あけましておめでとうございます…って遅いっすね。
更新が滞ってしまい失礼しましたが、昨年は本も出しましたし(右メニューに出てると思います)、今年は更新回数を増やしつつ色々まぼろしチャンネルを展開していきたいですね。
というわけで昨年末に、温泉・サウナで汗を流した後プハーッと一杯引っ掛けられる町をエリア毎に紹介したガイド本を発行した。
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で、今回は少し趣向を変えて、正月に動物園に行って来た時の話を。
デパート屋上の遊園地もとんと姿を見なくなった。昨年は銀座松坂屋の閉店に伴い閉園。今年は上野松坂屋と蒲田東急の屋上遊園地が消えようとしている。
自分の知るところでは東京近郊に残るは川越のまるひろくらいだろうか。昨今のテーマパークにはない、箱庭的な小宇宙にしか存在しない愛しき哀愁。依然UPした【vol.61 郵便配達の赤バイクムーバー】にも共通するものがあるが、そうした残照を当連載ではスポットを当てていきたい。
といっても今回は平成も平成、現役バリバリで活動を続けるブラスバンドの話。なんでそれが動物園と関係するのかというと、ズーラシアという横浜にある動物園では、動物のぬいぐるみ的被り物をしたメンバーが楽器を演奏するミニコンサートが開かれているのだ。
■ズーラシアHP
■ズーラシアンブラスHP
何でも子供にクラシックに慣れ親しんでもらおうという、身近な情操教育の一環というのだが、どちらかというと屋上遊園地のヒーローショーに寄っている気がしてならない。後楽園の野外ステージのような本格的なものとは違う、衣装は借りてきてもどこかB級テイスト漂う、いうなれば本来のユルキャラ(今日のようなユルキャラビジネスを初めから当て込んだものではなく、仕方なくユルくなっちゃった残念な空気感)にも似た切なさが感じられたのだ。
はじめは動物園内の1イベントだったが、人気が出て全国の公民館など子供の集まるところに出向いてコンサートを開くにまでなった。自分が初めてズーラシアンブラスを知ったのはこうしたホール公演のチラシを区の掲示板で発見した時で、その衝撃たるや昨日の事のように覚えている。
ぶっちゃけ、
なんじゃこりゃー!!
である。
ライオンやサルが被り物でトランペットを演奏する様はコント以外のなにものでもない。
見たい!見たすぎるwwwwwwww
というわけで公演を調べてみるも子供向けなので土日やGWといった連休ばかり。自分の仕事では一番忙しい時なので休むこともできず、指をくわえた状態のまま無常にも時が過ぎて行った。
そんなある日、ふと思い立ってズーラシアのHPをみてみると、正月公演があると表記されていた。正月だったらいけるぞというわけで、川崎競馬に行った後に寄る事に決めた(午年とあってナイス動物繋がりだが、そんなヤツ自分以外いないだろうなぁ)。
ズーラシアは横浜といっても港の方ではなく、そこから相鉄線や横浜線や市営地下鉄で山のあなたへと入っていったところにある。最寄は中山駅で、動物園行きのバスが結構な本数出ているので、それに乗る。
道中はいわゆるベッドタウンの、ファミレスなどのロードサイドなチェーン店が並ぶ光景。巨大団地群を迂回して終点に到着。
広い空と山の木々しか見えないようなところに、不釣合いなほど近代的な施設が目に飛び込んでくる。
想像以上に寂れた感じがなく、ロータリー中央の芝生にはシザーハンズのような動物を象って剪定された植木がオシャレにさえ映る。
園内はバスが走るほどだだっ広く、ひとまず動物を見て回るが、まぁ目的のころこロッジまで辿り着かない。普段は屋外で演奏するそうだが、冬季は屋内の休憩スペースとなるようだ。それにしても動物の檻が広く取ってあり、山の一角をそのまま用いたように野手溢れている。小さい動物園の檻独特の暗さというか冷たさというか切ない感じがあまりないのがいい。
そんなこんなで遠回りしてやっと会場へ。
開始30分ほど前で既にステージ前のアリーナ(?)は満席状態。横の長机の席に陣取ったが、開演5分前には立ち見が出ていた。
そしていよいよ、待ちに待ったズーラシアンブラスの登場!
これが想像以上にしっかりとしたもので、冷静に考えればコントでしかないところ、その本気の演奏と生楽器の迫力に圧倒され、あっという間に30分が過ぎてしまった。
(左奥:ホッキョクグマ 右手前:インドライオン)
もちろん、子供向けの演奏だから、ただ吹いてるばかりじゃなくて、司会進行のお姉さんの合図で子供が大きな声で掛け声をかけたり、リズムを一緒にとったり。。。
(左奥:ドゥクラングール 中手前:スマトラトラ 右奥:お姉さん)
また演奏の合間には指揮者のオカピを始め、各メンバーとのショートコントもしっかりと用意され、その練られたプログラムに子供たちは全く飽きることなく終始集中して演奏を聴き入っていた。
演奏の後は一旦ハケてから客席に下りてきて子供たちと写真撮影会。こうなると子供たちが主役、自分の居る場ではないので(そもそも大の大人一人で見に来る場じゃないんだけどね)、会場から去ることに。
恐らく、演奏してるのと撮影に下りてきた中の人は違うと思うが、出口のグッズショップにいた親子の会話によると、ホッキョクグマの背中ビッショビショだったというから、まさか同一人物?? まぁここは不問にしておきましょう。
その帰りのグッズショップにしてもそうだが、中の売店はフレッシュネスバーガーが入っていたりと、ズーラシアンブラスを含めた全てがよく出来ていて、地方の観光地的な侘しい感じとかが一切ない。先に触れたが、どちらかといえば後楽園的なよく作られて完成されたものばかりで、正直、ユルい部分を期待していた節が自分の中にあったのは事実。でも、どんなによく出来てても被り物は被り物。ちょっと冷静になれば面白くて仕方ないのだが、冷静にさせてくれないほどの圧倒的なパフォーマンスだといえよう。
とにかく、これて良かった。ああいう着ぐるみ的被り物って自分の大好きな世界で、自分が被って演奏したくなった。モチロン、そんな腕などないのだけど。
そう考えると、プレイヤーがよくこの仕事引き受けたなと。中の人らが音大出てるのか知らないけど、そういう人ってムダにプライド高いイメージあるから、それが意外だった。今年はなんとオーケストラの公演もあるというから(何十人って皆んな動物の被り物っすよ!)、案外こういうユーモアも変身願望もあるような人が多いのかもしれない。そういう意味でも、ほっこりしてしまった一時だった。