重厚味満点の悪役、高品格
04年現在、芸能界でプロボクサー出身の俳優が大活躍している。”浪花のロッキー”で売り出した赤井英和、丸出しの栃木弁が妙にウケてるガッツ石松などである。またテレビの「ガチンコ」で人気の竹原慎二もボクサーくずれのタレントだろうか。
しかし彼らの先鞭をつけたのが高品格だ。高品こそ日本映画界に大きな足跡を残した、ボクサー上がりの名優である。
かつての日活アクション映画で、彼のいかつい顔が登場すると客席は、ほとんど憎悪の目を向けたものだ。同時に彼の存在が、日活映画にどれだけの重味をつけたか計り知れない。
彼が出演したればこそ、石原裕次郎や小林旭、赤城圭一郎らが太陽の如く輝いたのだ。
何しろ500本以上の映画に出演した高品だけに、その代表作を絞るのは難しい。一般的には「嵐を呼ぶ男」(57年日活)「女中ッ子」(55年日活)を選ぶ人が多い。晩年の彼の傑作は、和田誠監督の「麻雀放浪記」(84年東映)がある。これぞハマリ役で”雀ゴロ”の出目徳役が光る。どちらかというと目の引っ込んでいる高品が出目徳とは!? 思わず笑うファンも多かった。
脇役ひと筋に生き抜いた彼であるが、私はテレビ「長七郎江戸日記」の居酒屋のオヤジ役が気に入っている。往年のアクの強さが薄れ、いかにも好々爺然とした彼に拍手を送りたくなった。トボけた個性と、「長さん、長さん」と長七郎を盛り立てるあたりは、実生活もかくやと思わせた。
若い頃の凄味は、プロボクサー上がりのせいもあろうが、私は彼の出身地にも関係があると思う。千葉県飯岡町の出である。誰でもが知っている「天保水滸伝」の主役である飯岡助五郎が活躍し、眠る土地でもある。多くの賞をもらった高品だが、もっと長生きをしてトボけた味を出して欲しかった。
生 T8.2.22
没 H6.3.11
出 千葉県海上郡飯岡町平松
<本名>向後直吉
小学校高等科を出て裁判所に。1年務めたがプロボクサーを目指し上京。東洋フライ級チャンピオンまでなったが、S13年日活多摩川に入社。翌年「土と兵隊」でデビュー。キネマ旬報賞助演男優賞(S59年)など賞多数。 |
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2005年5月10日更新
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