『ベビ新辭典』に出会ったのは、平成6(1994)年の3月21日のこと。京都東寺の弘法市へ行った時です。500円で買いました。縦53ミリ、横38ミリ、厚さ20ミリの小さな辞典で、 奥付を見ると、東京市日本橋区室町四丁目五番地にあった、株式会社寶文館から発行されています。発行日は、昭和4(1929)年1月10日で、手元にある辞典は、昭和11(1936)年3月1日に重版されたモノでした。驚いたのは、20版というからスゴイ! いったい何冊販売されたのでしょう。つくるのも大変だったのではないでしょうか。
76年前の辞典は、小さいながらも、しっかりとしたつくりで、ページもとれることもありません。携帯用の辞典として、鞄の中に入れて持ち歩いたのでしょうか? ちなみに、ページ数は906。すごいですね。 KBK&クラブ美身クリーム(次回ご紹介します)のビンと並べてみると、いかに小さい辞典なのかわかります。
ベビ新辞典の文字のまわりに描かれているのは、細い線で描かれた、すずらんの花です。茶色にグリーンという色が、ステキなのです。小さな辞典といえば、実用品で3冊持っています。三省堂から発行されたGEM辞典。国語、漢字、英和・和英の3種類です。それこそ、鞄の中に入れて持ち歩いた時期もありました。縦110ミリ、横65ミリのサイズは、持ちやすく、柔らかい革の表紙も手に馴染んで、とても便利でした。今は携帯電話で調べることができますから、持ち歩くこともなくなりましたが、家でパッと調べたい時には、活躍している、小さな辞典なのです。
さて、ご紹介したベビ新辞典から、本つながりということで、恥ずかしながら、私の本をご案内したいと思います。タイトルは『ガラクタをちゃぶ台にのせて』(晶文社発行)です。どのような内容かと、お問い合わせをいただきまして、考えてみたら、今まで細かくご紹介したことは、なかったと気づきました。それに、最近出版された本なら、「書店でご覧になってください」ともいえるのですが、いかんせん、だいぶ前の本ですので、それも不親切だと思い、少しご案内をさせていただきたく‥‥。
~目次~
まえがき ひろったちゃぶ台
★白熱球が揺れる暮らし
迷子札/足袋商人のトランク/ローラー洗濯器/魔法古て/福助足袋のお金の受け皿/ターンスイッチ/安全針入器/電話料金箱
★ヨクキクヨは健康の合言葉
ミツワ石鹸/置き薬の箱/博愛マスク/三笠かとり線香/オゾンパイプ/M印均質牛乳ビン/衛生楊枝/ビヨンビヨン眼鏡
★未確認骨董物体
二宮金次郎の陶板/カフェークロネコのカガミ/ネクタイ更正器/火玉炭と防火砂弾筒/小高式消火器/ムシキラー/煙草ケース
★ひきだしの中は小宇宙
無針紙綴器/資生堂のレターラック/プロペラ型ペーパーウエイト/大正式鉛筆削/忠孝筆入/ふくろうのペン立て/野球少年のランドセル/萬年海綿器
★縁側で遊んだ小さな友だち
日の丸の蛍カゴ/だるまサーカス/オモチャの装身具/モダンガールの羽子板/独り占い・心の友/祖母の雛人形
以上、目次を並べてみました。★印の項目で分類して書いています。本誌に掲載されている写真は、すべてカメラマンの、坂本真典さんが撮影してくださいました。どの写真も迫力のある、いきいきとした写真で、私も、モノたちも喜んでいました。モノの撮影をする時に、さまざまな物、例えば革のコートなど、身近にある物を地紋にして撮ったり、近所の公園で撮ったりして、いかにモノの魅力を引き出すか、撮影のおもしろさを教えていただきました。内容は、ヘンテコだけどおもしろい、愛すべきガラクタたちを通して、戦前や大正時代をのぞいてみる楽しさを、ワタクシゴトをからめて書いた、骨董エッセイ(?)という感じです。
当時は、ひろったちゃぶ台の上に、骨董市などで出会った、お気に入りのモノたちをのせて、大発見だと、アレコレ想像して、おもしろがったり。素性調べに夢中になったり‥‥。そんなひとときが大好きでした。今は、少々余裕がないのですが、忙しい合間に、古いモノを見て癒されたり、このブログも楽しみになっています。