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「プラモ線の旅」タイトル

ビッグ・ワン ガム

今柊二

「ヌライムと秦野邦彦と出版ブームその1」

 1978年は、私の大人になっての人生を強く決定するあるブームが私の周辺で勃興した。これまたブームの中心には秦野邦彦がいたのだった。

 ある日、小学校に着くと、教室の後ろのスペースで秦野邦彦と数人が集まってガヤガヤと騒いでいた。近くに寄っていくと、何やら小さい紙の束を回し読みしている。

 「何?」と秦野に聞くと、
 「このオカモトくんがマンガ本をつくったんだ」という。オカモトくんは、5年生からはじめて一緒になった人で、港に近い商店街のほうに住んでいた。私は駅のそばのほうの地区の子供だったから、おのずと派閥が少し違っていた。
 「ちょっと見せて」と頼んだが、
 「わしらが先に見よるけんダメじゃ」と他の連中がなかなか回してくれない。そうなるとますます見たくなるが、始業チャイムがなったので、くやしがりつつ席についた。その日は昼休みにもオカモトくんのまわりに人がいて見ることができなかった。しかたがないので放課後まで待つことにした。

そして、放課後オカモトくんのところに行き「見せて」といったら、オカモトくんは、

 「今日、秦野くんもうちのそばに来るけん、今くんも来たら」と行ってくれた。私は大きく肯いて、オカモトくんの家の場所をきき、とりあえず家に帰ってランドセルを置いて、リトラクタブルライト付き自転車に乗りこみ、港に近い商店街に向かった。

 オカモトくんの家は、商店街に平行した通りの住宅地にあり、そこに到着すると、そこには秦野がすでに来てオカモトくんと話していた。

 「はい」と秦野はなにやらもったいぶって、例のマンガを私に手渡した。それはB4のコピー用紙を8等分に切り、重ねて中央部分で半分におり、ホチキスでとめる方法でつくられていた。マンガのタイトルをどうしても今思い出せないが、何やらちょっとエッチな内容で、独特のタッチのものだった。しかししっかり覚えているのはちゃんとストーリーがあり、読み進めることができることだった。

 「すごいだろ?」と秦野が私に言った。無言で肯く私に、

 「こんなマンガ読むといいよ」と言って、オカモトくんが私に見せたのは、モンキーパンチの「ルパン3世」であった。テレビのものとは違い、なにやら大人のマンガのようだった。実際、中を見せてもらうと、結構エッチなシーンもある。ああ、こういうマンガを読むといいのか…と、私は何か素直に納得していた。本好き、マンガ好きを自負し、読書量では人に負けない自信を持っていた私だったが、さすがに大人のマンガには手を出していなかった。それをも読み、さらに自分で大人っぽいマンガまで書けるなんて…。正直私はとても驚いていた。

軟体おもちゃ「スライム」

 「実は僕もマンガを書いているんだ」と今度は秦野が同様の手づくりマンガを取り出した。そこには「ヌライム」と記してあった。当時流行っていたゲル状の軟体おもちゃ「スライム」をパロディとしたものであった。内容はオカモトくんのものほどストーリー性はないが、それでも読める代物だった。

 …この2冊を見て、私のなかで「ガチッ」と大きな音がして回路が入った。突如として自分もこういうものをつくりたくなつたのである。

 これこそが我がミニコミ人生の黎明であった(続くぞ!)


2003年5月22日更新
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