【了】